雪広うたこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
一部と二部の背後にあった物語プラス、二部が終わったあとの短い物語。
ジェフリーとヨアキム、大変だったんだな。と、ジェフリーが頑張りすぎていて、読んでいてかなりしんどい。そのぶん、これからヨアキムと幸せになって欲しいと、深く深く思った。
宝石商リチャードシリーズを読んでいると
「美しい」
という一言では言い表せない、たくさんの「美しい」ものが出てくる。
何人もの人が関わり合う中で、摩擦あり、肯定があり、反発があり、諦念がある。互いに愛し合っていても、正確に伝えられるかわからないし、正しく受け取れるかわからない。
違う人なのだから、すれ違って当たり前で、喧嘩することだってあるだろう。許せ -
Posted by ブクログ
今回の物語の舞台は、香港!
といっても、第二部が開始した頃から、各国各地域を回っているので、香港に止まらないのだが。
世界を飛び回る、それは甘い憧れだが言葉の壁、文化の壁という中で決して見た目よりも甘くはないことも知る。
だが、正義がぶつかったのは、日本だ。
彼の母国。彼が育った国。故郷。
日本人なら気づいているだろう、自分が生まれ育った国が、和を持って尊しと言いながらその和から外れるものには容赦しない国であることを。
それでも、そこに自分の根がある。
どこの国も内実は変わらない。
そこまで行かなくても、日々の暮らしの中で、私たちはぶつかる。
その時に、こんな言葉と出会えたら。
「あなたの胸 -
Posted by ブクログ
本作ではリチャードの過去があらわになる。
師との出会い、母親や家庭教師など、実家の話など…優しさであったり、考えられないくらいの苦しみであったり、それらが今のリチャードを形作っていることがよくわかる。
人は皆過去を元に作られていく。
優しさも賢さもそしてそれを総括した「美しさ」も。
「挑むシトルリン」は叶わない恋の物語だ。
いうことは簡単だが言わないことはその何十倍も苦しく、自分を律しなければならない。
そして、自分が思うほど相手は自分を思ってはくれないこともある。
だが、相手が生きる世界を、相手が大切にしている世界を愛することはできる。
愛とは、人間とは、なんと複雑なのだろう!
「ジルコ