【感想・ネタバレ】「戦後再発見」双書1 戦後史の正体のレビュー

あらすじ

日本の戦後史は、アメリカからの圧力を前提に考察しなければ、その本質が見えてこない。元外務省・国際情報局長という日本のインテリジェンス(諜報)部門のトップで、「日本の外務省が生んだ唯一の国家戦略家」と呼ばれる著者が、これまでのタブーを破り、日米関係と戦後70年の真実について語る。

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Posted by ブクログ

あまりの読みやすさに一気読みしてしまった。
自分の中に新たな軸ができ、
ニュースや論壇以外にも、映画や漫画(エンタメコンテンツ)に触れる際にまた違った目線を入れて楽しめそう。

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2024年08月11日

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戦後の日本政治史は、対米追従と自主の2つの路線に分類される。大国である米国との外交姿勢が最も重要であり、なぜなのか分かりやすく解説されていてとても勉強になった。テレビ等のマスコミでは報道されない裏の部分も扱っているので、今後は情報(新聞・テレビ・sns)を客観的な視点で見るために、自分にできることは何か考えさせられた。

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2024年02月20日

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2012年の8月に世に出たもの
それから11年半が過ぎようとしています
孫崎さんの おっしゃっておられることが
ますます 証明されているのが
たまらなく 悲しい

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2024年02月11日

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日本で歴史を学んだものとして、信じられない内容
事実を本当か確認したいが、現在の日本を理解する上で読んでおきたい一冊

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2023年12月26日

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衝撃すぎて心がついていかず、少しずつしか読めなかった。全国民必読。岸田新総理は果たして米国追随派か、それとも自主派か。注目していきたい。

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2021年10月07日

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ネタバレ

戦後の外交史を対アメリカ追随路線、対アメリカ独自路線を
軸に展開。歴史教育では駆け足になってしまう(それさえも何か思惑があるのか?)部分を重点的にわかりやすく解説。
今日現在の外交問題と結びつけて、何度も読み返したい。

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2020年05月04日

Posted by ブクログ

久し振りに本を読んで興奮し、そしてショックを受ける経験をした。
戦後の日本が歩んだ歴史における"タブー"に真っ向から挑んだ著者である孫崎氏には敬意を抱かざるを得ない。

本書における多くの書評にあるように、筆者は日本の戦後から2012年現在の野田政権までの歴史について、戦後の首相と外相を主人公として、様々な公式文書、論文、記事等を客観的証拠としながら、米国との外交を舞台に「対米追随路線」と「対米自主路線」という相反する対立軸を用いることで、「戦後日本史」というひとつの物語を展開している。

そこには我々日本人がこれまで教えられたり、聞いてきたり、抱いてきた戦後歴史観とは全く異なる事実が浮かび上がる。
米国がいかにして日本を利用しようとしてきたか、そしてこれからも利用し続けようとしているかが、平易かつ説得力のある文体であるがゆえに脳裏に焼き付くようである。
本書で述べられている、戦後外交おける敗戦国(=日本)の屈辱、そして戦勝国(=米国)の圧倒的優位性が、21世紀となった現代までも"戦争というものの本質"としてあぶり出されていくのだ。

高校生にも分かる文章で書いたというが、述べられている史実について若い世代も含めた多くの日本人に知って欲しいという著者の想いが痛いほど伝わってくる。
同時に、残念だがGHQも含めた米軍、米政府、CIAといった組織の深慮遠謀には、まだまだ日本は遠く及ばないのかもしれないとも思わざるを得ない。
米国は、戦争にせよ経済競争にせよ、とにかく勝つためであれば謀略でも何でもあらゆる手段を検討し尽くす。
それが良きにつけ悪しきにつけ"戦略的"ということなのだろう。
日本政府や官僚機構、そして日本国民がそこまで戦略的に米国と対峙できるか、甚だ疑問である。

前述の対立軸を用いた戦後史の展開については賛否両論あると思うが、何より重要だと感じるのは、著者が記載していることの事実云々ではなく、日本の歴史教育そのものが海外も含めた"方々から"歪められているのではないかという危機感である。
自分は大学入試センター試験で日本史を選択したが、現代史はほとんど試験範囲とならない。せいぜい第2次吉田茂内閣くらいまでである。
そのため、自分自身も歴史が好きであったはずなのに、現代史については全く無知に近かったと思い知らされた。
今となっては、故意に試験範囲から外しているのではないかとも思える。

