孫崎享のレビュー一覧
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ネタバレ日本に存在する(日本国として)領土問題。
色々な意味で知っていなかったことがこの本で歴史的事実と一緒に分かった。
日本固有の領土として主張する尖閣諸島も、日本古来の領土と言っているが1870年代以前に日本の領土であったことはないと言う事実。
北方領土も第2次世界大戦で放棄したが、アメリカがソ連と日本の国交回復を複雑にするため領土問題を曖昧にし、日本は北方領土返還を主張しソ連との良好な関係が構築出来なかったこと。
敗戦で領土を放棄し、その決着はポツダム宣言を日本が受諾したことにより決定したことであることを受け止めないといけない、それを国家は国民にちゃんと説明していない。
ドイツは敗戦により -
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日米関係の見方、国益を確保するための国際戦略の考え方を精緻な理論で解説。著者は外務省で分析課長と国際情報局長にあった方である。
主な論点は以下の通り。「真珠湾攻撃から9・11」「イラク戦争継続の理由」「核兵器使用の戦略」「アメリカの戦略の変遷と翻弄される日本」、そして最後に「これからの日本外交の試案」。
日本参戦時のチャーチルの歓喜の理由を解説した上で、9・11を故意に防がなかったと思われる状況証拠を提示するなど、歴史が繋がっていることを分からせてくれる。この10年のアメリカ・日本・北朝鮮の動きも、当事者ならではの稠密な情報がコンパクトにまとめてある。
現代史、外交に興味がある人は必読 -
Posted by ブクログ
孫崎享著『戦後史の正体』が出版されたのが2012年7月。これを補完するような形で2012年9月に出版されたのが単行本『アメリカに潰された政治家たち』(小学館)で、本書はその文庫化である。
アメリカの「虎の尾」は「在日米軍の削減」と「日中関係の改善」の2つで、これらを踏んだ政治家はアメリカに潰されてきた。
岸信介は対米自主路線の政治家だった。日米安保条約を改正して行政協定を改定することを企んでいた。その岸は「60年安保」の学生運動で退陣に追い込まれる。
田中角栄は日中国交正常化(1972年9月)を成し遂げ、ニクソンの電撃訪中(1972年2月)に泥を塗ったため、ロッキード事件で逮捕された。
アメリ -
Posted by ブクログ
ネタバレ本作のテーマは「日米開戦」「真珠湾攻撃」。
若者から面倒臭っ、古臭っ、みたいな反応がありそうです。ただし、氏のテーマ設定の背景は深遠です。『日本は今、「あのとき」と同じ歴史的曲がり角にいます』、と冒頭で述べます。
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今、TPP、原発はじめエネルギー問題、消費税増税、国の借金等問題がありながら、正論が叩き潰され、言論が密かに封殺されるような現代社会。
今なら無謀な戦いだと理解できる約80年前にも、正論が覆され、自己の保身から統治責任を放棄した政治家や軍人たち、そして現状をあおったマスコミや論壇があった、という話です。
現代を危機と捉えるものの問題には直接触れず、逆に80年前の状況を