あらすじ
日本の戦後対米史は、追従の外交・政治史である。なぜ、ここに描かれた政治家はアメリカによって消されたのか。沖縄と中国問題から、官僚、検察、マスコミも含めて考える。岸信介、田中角栄、小沢一郎…。
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Posted by ブクログ
孫崎享著『戦後史の正体』が出版されたのが2012年7月。これを補完するような形で2012年9月に出版されたのが単行本『アメリカに潰された政治家たち』(小学館)で、本書はその文庫化である。
アメリカの「虎の尾」は「在日米軍の削減」と「日中関係の改善」の2つで、これらを踏んだ政治家はアメリカに潰されてきた。
岸信介は対米自主路線の政治家だった。日米安保条約を改正して行政協定を改定することを企んでいた。その岸は「60年安保」の学生運動で退陣に追い込まれる。
田中角栄は日中国交正常化(1972年9月)を成し遂げ、ニクソンの電撃訪中(1972年2月)に泥を塗ったため、ロッキード事件で逮捕された。
アメリカはあらゆる手を使って覇権を拡大してきた。日本に対してもあらゆる手を使っている。CIAが工作をし、マスコミをコントロールし、世論を誘導する。それは証拠が出ないような裏工作であるから、証拠を示すのが難しい。ゆえに孫崎氏の推理によって論を進めているところがあり、ゆえに「陰謀論」と揶揄されることがあるようだが、「証拠がないと説得力に欠く」ということでもあるまい。