また教科書に記載されている内容そのものについても、多くの歴史評論家が語っているように、諸外国に配慮しすぎて史実が隠されたり、曖昧にされているため、多くの日本人が戦後から現代までのつながりを理解できないでいる。
教科書問題については、とかく文科省が槍玉に挙げられるが、それだけの問題ではないということが本書でようやく理解できた気がする。
竹島や尖閣諸島などの領土問題においても、正しい歴史認識を持たないことには、単なるつばぜり合いに終始し、マスメディアを喜ばせるだけとなってしまうであろう。

歴史を学ぶことは、単に『教科書に述べられた過去の出来事』を覚えるだけではなく、過去を多角的に分析・検証し、これからの時代を生き抜くための指針を"自分なりに"思考し見出すことだと、改めて実感した次第である。

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2020年01月29日

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2012年の創元社のベストセラー。2017月10月の衆議院選のころ読む。
日本の戦後政治と米国米軍との関係について、元外務省官僚の視点から叙述。
気づいたこと。
1、自民党結党時からの綱領の「改憲」とは、鳩山一郎総裁の「自主外交」とセットだったこと。自主外交とは、米軍に出ていってもらうこと、その上で防衛力を備えるための改憲のことだった。同じ憲法のまま、今の自衛隊は世界7位の軍隊になっているので、もはや、改憲は必要ないことになると思う。「自主外交」はいまだ達成されていない。
2、著者は岸内閣の再評価が必要という。著者のいう反安保デモCIA陰謀説はいかがかと思うが、日米安保条約の内容は評価すべきとしている。すなわち、安保条約での両軍の軍事行動は、日本および日本の近海において、日本が攻撃を受けたときに限られる。これは先守防衛ということだろう。さらに、両国の国会決議などが必要であり、国連軍的な行動であること。集団的自衛権を認めていないのである。それでも当時は平和を求める国民の半数以上が安保には反対だった。
3、1のように1950年代までは米軍の撤退のスケジュールについて発言する日本の政治家は少なくなかったし、60年代のベトナム戦争にも日本は自衛隊を派兵していない。そこから離れて、対米従属に大きく舵をきったのは00年代の小泉内閣のときだと著者はいう。しかし対米従属がいつから強まったかというと、日本が経済力をつけた80年代の中曽根内閣のときに大きな変化があったようにも思う。
戦後72年。それにしても米軍は、100年も200年もいる気なのだろうか。

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2018年08月10日

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自主路線と対米追随。日本がいかにアメリカのいいようにされてきたかがよくわかる。日本が今後いかにして真の独立国となるかを考えさせられる本。政治家は皆読むべき。

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2018年07月07日

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今すぐ読もう!以下、抜粋です。

「検察は米国と密接な関係をもっています。とくに特捜部はGHQの管理下でスタートした「隠匿退蔵物資事件捜査部」を前身としています。その任務は、敗戦直後に旧日本軍関係者が隠した「お宝」を摘発し、GHQに差しだすことでした」

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2017年10月18日

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「自主」か「追随」か。米国からの圧力に対する2つの路線を軸に、日本戦後史を総括しようとする。
 日本が8月15日を「終戦記念日」と定めていることの欺瞞から、著者は筆を起こしている。本当に戦争が終わったのは降伏文書に署名した1945年9月2日。つまり、日本人は「敗戦記念日」に向き合ってこなかったのだ。日本は戦争に負けた、アメリカに無条件降伏したという厳しい現実から、ずっと目をそらし続けるための「終戦記念日」なのだと。
 巻末に、戦後の歴代首相を「自主派」「対米追随派」「一部抵抗派」で分類しているが、長期政権となったのは見事に「対米追随」グループというのが面白い。おおまかにみればアメリカに都合の悪い政権は長続きしない、どこかで足をとられる、追い落とされるということになっている。そういう仕組み(経済界や検察、マスコミ)が備わっているのだと説く。本書のスタイルは、戦後史を俯瞰して、この現象を実証していくということになる。
 具体的に見てみよう。評価の高い吉田茂はたんにアメリカのイエスマンであり、日本に米軍基地が居座り続けのもこの首相による密約が原因だったこと。「昭和の妖怪」岸信介が意外にも「自主」路線の持ち主で、それがゆえに安保騒動で潰されたこと。米国の意に反して中国との関係改善に力を尽くした田中角栄も、アメリカとそれに従属する勢力によって政治的に葬られたのだということなどが、証拠をあげつつ論じられている。
 歴史的な事実はともかくとして、その解釈として、個別の反論はあるだろうが、それをもって本書を「陰謀論」扱いするのは間違っている。「米国の圧力」という補助線を引きながら戦後史を見るという本書の視線は、全体として正しいものと考える。むしろ、そういう視線をこれまでとることができなかったということが、(敗戦から)「目をそらし続けている」証拠なのだ。
 日本の右翼がなぜ「親米」なのか、戦後の権力の構造をもとに理解できたという点でも、自分にとって価値の高い1冊となった。

