大栗博司のレビュー一覧
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超ひも理論の分野で成功している物理学者の自伝を追いながら、基礎科学の重要性を再確認するテーマ。事業仕分けの蓮舫でなくても、読んで学べることは多い。一番のハイライトとしては、天才少年がどのようなことに興味を持ち、どのような本との出会いがあったかを具体的に見れる点。やはり読書はとても重要。
アメリカの一流大学の研究者でも、突出した天才は稀だが探究を長く続ける体力には眼を見張るものがあるとのこと。 個人を尊重する自由な気風でこそイノベーションが生まれるのであれば、民主国家に豊かな国が多いことの裏付けと言えるのか。専制的な抑圧の国では限界があるのか -
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「重力とは何か」や「強い力と弱い力」を書いた大栗さんの新作。基礎科学の研究者である著者の半生を描くと同時に、哲学の時代からの科学の歴史を描いている。
私も企業の一研究員である中で、心に残ったのは「自身の知的好奇心に忠実であれ」ということと、「ミッションを大事にすること」の2つ。
私が感じたことは本の内容とは少し違うかもしれないが、自分が面白いと感じたことが一番意欲が湧くし、素直な気持ちで取り組めるということ。しかし一方で、好奇心の持ったもの全てに手を出していては時間が足りない。そんな時に、自身の軸=ミッションに沿ったものを選ぶべきであると思う。
特に、ミッションに沿うことは組織運営を考える上 -
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素粒子論の専門家による、重力理論の解説書。一切数式を使わずに(!)、最新の理論まで説明している野心的な作品である。高校生の時に一度読んだが、再読。
ニュートン理論や相対論、量子力学の解説から始まるのはまぁそうとして、筆者の専門である超弦理論の解説は興味深い。極微の世界を観測しようとすると、加速器の分解能とブラックホールの大きさが同程度となってしまい、観測したい領域が事象の地平線に覆い隠されてしまう。そこで、相対論と量子力学の融合が要求される訳だが、そのような理論として有力視されているのが超弦理論である。筆者たちが開発した計算手法に「トポロジカルな弦理論」というものがあり、これを用いることで -
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極力数式を使わずに展開されるから、逆に難しかったかも。
とは言え、その時々の「最新の数学」を発明して対処する様な領域だから、数式載せちゃ誰も付いて来れんのかな。
工学系からすると、所与の数学で対処できるモノしか接してこなかったから「最新の数学」という概念がこれまでピンと来なかったけど、この本で初めてイメージが持てた。本筋からズレるがオイラーの公式は確かに滝に打たれる様な衝撃だったが、巻末の解説を見ると納得。
空間がホログラフィックなモノだという説明を理解しきったわけではないが、時間と空間の本質なモノがありそうだと言うことは、ままイメージが持てた -
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文系が頑張って読んだ。ひも理論。超弦理論だ。
いや、読み流した。
というより、50%以降はフィーリングだ。。。
すっごいわかりやすい、フェルミオンとボゾンのイラストでの説明。「…で?」と思ってしまうが、まあ、頑張って読み進むのだ。
ハイライト、56人が引いているところ。
「超対称性とは、この回転対称性の概念を超空間にまで拡張したものです。超空間の座標は、普通の数とグラスマン数の両方からできています」
「…お、おう…。」
もうほんと全部パスタで説明して欲しい…。徹頭徹尾パスタでいって欲しい。
9次元、25次元、読んでるときは必死で考えているけど、こう、後でまとめるとかはできん。でき -
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数学者の父親が、娘に数学の世界を教えると言う体裁で数学について語る。
イーロン・マスクの発言を引用して、基本原則に立ち返って考え直す、考えるということが書かれているが、これは大切なことだと思う。
数学には物事を明晰に考える道具としての意義がある
数学者は日常の全てに数学の種を見出している。
そして数式が美しいと感じるようだ。
数学は1つの言語だ。数学を学ぶことで、世界が新しい形にみえてくる。
正直、取り上げられている組織は自分には難しかったが、世の中の物事を数字に置き換えて分解することでノイズが取れて、本質が見えてくるのが分かった。この本において大切なのは、数式を理解することと言うよりは -
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相対性理論や量子力学はなんとなく学生の頃勉強してたので、復習のつもりでスラスラ読めました。文章は数字もなく文系の人間でも理解しやすいです。その分、この理論は証明された、と言われたらまぁ証明されたんだなーくらいに思って先に進むしかないです。詳しく知りたい人は次のステップの本に進むとして、、
本書は古代から現代に至るまで、星の数ほど行われた理論と実験の繰り返しと、壮大な宇宙のロマンに想いを馳せる本だと思います。最近残念ながらホーキング博士も亡くなってしまいましたが、科学は研究成果が引き継がれ発展していくものなのでこれからが楽しみです。
ただもう最後らへんはさっぱりでした。 -
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重力。
この分野の、内なる雄大さを、
難しい数式などわからなくても感じることができる本でした。
いい意味でざっくりとしていて、
文系の僕(雑誌『ニュートン』でいくらか鍛えてはありますが)でも読めるし、
くわえてこの分野のエキサイティングな空気というか、
帯びている熱みたいなものまで伝染してくるような感じでおもしろかったです。
万有引力を発見した科学者ニュートンのニュートン力学からはじまって、
マクスウェルの電磁気学、相対論などのアインシュタイン理論、
量子力学、そして現代最先端の超弦理論(超ひも理論)へと話は進んでいきます。
そこに貫かれているのは、この宇宙の摂理を知りたい、解き明かしたいと -
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ネタバレ重力とは何か、非常に魅力的な問いのタイトルである。
そもそも理論物理系の話や重力、宇宙の話は昔にも興味を持ったが、今はどちらかといえばこれらの力学、働きをメタファーに考える機会もあって、改めて読んでみたところが大きい。
なので、後半の量子力学の観点よりも前半部分の基本的な部分を重点的に読んだ。
今回感じたのは、重力の7不思議の中にもある、重力の働きの部分だ。等しく全てに働くがその力は弱く、地球でいえば電磁力の方が強い。
また質量の大きさにその力は相関する一方で、質量の大きいものは動きづらい。
これらの理論は非常に考えさせられる事が多い。
重力の7不思議
1,重力は力である
2,重力は弱い
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仏教学者とゴリゴリの物理学者の対話。
ビッグバン理論などで宇宙の始まりは「無」だった(宇宙の誕生は偶然だった)、という考え方が浸透してきた。こうした理解と、「超越者の存在を認めず、現象世界を法則性によって説明する」(P.144)原始仏教は実は似たところがある、と。
とは言え、「仏陀は量子論を知っていた」というような説は二人とも強く否定する。個人的には、宇宙とは何だろうと考えているときに、最新の物理の知見がない人も偶然に似たような世界観を思い描くこと自体面白い気もするが、学者二人はそれを以って「仏教と現代物理学は矛盾しない」などといったことは言わない。
西洋が、科学の発展とともに「宇宙に意味