あらすじ
一九五〇年六月二十五日、金日成率いる北朝鮮軍が三十八度線を越えて韓国に軍事攻撃を行ないました。韓国軍を破り、一気に釜山近辺まで迫ります。ここで米国を主体とする国連軍が投入され、逆に三十八度線を越え、北朝鮮に入り、中国との国境線まで進軍します。そして中国が義勇兵を送り、朝鮮戦争は姿を変え、実質的に米中戦争になります。結局、戦前の三十八度線の境界線を確認して、戦争は休戦します。境界線は、戦争前と戦争後は何も変わっていません。「朝鮮戦争に何の意義があったのでしょうか」。当然の問いです。(「はじめに」より)
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Posted by ブクログ
外務省で各国に駐在し大使まで務めた、外交の専門家が著した書。
正直、驚きの連続だった。僕の学生の頃なんて遥か昔だが、日本近現代史はさらっとしか触れなかった。当然朝鮮戦争も本の数分のレベルの知識しかなく、此処まで掘り下げた知識はなかった。
日本がポツダム宣言を受諾し降伏したその日の夜に「日本人の要請で」建国準備委員会が設立され、20日後には「(統一)朝鮮人民共和国」樹立が宣言されたこと。それが米ソ両大国の思惑で承認されず、南北の分割統治になったこと。だが米ソどちらも決して統一のための戦争は望んでいなかったこと。朝鮮戦争勃発にともない、秘密裏に日本人が参加していたこと、法律ではなく政令で警察予備隊をつくったこと、、、
まだまだこの時代のことは、知識が無さすぎます。引き続き吸収していきたい。
Posted by ブクログ
¨忘れ去られた戦争¨と言われる朝鮮戦争。なぜ起こったか、日本の関与について等の歴史を振り返りつつ現在の朝鮮半島情勢を語る一冊。
「〇〇の正体」の著作で日本の外交の秘密を次々に暴く筆者の最新作は朝鮮戦争について。日本ではあまり知られていない戦争であるが敗戦からの日本の復興とその後現在まで続く朝鮮半島情勢を知るに朝鮮戦争の欠かせないだろう。
本書は日本の敗戦つまり朝鮮戦争総督府の解体、朝鮮人による自治国、幻の「朝鮮人民共和国」、それをつぶすソ連とアメリカ、中国それぞれの立場から半島の分断に至る道を詳述。信託統治領から分割占領に変わるまで。大国の思惑と誤算により戦争に発展、国際政治は実に興味深い。翻弄される朝鮮民族。
政令による警察予備隊の創設。密かに戦争に参加したいた日本人のほか本書は警察予備隊が朝鮮半島に進軍することも想定していたことを検証していく。
実に興味深く読める本書、難を言えば今後への提言。ほぼ不可能な朝鮮民族自身による選択か、全く機能しないと分かった上での南北の形式的連邦の創設。
おそらく筆者の一番主張したかった部分は憲法違反、審議もせず警察予備隊を創設したことと日本人も朝鮮戦争に参加していたという事実だろう。そちらよりも、その説明のための朝鮮戦争に至る道、「朝鮮人民共和国」についてが印象に残った。
異論もあるように思うが筆者の作品はもう少し読んで見たい。何か狂気めいてるカンが働いてしまうのだが。
Posted by ブクログ
米国では忘れ去られた戦争とも呼ばれる朝鮮戦争。日本も公的に参加していたが、その事実すら多くの日本人には知られていない。そんな朝鮮戦争とは何だったのかをまとめた本。朝鮮戦争は米軍が常に戦う軍隊となり、軍産複合体が米国を動かすきっかけとなった。金日成も李承晩も外国が外国から連れてきた人間で、どちらも真に現地の朝鮮人の思いを代表するものではなかった。義勇兵を送った中国は事前に相談を受けておらず、台湾解放はこれをきっかけに遅れた。日本の降伏後、日本の総督の呼びかけのもと朝鮮人民共和国という統一政権が樹立されたのに米ソの思惑で潰されて分断された。