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2017年09月17日

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戦後再発見。高校生でも読める戦後史の本とうたわれています。元外務省外交官の著者が1945年~2012年までの日本と米国の関係を軸に、歴史を整理してくれています。池上彰さんの本では物足りない方に。「歴史は、終戦・占領・冷戦・講和条約と日米安保・自民党と経済成長・冷戦終結・9.11・イラク戦争後の世界と続きます。」

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2016年01月06日

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この本を読めば戦後の政治、外交の隠れた部分が明らかになり、アメリカの戦後統治
が日本に対してどのように為されてきたのかが良く理解出来ます。

日本人ならば必読の良書です。

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2015年12月20日

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外務省国際情報局局長、防衛大学校人文社会科学群学群長等を歴任した元外交官が、戦後史を「自主」vs「対米追従」という二つの外交路線のせめぎ合いという観点からまとめた本。読者を高校生まで広げて書かれているので、分かり易い内容となっている。
かつて存在した「自主」外交路線は、今や死に絶えた。「日本を取り戻す」と発言しつつ、米国からの要求に応えることに躍起となっている背景が理解できる。
米国により、日本が周辺諸国と友好関係を結べないタネが撒かれている。
同じ敗戦国ではあるが、EUのリーダーとして、エネルギー政策の先進国として存在感を発揮しているドイツとの圧倒的な差を感がさせられる一冊。

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2015年11月01日

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前々から読まなくてはならないと思っていた本です。
敗戦後の米国と日本の関係を正しく理解するためには必読です。
日本という国は未だに米国に占領されていることが良く分かります。
この本を読めば、今の戦争法案とかTPP、原発推進だとか、誰のために何をやろうとしているのか、わかってくると思います。
日本という国を知りたければ必読の本だと思います。

レベル:524

命を賭けないと一般国民のための政治ができないのは、実は米国も同じなんだろうけどね。所詮、彼らにとっては、国民は家畜のようなもんだし。国民には、柵の中の自由を本物の自由だと思わせておけばいい。彼らはそう考えている。
もういい加減に目覚めてもいいんじゃないでしょうか?

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2015年10月10日

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2012年に購入したあと、何度も止まっては読み、読んでは止まり、8年かけてやっと読み終わった。2012年以後の8年を思うに、日本の対米追順路線は、もう思考停止に近い形で、当たり前になっている気もする。
一方、中国の台頭で、世界のパワーバランスが変わり、米中の狭間にいる日本は、益々厳しい選択を迫られる
が、骨のある政治家が少ない、平和ボケ、ピンぼけの政治家ばかりなのが気になる。

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2020年02月27日

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戦後史の正体、とあるが内容は大戦後の日米関係の歴史に特化している。新聞では報道されない情報がいかに多いか、新聞で知ったことが全て正しいと信じることがいかに危険か、を知らされることとなった。
戦後の首相が「自主派」と「対米追随派」に大きく分けられる。自主派はアメリカの言いなりにはならない、ということだが、自主派の首相はことごとく短命で終わっている。あの手この手で首相の座を引きずりおろされることになる。福田康夫氏、鳩山由紀夫氏もマスコミのイメージは悪いが、自主派であった。
最後に著者は「米国の対日政策は常に米国の利益が中心にある」と述べているが、当たり前でありながら非常に考えさせられることである。TPPについても新聞を読むことも当然大切だが、その情報だけでは不足だということもある。

