孫崎享のレビュー一覧
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根本りょうすけサロン読書会の課題本
戦後史は、ほとんど学校では習っていない。
この本に書かれている歴史が事実であるなら、テレビ、新聞、雑誌などから“なんとなく”得た知識の積み重ねで“思い込んでいた歴史”はほぼ間違っていた(真逆)ことになる。
米国の犬だと思っていた岸信介が、実は米国の力を利用しつつも米国の圧力に抗おうとしていた。
国民的に人気だったり、戦後史で肯定的に評価されている首相がことごとく対米追従派で、国民の利益より米国の信頼を得ることに腐心していたこと。
検察やマスコミの槍玉に挙げられ引きずり降ろされた首相は、日本を自立させようと試みた人々だった。
政治家だけでなく外務省などの官僚にも“自主派”がいたが、今はほぼ絶滅していること。
高市政権を大勝させてしまった日本は、
これからどうやって立ち直ればいいのか? -
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『戦後史の正体』の著者の近著。著者はあくまで実証に徹する。チャーチルは、指導者として米国を参戦させることで英国を守り、日本陸軍は挑発に乗って日本を滅ぼしたというのがゾルゲ事件の本質。
ゾルゲの情報をモスクワが軽視していたというのは、議論の余地があるかもしれない。ゾルゲ情報により、スターリンが満州国境から戦車部隊を独ソ戦に振り向けて、戦況を逆転できたという説もあるので。
陸軍がそれまで北方戦の準備はしていたが南方戦の準備はしておらず、ためにあたら多くの将兵をマラリアで亡くしたという指摘、御前会議の出席者の中で駐米経験のある陸軍関係者はいなかったという指摘は、容易に検証可能であり誰も否定しえないところだろう。その陸軍が南進と対米戦を強行に主張したことを愚行という視点は、情報の重要性を知悉した元外務官僚にして元駐イラン大使である著者ならでは。開戦を巡る諸説のもやもやが晴れ、目から鱗が落ちた。少なくとも開戦の経緯について論じるにあたり、これを読まねばモグリと言われるレベル。 -
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(2015/11/13)
つい先日読んだ「大日本帝国の興亡」をなぞるような本。
歴史的事実に新しい発見はなかったが、
これもつい先日読んだばかりの「ネット私刑」との共通点に驚く。
誰が勝つ見込みのない、国の資源が10倍も違うアメリカに戦争をしかけたか。
戦犯と思しき人たちが皆「自分は騙された。」と他者のせいにする。
他者のせいにはするが、戦争を否定することはなく、むしろ喝采を浴びせる。応援する。
無鉄砲な、勢いのいいだけの、考えなしの意見に同調する。
無責任極まりない。
少なくとも日本人は、いやもしかしたら人類共通の課題かもしれないが、全く進化していない。
私が敬愛する小説家吉川英治ですら、戦争を鼓舞する紀行文を書いているという。
反戦をあらわにした著名人はごくわずかで、経済人であれば職を失っている。
そんな時代が来るのか、それともそれは杞憂で、
単に自分の思う世の中にできないことで反政府的立場をとっているのか。
流されずに自分の目で見、耳で聞き、頭で判断しなくてはいけない。
■序 章:なぜ今、真珠湾への道を振り返るのか
■第一章:真珠湾攻撃を始めたかったのは、誰なのか?
■第二章:真珠湾攻撃への一五九日間
■第三章:真珠湾への道は日露戦争での“勝利”から始まっています
■第四章:進みはじめた真珠湾への道――日露戦争後から柳条湖事件直前まで
■第五章:日本軍、中国への軍事介入を始める
■第六章:日中戦争突入、三国同盟、そして米国との対決へ
■第七章:米国の対日政策
■第八章:真珠湾への道に反対を唱えていた人たち
■第九章:人々は真珠湾攻撃の道に何を学び、何を問題点と見たのか
■第十章:暗殺があり、謀略があった -
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外務省で各国に駐在し大使まで務めた、外交の専門家が著した書。
正直、驚きの連続だった。僕の学生の頃なんて遥か昔だが、日本近現代史はさらっとしか触れなかった。当然朝鮮戦争も本の数分のレベルの知識しかなく、此処まで掘り下げた知識はなかった。
日本がポツダム宣言を受諾し降伏したその日の夜に「日本人の要請で」建国準備委員会が設立され、20日後には「(統一)朝鮮人民共和国」樹立が宣言されたこと。それが米ソ両大国の思惑で承認されず、南北の分割統治になったこと。だが米ソどちらも決して統一のための戦争は望んでいなかったこと。朝鮮戦争勃発にともない、秘密裏に日本人が参加していたこと、法律ではなく政令で警察予備隊をつくったこと、、、
まだまだこの時代のことは、知識が無さすぎます。引き続き吸収していきたい。 -
