「姉飼」で日本ホラー小説大賞を受賞した遠藤徹さんの短編集。
全5編を収録していますが、どれも耽美かつグロテスクで、嗜虐・被虐に塗れた物語ばかりです。
「姉飼」もそうですが、遠藤さんの書く物語は世界観が独特で、残酷かつ享楽的な独自の雰囲気を味わえます。
気に入った2編だけ軽く紹介。
『カデンツァ』
...続きを読む妻から「IH炊飯器との子どもができた」と告白された男。有機物と無機物との恋愛の果ての物語。その愛の果てには何があるのか。
サイコホラーでもありますが、一風変わった恋愛モノとしても楽しく(?)読めました。
『桃色遊戯』
色っぽいものを想像しそうなタイトルに反した、おぞましい形での世界の終末の話。
全身がぞわぞわするような、気色の悪さを味わえます。俯瞰で見る分に桃色の世界はきっと映像的には綺麗な気がしますし、好きは好きなんですけど本当に気持ち悪かったので人にお勧めはし辛いですね……。
世界の終わりに一杯飲むなら……私は日本酒、かな……。
この本が好きだったら受賞作の方もぜひ読んでほしい。縁日で串刺しにされて売られる「姉」と「姉」に魅せられた男の話。
→『姉飼』(角川ホラー文庫)/遠藤徹