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2019年06月27日

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20世紀より今のほうが、日本はアメリカにやられっぱなし、というのが明確に。「自主外交路線」と「対米追随路線」で日本の歴代首相の政治を再評価している。一般常識(大手メディアの説?)とは全く違う見解が多数あって、唸りました。疑問な点もあるものの、異なる視点を得るために読む意義があったと思う。

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2017年01月06日

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国外から見ると、なぜ日本の右派が親米という屈折した構図になっているか理解しにくいようです。
しかし日本人の多くは、それが屈折してるとの認識すら持ってないのが現状でしょう。

本書は米国からの圧力を軸に戦後史を紐解いたものですが、こういう視点でまとめられたものは少ないのでとても面白く読みました。

国が悪いなんて言っても始まりません。国家というのはそういうものだからです。それなら日本は日本の国益を追求してくれる勢力が国の舵取りをしているか。残念ながら、この国で長期政権を実現した為政者は押しなべて対米従属派で、小泉総理以降その傾向はますます顕著になっています。

冷戦期のように、米国に追従してさえいればそれなりの国益が得られるという時代は20年前に終わっています。すでに日本は彼の国にとって収奪の対象でこそあれ、対等のパートナーなどではあり得ず、状況に寄れば単なる捨て駒にさえ成り得る存在です。

テレビから垂れ流される醜聞に耳目を塞がれている場合では無いでしょう。

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2016年09月28日

Posted by ブクログ

●読むキッカケ
・本屋で同著者の本を読み、それなりに正しいことを述べてる感を感じたため
・今後到来する未来を先読みしたい欲求があったため

●メモ
・直近でも、アメリカに対して反対の姿勢を持った権力者たちがいたという事実
 ーそして、それは儚くももろく押しつぶされてきたという事実
 ー結局民主的に打破するしか無い現状のシステムを考えた時、
  愚かな大衆化している日本に立ち直る可能性を見出すのは難しい気がする

・歴史の細部を知る必要は無いが、8割を構成する大きな流れ、大局的な見方を手に入れたいな
 ー恐らく、歴史は武力・闘争の積み重ねであって、覇権国・覇権者を中心としたそのせめぎあいを観るのがいいきがする
 ー誰のどんな意向で流れが形成されているのかは、常に疑問に思っている。
  そして、それは恐らく、自然発生的なものではないのだろうな。

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2016年01月09日

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元外交官が、対米追随と対米自主をさまよう日本の外交を解く。まさに今、新安保法案・TPPが成立し、完全対米追随が完了したか?石油が激安だった時代に突如原子力発電に注力はじめた原因、田中角栄をはじめとした中国に近づく政治家がなぜかスキャンダルで失脚する理由、対米追随路線を開始した吉田茂がいまだ有名なこと、などの経緯がよく理解できる。また、岸信介が対米追随のふるをして実は自主路線のため失脚したことは意外。しかし、著者の関心が官僚・政治家・財界のエリート層にだけあって、民間に注意が及んでいないのが残念。

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2015年10月26日

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分かりやすく、新たな発見がたくさん!しかし、米国批判を前提に書かれた本で少し意見が偏っているように感じた。

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2015年10月21日

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著者は外務省OB。敗戦後の占領時代以降の日米関係の実態を暴いている。

戦後初の総選挙で勝利した鳩山一郎総裁は、組閣直前にGHQに公職追放された。代わりに首相になった吉田茂が憲法を発布し、施行を見とどけた後で辞任した。日本国憲法のもとで行われた総選挙の結果選ばれた片山哲は、左派過ぎる平野農相の解任を求められて従った結果、平野派の支持を失って総辞職に追い込まれた。片山の後を継いだ芦田均は、GHQ参謀第2部(G2)が摘発した昭和電工事件で総辞職に追い込まれた。

占領下で五大財閥が解体されたが、その目的は旧経営陣を一掃して戦前の経済人の力を弱め、経済同友会を設立してアメリカに協力する人々を経済界の中心に据えることだった。占領直後、日本人の生活水準は自らが侵略した国々の水準にとどめておく方針だったが、ソ連との冷戦で日本を防波堤として使うため、1948年に経済的自立を促す方針に変更された。マッカーサーは、日本の軍事占領を早く終わらせるべきと考えていたが、トルーマン大統領との朝鮮戦争に関する意見の衝突によって1951年に解任された。マッカーサーに代わったリッジウェイは、25万人以上の公職追放解除を行い、鳩山一郎、石橋湛山、岸信介が政治的権利を回復した。

