孫崎享のレビュー一覧
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著者が外務省勤務時代に感じた、日本のインテリジェンスが抱える問題や力不足を、ニクソン・ショックや湾岸戦争など各時代の背景を交えつつ語っていく。
やや難しい内容でとっつきにくかった。
それでも、情報に基づいて政策が立案されていくべきものを、日本においては日米同盟ありきの政策が先に来て、それを支援する情報のみが選別されていく、さらには誤った政策が露見した場合でも、担当部署の人間の責任は曖昧にされていく、という件は面白かった。
著者がリベラル、かつ脱米国主義であることを念頭に起きつつ読んだが、国益という軸が定まらず、国家としての自立がなされていない以上、インテリジェンスという部署自体が必要とされ -
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元外交官の筆者が、世界で見てきた国境問題について、そして日本の抱える領土問題について、アメリカと日本の協力体制として考えられることなど、最新の状況についてまとめている。
我が国は、第二次世界大戦敗戦後、領土に対し毅然とした主張をしないことで、ゆるやかに国土にたいする権利を失ってきた。
その上辺だけを踏襲した、先の民主党政権によって、さらに我が国は国境問題について主権を放棄していることを内外に知らしめた。
安倍総理は、国内に対する勇ましい発言を繰り返すだけではなく、周辺の海賊国家に対し理性的に、論理的に正しく、我が国の権利を主張し、また、場合によっては国際司法裁判所を活用し、国連の精神に則って、 -
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ネタバレ尖閣は歴史的には誰も住んでおらず琉球で領有を主張した事もない。台湾所属とする資料の方が多い。戦後から所属が決着していない。
北方四島は、ポツダム宣言・サンフランシスコ条約で基本的に主権外とされている。正確には「竹島、千島列島、歯舞群島、色丹島を除く四主要島・対馬・琉球が日本の範囲」とされている。択捉、国後が名前では上げられていないが、古くから南千島と呼ばれており、上記で名を上げられていないと主張するのは難しい。
竹島はポツダム宣言で日本領外とされているが、サンフランシスコ条約では明確に記載されていない。
つまり上記全て明確に日本領だなんて言えたものでは無い係争中のものだ。
・米国にと -
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元々ドイツの文化圏だったアルザス・ロレーヌ地方はドイツ、フランス間で長年領土紛争が行われて来たが第二次大戦後の後その原因となった資源石炭、鉄鋼を共同管理する欧州石炭鉄鋼共同体を作り後にEUへと発展した。日本も大国化する中国との付き合い方でお互いの利益となるような体制を作ると言うのが本書の主張のようだ。
前半では日米関係、日中関係、中米関係に関する分析がなされている。
冷戦下でアメリカの方針として対ロシアの防御線として日本の復興を後押ししたアメリカは80年代以降は経済的な脅威として日本を捉え逆に弱体化をはかる。それが銀行のBIS規制で当時世界の銀行の内ベスト10に7行あったのがBIS規制がもと -
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ネタバレ一番恐ろしいことは自分にとって都合の悪い情報をシャットアウトすることだ。
ソ連、イラン、イラクなどで情報の最前線にいた氏の「回顧録」としての情報・外交論。
尖閣諸島問題に絡む中国との戦闘を想定した「日本勝利」論を、当時対米開戦に向かった軍部が陥った考えと重ね合わせています。
外交・政治の場にかかわらず、日本においてはしばしば空気が重大な決定を下す。時と場合によって空気を読む事が美徳とされることに異論はありませんが、踏み込んだ議論なしに結論されることで責任の所在があやふやになります。
誰がいいと言ったわけでもない決定に対し、疑問を抱きながらも行動に入ってしまう。
一度決定したことを覆すことは困難 -
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ネタバレ我々日本人は「アメリカは日本の同盟国として中国に対峙してくれる」と、無邪気に信じ込んでいないだろうか。「アメリカが中国とのパートナーシップを選ぶ」という可能性について、真面目に考えたことがないのではないだろうか。そもそも歴史的に見てアメリカは中国寄りだった時期も多いわけで、いつまでも東西冷戦の枠組みの中でしか考えようとしない我々は非常に危うい。ロシア、北朝鮮、そして韓国といった「決して穏やかでない」隣国に囲まれた我が国は、どのように生きのびていくべきなのかを真剣に考える必要がある。60年前には殺し合っていた独仏に、多様な宗教、政治体制を乗り越えて連帯するASEANに学ぶべきところは多い。
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ネタバレ本書はカナダ、アメリカ間の外交の歴史について記述されているが、この辺の事情に疎いので知識としては頭の中に蓄積されないだろうなと思いつつ読んだ。多分、首相の名前すら忘れてしまうだろう。
結局、外交上重要なのは、どこ(誰)にどのようにアプローチしたら効果的なのかを考えることなんだろうと思った。それは仕事でも同じ。
本書を読み終えて、一番印象に残ったのは
P218
今日のアメリカのカナダ政策は「ニクソン・ドクトリン」政策と同じで
ニクソン・ドクトリン政策の前提は
・成熟したパートナーは自己の独立した政策をもつ
・各国は自国の利益を明確化し、自己の安全に必要なものは、独自に確保し、自己の進む方向は