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久し振りに本を読んで興奮し、そしてショックを受ける経験をした。
戦後の日本が歩んだ歴史における"タブー"に真っ向から挑んだ著者である孫崎氏には敬意を抱かざるを得ない。
本書における多くの書評にあるように、筆者は日本の戦後から2012年現在の野田政権までの歴史について、戦後の首相と外相を主人公として、様々な公式文書、論文、記事等を客観的証拠としながら、米国との外交を舞台に「対米追随路線」と「対米自主路線」という相反する対立軸を用いることで、「戦後日本史」というひとつの物語を展開している。
そこには我々日本人がこれまで教えられたり、聞いてきたり、抱いてきた戦後歴史観とは全く異なる事実が浮かび上がる。
米国がいかにして日本を利用しようとしてきたか、そしてこれからも利用し続けようとしているかが、平易かつ説得力のある文体であるがゆえに脳裏に焼き付くようである。
本書で述べられている、戦後外交おける敗戦国(=日本)の屈辱、そして戦勝国(=米国)の圧倒的優位性が、21世紀となった現代までも"戦争というものの本質"としてあぶり出されていくのだ。
高校生にも分かる文章で書いたというが、述べられている史実について若い世代も含めた多くの日本人に知って欲しいという著者の想いが痛いほど伝わってくる。
同時に、残念だがGHQも含めた米軍、米政府、CIAといった組織の深慮遠謀には、まだまだ日本は遠く及ばないのかもしれないとも思わざるを得ない。
米国は、戦争にせよ経済競争にせよ、とにかく勝つためであれば謀略でも何でもあらゆる手段を検討し尽くす。
それが良きにつけ悪しきにつけ"戦略的"ということなのだろう。
日本政府や官僚機構、そして日本国民がそこまで戦略的に米国と対峙できるか、甚だ疑問である。
前述の対立軸を用いた戦後史の展開については賛否両論あると思うが、何より重要だと感じるのは、著者が記載していることの事実云々ではなく、日本の歴史教育そのものが海外も含めた"方々から"歪められているのではないかという危機感である。
自分は大学入試センター試験で日本史を選択したが、現代史はほとんど試験範囲とならない。せいぜい第2次吉田茂内閣くらいまでである。
そのため、自分自身も歴史が好きであったはずなのに、現代史については全く無知に近かったと思い知らされた。
今となっては、故意に試験範囲から外しているのではないかとも思える。
また教科書に記載されている内容そのものについても、多くの歴史評論家が語っているように、諸外国に配慮しすぎて史実が隠されたり、曖昧にされているため、多くの日本人が戦後から現代までのつながりを理解できないでいる。
教科書問題については、とかく文科省が槍玉に挙げられるが、それだけの問題ではないということが本書でようやく理解できた気がする。
竹島や尖閣諸島などの領土問題においても、正しい歴史認識を持たないことには、単なるつばぜり合いに終始し、マスメディアを喜ばせるだけとなってしまうであろう。
歴史を学ぶことは、単に『教科書に述べられた過去の出来事』を覚えるだけではなく、過去を多角的に分析・検証し、これからの時代を生き抜くための指針を"自分なりに"思考し見出すことだと、改めて実感した次第である。 -
Posted by ブクログ
2012年の創元社のベストセラー。2017月10月の衆議院選のころ読む。
日本の戦後政治と米国米軍との関係について、元外務省官僚の視点から叙述。
気づいたこと。
1、自民党結党時からの綱領の「改憲」とは、鳩山一郎総裁の「自主外交」とセットだったこと。自主外交とは、米軍に出ていってもらうこと、その上で防衛力を備えるための改憲のことだった。同じ憲法のまま、今の自衛隊は世界7位の軍隊になっているので、もはや、改憲は必要ないことになると思う。「自主外交」はいまだ達成されていない。
2、著者は岸内閣の再評価が必要という。著者のいう反安保デモCIA陰謀説はいかがかと思うが、日米安保条約の内容は評価すべきとしている。すなわち、安保条約での両軍の軍事行動は、日本および日本の近海において、日本が攻撃を受けたときに限られる。これは先守防衛ということだろう。さらに、両国の国会決議などが必要であり、国連軍的な行動であること。集団的自衛権を認めていないのである。それでも当時は平和を求める国民の半数以上が安保には反対だった。
3、1のように1950年代までは米軍の撤退のスケジュールについて発言する日本の政治家は少なくなかったし、60年代のベトナム戦争にも日本は自衛隊を派兵していない。そこから離れて、対米従属に大きく舵をきったのは00年代の小泉内閣のときだと著者はいう。しかし対米従属がいつから強まったかというと、日本が経済力をつけた80年代の中曽根内閣のときに大きな変化があったようにも思う。
戦後72年。それにしても米軍は、100年も200年もいる気なのだろうか。