大栗博司のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
大栗先生が娘に数学を語る本。大栗先生の本はいつもわかりやすくて素晴らしい。よく理解している人は明快に説明できるという典型ですね。どの章もおもしろいですが、締めはガロア理論。やはりこれを数学の美しさの典型と考える方は多いんでしょうね。益川先生も学生の頃はガロアに憧れていた、と語っていました。大栗先生のガロア理論の解説、明快でわかりやすいです。ガロア理論について最初に読む本として本書は一番良いのではないでしょうか。5次方程式が解けない理由を正20面体の回転操作が交換しないということに結び付けて解説しています。こうした幾何学的なイメージを解説してある本、少ないような気がします。
-
Posted by ブクログ
数学の魅力を存分に伝えてくれる素晴らしい本だった。易しすぎて不正確になることも,難しすぎて読者を置いていくこともなく,本当に良くバランスがとれている。それでいて著者は数学者ではなく(数学も教える)理論物理学者だというのだからすごい。世の中には頭のいい人もいるものだ…。
扱う内容は,確率,自然数→有理数→実数→複素数,フェルミ推定と対数,素数とRSA暗号,連続体仮説,非ユークリッド幾何,積分微分,そしてガロア理論の入口まで。どの話題にも印象深い挿話が添えられていて,意欲的な中高生なら目を輝かせて一気に読んでしまうはず。著者のサイトには各章の補遺が載せられていて,そこでの補足も勉強になる。 -
Posted by ブクログ
去年の朝日カルチャーセンターの講義で、重力について非常に面白い講義を行っていただいた大栗先生の著書。この時読んだ、「重力とは何か」が、非常に分かりやすくて面白い内容だったので、今回も期待して購入した。
本書に関係する内容を、朝日カルチャーセンターの講座で講義をされたようなのだが、残念ながら参加する事が出来ず、本書で勉強しようと思った。大栗先生の著書は今回も非常に分かりやすく、面白い内容で期待以上のものだった様に思う。
学生時代は物理学科で、ご多分に漏れず素粒子や相対論に憧れたものだが、結局古典物理で学生を終えてしまった。今更ながら、量子論を学びたいと思っており、こうした啓蒙書を読みながら、教科 -
Posted by ブクログ
量子力学は、電子や光子といったミクロな粒子のふるまいを説明する理論である。古典物理学では、物体の位置や速度は常に明確な値をもつと考えられていた。しかし、量子の世界ではそれが成り立たない。粒子は「波動関数」と呼ばれる確率的存在として記述され、その振る舞いは確率振幅によって表現される。これを端的に示すのが、ハイゼンベルクの不確定性原理である。位置を正確に測ろうとすれば運動量が曖昧になり、逆もまた然り。つまり、自然そのものが「確率的構造」をもつという認識へと転換したのだ。
一方、ボーアのコペンハーゲン解釈は、観測行為そのものが物理現象を確定させると主張した。電子は観測されるまでは波であり、観測に -
-
-
Posted by ブクログ
著者は2022年ノーベル物理学賞を受賞。
著者がノーベル賞受賞者というと、内容は難しいと思いがちだが、意外にもこの本はそうではない。むしろ、「えっ」て思えるほど面白い。
本文中にやたら出てくる「量子のもつれ」。1935年シュレディンガーによって命名されたが、これはとても不思議な現象。素粒子の世界で普通に起こる現象で、お互いに衝突した2つの粒子が、遠く離れてもなお緊密に結びついている。そして一方を観測すると、もう一つの粒子がどんなに遠く離れていても影響を与えるという現象。
これ、理解できるだろうか?あのアインシュタインでさえこの現象を「不気味な遠隔作用」と言い、気に入らなかったようだ。
でも、 -
Posted by ブクログ
西山事件というと沖縄返還における密約を新聞記者が暴いたが、その情報入手の手段が外務省の女性事務官に対する色恋によるそそのかしであるというもの。本書を読む前に読んでいた山崎豊子の『約束の海』で改めてそのストーリーを追っていた。その女性事務官の抗弁に「女性は情交した相手に逆らえないものだ」というセリフがある。真相は不明だが、少なくともそうした意見があったという事だ。なんでこの話かというと、同時並行で読んでいて頭が混乱してしまったのだが、次元の違う「超ひも理論」である・・・。
もとい。量子力学の超弦理論、イコール超ひも(紐)理論である。なぜ紐かというと、量子を最小単位で捉えようと追求していくと、「