トルーマン大統領は、米軍が日本国内に駐留することを対日講和の条件とし、国務省政策顧問のダレスは「われわれが望むだけの軍隊を、望む場所に、望む期間だけ駐留する権利を確保する」ことを求めた。サンフランシスコ体制は、平和条約、安保条約、行政協定(のちに地位協定)の順でできたが、旧安保条約には米軍の日本駐留の取り決めが何も書かれておらず、国会での審議や批准を必要としない政府間の協定の方に入れられた。

敗戦後11年間の外務大臣は、自主路線(重光、芦田)と追随路線(吉田、岡崎)が次々に入れ替わったが、在任期間は追随路線が圧倒した。吉田茂は、占領期・占領後を通じて外相・首相を歴任し、その政策は自民党の政策となり50年以上継続した。日本がアメリカの保護国である状況は占領時代に作られ、現在まで続いている。

東京地検特捜部は、旧日本軍が貯蔵していた資財を探し出すためにGHQが設置した隠匿退蔵物資事件特捜部を前身とする。アメリカとの間に問題を抱え、汚職事件を摘発されたのは、芦田均(在日米軍について有事駐留を主張)、田中角栄(アメリカに先駆けて中国との国交回復)、竹下登(自衛隊の軍事協力で対立)、橋本龍太郎(金融政策で対立、中国に接近)、小沢一郎(在日米軍は第七艦隊だけでよいと発言、中国に接近)。

日本に原子力発電所を作る動きが始まった1950年代は高度成長が始まる前で、安い石油が手に入る時代だった。1954年に第五福竜丸がビキニ環礁で行われた水爆実験で被爆し、原水爆実験反対の署名が3000万人に上った。アメリカ政府は友好関係に悪影響をもたらすことを懸念したため、読売新聞の正力松太郎と柴田秀利が原子力の平和利用を提案し、紙面に社告を出すなどして推進していった。

安保闘争の中心だったブント(共産主義者同盟)は、全学連で活動していた学生たちが日本共産党からけんか別れしてできた組織だった。財界は岸首相を追い落とすためにブントに資金提供した。著者は、岸の自主路線に危惧を持ったアメリカが経済同友会を通じて反政府デモの手法を使ったと考える。

田中角栄はアメリカに先駆けて中国との国交回復した。ロッキード事件は、アメリカ証券取引委員会(SEC)が送った書類が議会に護送されて発覚した。アメリカは、賄賂を受け取った人物を公表しない立場を表明したにもかかわらず、三木首相の求めに対しては資料を提供した。日本の検察はロッキード社副会長のコーチャンに対し、アメリカに嘱託して尋問を行ったが、その際に日本の制度にはない司法取引が行われた。

冷戦後、アメリカにとっての最大の脅威は日本の経済力となったため、日本をアメリカの軍事戦略に組み込み、お金を使わせることが重要な課題となった。1995年の東アジア戦略では、日本の国際的平和維持活動が活発になることを歓迎すると書き、それを促すことによって、自衛隊の海外派遣に疑問を持たなくなったころに軍事面で使おうと計画した。9.11同時多発テロを受けて、小泉政権下の2005年に「日米同盟 未来のための変革と再編」が署名され、対象とする範囲が極東から世界に拡大され、日米共通の戦略の言葉(アメリカが決定したことを日本が同意すること)が盛り込まれ、国際的安全保障環境の改善(主権を持つ他の国家に対して自由に軍事力を行使すること)を目的とした。福田康夫は、アフガニスタンへの陸上自衛隊の大規模派遣や住宅金融機関ファニーメイ社への融資を依頼された。著者は、福田首相が自衛隊の海外派遣や資金提供を引き換えに退陣したと考えている。鳩山由紀夫は普天間米軍基地の移設先を県外にすると表明したものの、外務省、防衛省の官僚たちは何もしようとしなかった。

