【感想・ネタバレ】カナダの教訓 超大国に屈しない外交のレビュー

あらすじ

超大国アメリカの隣に位置し、強い圧力をかけられながらも、自主外交を貫いてきたカナダ。本書では、在カナダ大使館公使を務めたこともある元外務省国際情報局長が、要人への膨大なインタビューをもとに、カナダ自主外交の真髄を徹底的に探る。カナダの歴代首相は、安全保障・貿易・経済政策など、アメリカとは異なる価値観の中で、進むべき道を模索し続けてきた。ピアソン首相は北爆反対の演説をしてジョンソン大統領から吊し上げにあった。ディフェンベーカー首相は核保有とキューバ危機への対応をめぐり、アメリカの圧力によって首相の座から引き摺り下ろされた。それでも、対米政策論議に「不可侵とされる聖域」はない――これがカナダの自主外交に一貫して流れる思想なのである。TPP、オスプレイ、尖閣問題……超大国からの圧力に苦しみ、混迷を極める日本外交に、貴重な示唆を与えてくれる1冊。ベストセラー『戦後史の正体』の著者の伝説的名著、待望の電子化!

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Posted by ブクログ

カナダの教訓
超大国に屈しない外交

「日本外交の目指すべき道が見えてくる。」
「国力は10分の1以下。それでもアメリカの言いなりはならない」とのキャッチフレーズがつけられているが、本書は単に外交だけでなく、
「圧倒的なパワーに対峙する際の個人としての身の処し方」という点でも大いに示唆的。

「都合の悪い正論は、圧力をかけて黙らせる」というのが強者アメリカの姿勢。
それに対し、盲従ではなく、
「多少のコスト負担に妥協はしながらも、自己の信念を貫徹する」のがカナダの姿勢。貫徹の姿勢をブレずに堅持すれば、それに敬意を払う良識派が、必ずアメリカの中から出てきて、力を恃んだ暴走にブレーキをかける作用をする。逆に、何に対しても無定見に盲従する者が得るのは侮辱でしかない。カナダは建国以来の歴史でこのことを学習し続けてきた、と筆者は綴る。

私がここで日本外交のあり方について論じるのは差し控える。しかし、個人の処世術という点でカナダのやり方をよく見てみると、会社において上司と如何に接するか、地域において地元有力者と如何に接するか、こういうケースを考える場合でも、大いに通用するように思える。

両国の外交面でのエピソードを多く紹介しながら、本書は表題の根拠を明示していく。

人はみな、多かれ少なかれ、有形無形の圧力に悩まされながら生きているのではないかと思う。そんな圧力の「うまいかわし方」のヒントを、本書は与えてくれているように思った。

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2013年02月03日

Posted by ブクログ

カナダのアメリカとの関係を歴史をもとに検証。
日本と対比して書かれているが、立地条件、過去の戦争を考えると筆者の見解はちょっと行き過ぎの感はあるが、国際的な立ち居地を踏まえて超大国アメリカと接していくエッセンスがある。
日本はアメリカを怒らせず、良好な関係を続けることが政治家の重要なスタンスということであるが、今後自立をしていく上でアメリカとの関係を検証していくことは必要なのかと考えさせてくれた。

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2013年02月03日

Posted by ブクログ

孫崎享氏の本は実に読み易い。普通外国語を訳して引用すると非常に読みづらくなるのだが、ほとんど違和感のない文章になっているからだ。

カナダがメキシコと異なった外交をとれた理由が知れる一冊。
それにしても相当カナダに対するアメリカの政治的な圧力が非常に強い。

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2013年01月09日

Posted by ブクログ

カナダ。
悪いイメージはない。というか何も知らないだけかも。

首相が誰かわからないし、ましてやアメリカとどのような外交をしてきたかなど全く知らなかった。

勉強になった。

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2013年04月19日

Posted by ブクログ

集団を集団が説得する場合、、ほぼpoliticalになるんだなぁというのが正直な感想。今回は「アメリカ‐カナダ」の関係ですが、、某通信業界も某鉄道業界も基本、今回の相似系です。。物事を動かすにはUnder water/Undergroundでの動きが全てですね。「謀攻篇(戦わずして勝つ)」そのままですね。

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2013年02月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本書はカナダ、アメリカ間の外交の歴史について記述されているが、この辺の事情に疎いので知識としては頭の中に蓄積されないだろうなと思いつつ読んだ。多分、首相の名前すら忘れてしまうだろう。

結局、外交上重要なのは、どこ(誰)にどのようにアプローチしたら効果的なのかを考えることなんだろうと思った。それは仕事でも同じ。

本書を読み終えて、一番印象に残ったのは
P218
今日のアメリカのカナダ政策は「ニクソン・ドクトリン」政策と同じで
ニクソン・ドクトリン政策の前提は
・成熟したパートナーは自己の独立した政策をもつ
・各国は自国の利益を明確化し、自己の安全に必要なものは、独自に確保し、自己の進む方向は独自に決めるもの
・国家間であれ、国内間であれ、もっとも強い一体性は多様性を尊重するところにある
これは「7つの習慣」とも一致する

筆者の他の著書も読んでみようと思う

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2013年01月30日

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