孫崎享のレビュー一覧
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ネタバレ我々日本人は「アメリカは日本の同盟国として中国に対峙してくれる」と、無邪気に信じ込んでいないだろうか。「アメリカが中国とのパートナーシップを選ぶ」という可能性について、真面目に考えたことがないのではないだろうか。そもそも歴史的に見てアメリカは中国寄りだった時期も多いわけで、いつまでも東西冷戦の枠組みの中でしか考えようとしない我々は非常に危うい。ロシア、北朝鮮、そして韓国といった「決して穏やかでない」隣国に囲まれた我が国は、どのように生きのびていくべきなのかを真剣に考える必要がある。60年前には殺し合っていた独仏に、多様な宗教、政治体制を乗り越えて連帯するASEANに学ぶべきところは多い。
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Posted by ブクログ
ネタバレ本書はカナダ、アメリカ間の外交の歴史について記述されているが、この辺の事情に疎いので知識としては頭の中に蓄積されないだろうなと思いつつ読んだ。多分、首相の名前すら忘れてしまうだろう。
結局、外交上重要なのは、どこ(誰)にどのようにアプローチしたら効果的なのかを考えることなんだろうと思った。それは仕事でも同じ。
本書を読み終えて、一番印象に残ったのは
P218
今日のアメリカのカナダ政策は「ニクソン・ドクトリン」政策と同じで
ニクソン・ドクトリン政策の前提は
・成熟したパートナーは自己の独立した政策をもつ
・各国は自国の利益を明確化し、自己の安全に必要なものは、独自に確保し、自己の進む方向は独自に決めるもの
・国家間であれ、国内間であれ、もっとも強い一体性は多様性を尊重するところにある
これは「7つの習慣」とも一致する
筆者の他の著書も読んでみようと思う -
Posted by ブクログ
【結論】
日本にとって、中国やロシアと軍事的に対抗するのは現実的でなく、
紛争回避を第一に、経済分野での協力関係を強めることで、問題を棚上げする。
外交官から防衛大学教授の経歴の著者の提言
【内容】
第6章 感情論を超えた国家戦略とは
215/領土問題は領土単独の問題ではない。国家関係全体の関係の象徴的存在として
領土問題が現れる。
尖閣も、日本と中国とどう付き合っていくかという延長線上にある。中国の扱いに戸惑っている。
222/9つの方策
?相手の主張を知り、自分と相手の間にどれだけ客観的な言い分の差があるかを理解し、
不要な摩擦を避ける。
?紛争を避けるための具体的な取り決めを行う。
?第三者をいれる。
?緊密な「多角的相互依存関係」を構築する
?国連の原則を全面に出す。
?日中間で軍事力を使わないことを共通の原則として、しばしば言及し、互いに遵守の機運を
醸成する。
?係争地周辺の事業では、未然に紛争を防ぐ協定を作っておく。
?現代の世代で解決できない問題は棚上げし、棚上げ期間中は武力行使しないことを約束する。
?係争になりそうな場合、いくつかの要素に分割して各々個別に解決策を見出す。
231/政治家の中には、自己の勢力を強め、自己が推進したいと思う政策を進めるために
領土問題を煽るひとがいる。
・私たちは、政治家が領土問題で強硬発言をする時は、彼はこれで何を達成しようと
しているのかを見極める必要がある。
【感想】
わかるし、ごもっともなのだが、愛国感情とは相容れないなぁ。 -
Posted by ブクログ
福沢諭吉が「脱亜論」において、「支韓両国は数年以内に亡国となり、諸外国に分割されることは疑いの余地がない。よって、支韓と伍するのを脱して西洋の文明国と進退を共にするべきである」と喝破して以来150年もの間、戦前は軍事力において、戦後は経済力において、日本の国力はずっと中国を上回っていた。けれども、近い将来中国の経済力は米国をも追い越し、超大国として君臨することになる。軍事的にも、もはや日本が中国に対抗するという選択肢はありえない。このような状況の中で、米国は東アジアにおいて、日本よりも中国を重視するようになってきている。一方の日本はといえば、経済は停滞したままであり、少子高齢化には歯止めがかからず、国力は衰える一方である。明るい話題はなにもない。まずはそれを認めた上で、では日本はどのような道を進むべきなのだろうか?
ASEANは、イスラム教、仏教、キリスト教国を含み、多様な民族・価値観を内包する共同体である。それにもかかわらず、今やASEAN諸国間で軍事衝突が起きる可能性は極めて低い。著者は、ASEANの叡智に倣って、日中韓で「東アジア共同体」を形成すべきだと説く。
中国は経済的に日本を追い越したとはいえ、それは単純に人口が多いためだ。一人あたりで考えれば、依然として貧しいままである。(一人あたりGDPがブルガリア、トルコ、メキシコ並みになれば、中国の経済力は米国を追い抜くことができる。)貧富の差・地域格差は拡大し、環境破壊は甚だしく、共産党の独裁が続く。そして国内には、政府が「核心的利益」と主張するチベット、東トルキスタンという大きな民族問題がくすぶる。そんな中国の覇権は長くは続かず、きっとどこかで破綻するに違いないと思ってしまう。
けれども、中国では伝統的に権威を重んじ、権力は「天」から授かったものとみなす。したがって、(善政を行っている限りにおいては)民主主義体制でないことは中国民衆にとって問題ではないのかもしれない。共産党が国内の不満を抑え込むためには経済成長を続けるしかなく、そのためには外国との経済的結びつきを強めるしかない。そうすると、中国は外国に対して宥和政策を取らざるを得ない。ということは、意外に中国はずっとこのままなのかもしれない。それがまさに、「不愉快な現実」なのである。 -
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左寄りの、日中、日ロ、日韓共存論。
アメリカがすでに、日本を緩衝材としての中国政策をオフショアバランシングとしているというのはままあることだと思う。
中国の軍事力、GDPを冷静に直視した時に、日本が考えられる行動を客観的に分析し、かつ、最も有用な策を練る。
そんな行動ができないのは、WW2から一向に進歩してないということか。
ただ、だからといって、手放しで中国やロシアと友好関係と行くとも思えない。
両国民の間にある不信感や敵愾心を超えて、Win-Winの関係にするのは並大抵ではないと思うので、その対応策なども論じて欲しかった。
読後、右から中道右派ぐらいには振り戻ったかな。 -
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近年の日本の安全保障事情の解説と分析。基本書的位置づけ。
日本の一般大衆が抱く日米同盟の「誤認識」を指摘し、米国のアジア戦略における日本の位置づけが、中国の軍事的経済的台頭によって変わっていることを、日本の安全保障事情の歴史的な背景と変遷を含め様々な情報を駆使して詳しく解説・分析している。また、日本の今後の安全保障戦略を考える上で、企業戦略の視点を導入しているところが面白い。
残念なのが、今後日本が取るべき安全保障戦略内容の具体性に欠ける点だ。伝統的な日米同盟関係維持から脱却し、東・東南アジア諸国との関係改善に努めるという方針は賛成だ。だが、それを示しただけでは日本の今後の安全保障戦略について分析したことにはならない。次はこの点を深めた孫崎先生の見解を、是非、出版して頂きたい。