日本がアメリカの属国のような立場にあることは、よく指摘されていることだが、政権を転覆させるほどの工作が行われてきたと知ると、相手が突出した軍事大国だけに諦めるしかないと思ってしまう。

あとがきの中で著者は、日本がどう生きていけばいいかについて2つの事例を紹介している。終戦直後、GHQの駐留経費を削減しようとして公職追放された石橋湛山は、「後に続く大臣が同じ態度をとり続ければ、GHQもいつかは反省するだろう」と言った。カナダのピアソン首相は、ベトナム北爆反対の演説をしてジョンソン大統領からつるしあげられたが、その後の歴代の首相たちはアメリカに対する毅然とものを言う伝統を持ち続け、イラク戦争への参加も拒否した。我々有権者も汚職事件の真相を知ろうとする姿勢、マスコミの批判を鵜呑みにしないよう注意する必要があるだろう。

冷戦後にアメリカからの圧力が強くなった後も、橋本龍太郎、福田康夫といった抵抗派はいたし、鳩山由紀夫は失敗したものの自主路線を模索した。しかし、現安倍政権は歴代政権の中でもアメリカべったり。しかも、集団的自衛権によって軍事協力は拡大されることになりそうだし、TPPが妥結すればアメリカの意向にさらに従わされることになるのだろう。

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2018年10月31日

Posted by ブクログ

アメリカは対日講和条約の締結するにあたって、日本独立の条件として米軍は望む場所に望む期間、駐留させる権利を確保して行政協定を結ぶ。

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2016年03月21日

Posted by ブクログ

高校生にもわかりやすく、をテーマとのことで
本当にわかりやすかった。
戦後からもう80年、もう歴史の一部だと思うので
知識を入れようと読み漁っているが
こちらは、本当に陰謀論のような…
でもなんとなくわかるような…笑

どの立場で何を考えるか、を
自分の意見を多角的にみていきたいと思った

著者と通ずるのは、平和がいいことと
日本が日本らしく独立した国で
あってほしいということ

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2025年01月30日

Posted by ブクログ

高校生以上ですけども、難しかったな〜。
ちゃんと現代史勉強しないとだなと思った。
福田総理の辞任の見方は変わったかな。知れてよかった。

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2024年11月22日

Posted by ブクログ

戦後の日本外交は、米国に対する「追随」路線と「自主」路線のせめぎあいだった、とする観点で戦後史を整理した本です。

ただ、これも米国が世界の警察官として君臨していた時代背景が前提であり、最近のアフガニスタン撤退やウクライナ情勢等を見るに、米国の世界に対する関与は変化しているし、常に成功しているわけではありません。

更に、米国自体が内向き志向になっていることも踏まえると、今後の日本外交は、日米同盟を基軸としつつも、主権国家としての「新たな」自主路線を模索する必要があるのではないかと思います。

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2022年05月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

政治寄りの内容。

アメリカに従わざるを得ず、不平等でありながらも強く指摘することが出来ない日本。反対に、守ってもらっている恩恵もある。
建前上、アメリカに楯突いても日本に力が無いので上手く従順さを見せる必要はあるが、内部では国力をつけ、本当の意味でアメリカと肩を並べられるだけの外交力は必要。
その国力アップで先頭を切るのは、日本の企業であると考える。日本国民もアホではないので、きちんと心を掴むビジネスで国民の気持ちをまとめ、生産性を高め、本質・真実を学び、他国に対して自分の意見が言えるようにならなければならない。
その上で、政治家がクリーンになり無駄話を辞め、本当に国のため、日本国民の為に動ける人物をリーダーに据えるべき。

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2019年12月29日

Posted by ブクログ

日本の戦後史はアメリカとの関係を見ればわかるというもの。アメリカによる影響がいかに大きいかが記載されている。
アメリカは外交戦略を持っており、それが変わることによって大きな影響を受ける日本という構造。

2018/11/15
安保条約はアメリカぎ望むだけの軍隊を望む場所に望む期間だけ駐留させる権利。
植民地化するために少数派を支援するのはセオリー。
ニクソンの訪中は佐藤首相の繊維密約の報復。

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2014年09月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なぜ日本がこんなにアメリカ重視になったかを、いろいろな史実を通じて解説した本。なるほどと思う一方、ちょっと偏っている様な気もしたり、納得できる部分もあったり。

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2016年06月28日

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