坂爪真吾のレビュー一覧

  • 情報生産者になってみた ──上野千鶴子に極意を学ぶ

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    2018年に読んだ上野千鶴子の『情報生産者になる 』のアンサー新書です。上野ゼミの卒業生たちがいかにゼミでインプットし、いかにアウトプットしていったか?という記録です。いや、インプット、アウトプットというより、どんな「問い」を自らに立て、どんな動機で、どんな行動で、上野千鶴子に鍛えられていったか、を自ら振り返る「学び」のデコン集です。『情報生産者になる 』は出版されてすぐ読んで大きく刺激を受けましたが、『情報生産者になってみた』の存在は知らず、本屋さんの店頭で発見しました。前著にも影響受けましたが、この本もじわじわ効いてきそうです。この本棚にも入れている『「育休世代」のジレンマ』の著者の中野円

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    2025年09月07日
  • 風俗嬢のその後

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    以前、駅のプラットフォームで、電車に轢き殺されたハトの死骸を、カラスが無感情に淡々と貪っていた光景を目撃したことがある。ただ立ち尽くし、まばたきすら忘れるほど見入ってしまった。目の前で起きている現実に、恐怖と同時に「新しい何か」が自分の中で静かに芽生えるのを感じた——あの感覚に、少し似ている。

    この本『風俗嬢のその後』を読んで感じたのは、まさにその「既知の輪郭が崩れていく」ような感覚だった。これまで私が生きてきた日常の延長線上には、絶対に存在しないであろう現実。風俗という世界の中で働いた女性たちの、その後の人生——家庭を持った者、風俗に戻った者、起業した者、孤独に生きる者。どれもが一様ではな

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    2025年07月25日
  • 風俗嬢のその後

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    「風俗産業でなぜ働き始めたのか、そしてどうやって卒業したのか」を13人の女性が語る。
    ここで語られた方たちは、うまくいった人たちだ。彼女たちによると風俗業を卒業するには
    ①良い店を選ぶ ②目標をもつ ③専業にしない ことだという。
    これができるのは限られた人たちで、大方はもっと厳しい。経済的に追い込まれると尚更であり、一般の社会に戻るにも、風俗で働いた期間が履歴書上では空白になりやすく再就職の道を険しくする。女子大生が語った、「就職するには『ガクチカ』が大切だけど、それは時間と金のある人間ができること」の言には胸が締め付けられた。

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    2025年07月15日
  • 風俗嬢のその後

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    さっき書いたのが消えたので手短に。元風俗嬢へのインタビュー集です。

    僕のイメージ、精神病の人で、多数とセックスしても大丈夫な人しか務まらない職業と思っていた。まあ実際にそういう人も居るのだけど。両親が医者で(成功者で)、家庭で愛されてなくて、中学生からパパ活して、そのおじさんが『やさしい人』と表現したりとか。ボーダーっぽい人。自分が男性の性欲でしか価値が無いとか書いてた気がする。自傷のついでにお金をもらいたいっとかもね。

    でも他のタイプの人も居た。留学費用溜めて博士課程取ったり、大学の学費の分だけ働いて止めたりとか。それで精神的なトラウマもない。こういう人にとってはただの割のいい仕事なんだ

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    2025年06月08日
  • 風俗嬢のその後

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    脱ぐ仕事をしたきっかけや辞めたきっかけを追うルポ。暗いその後を勝手に想像していたが、資格取得や結婚といった形で新たな道を見つけている(そもそもインタビューに答える人だから不幸せな人は少ないのかもしれないが)。風俗という選択肢のあり方を考えさせられる渾身のルポだ

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    2025年05月25日
  • 障がいのある人の性 支援ガイドブック

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    この本には障害者の性とどう向き合っていくか、現場で戦ってきた支援者たちの様々な知見が書き込まれている。
    だが、それを参考とし障害者の性を実際に支援していくにあたって避けられない問題がある。それは、まずとりもなおさず自分自身の性との向き合い方を問い正していく必要があるということなのだ。
    それなしには結局全て、本質から目をそらしたきれい事にとどまってしまう。
    支援が見て見ぬふりや目先の対処のままとなることに、つながってしまう。
    そして、そうこうしているうちに障害を持たれた方の人生があっという間に過ぎていき、やがて死を迎えてしまうことになる。
    おそろしいことだ。

    何度も読み返しつつ、とりあえず自ら

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    2024年11月30日
  • 男子の貞操 ――僕らの性は、僕らが語る

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    時間軸を意識して、今の自分達に合った性習慣を、自分達で作り上げる。
    タブーを破る快感から積み重ねる快感へ。

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    2024年09月21日
  • 日本百名虫 ドラマティックな虫たち

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    もう1冊の『フォトジェニックな虫たち』と合わせて百匹の虫が紹介されている。
    2冊に分ける必要があったかは疑問だったが、新たに知れた虫もたくさんあり、昆虫への愛に溢れた素晴らしい本だった。
    著者が各々で「私の百名虫」をつくってみて欲しいというのは素敵な提案で、一つの目標となった。

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    2023年10月16日
  • 「身体を売る彼女たち」の事情 ──自立と依存の性風俗

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    ネタバレ

    ひとことでは片づけられんなー
    >福祉は「最後の砦」の機能を、性風俗に奪われている。
    世の中の政治や行政はあまりに現実の理解が浅いのではないか。

    母乳プレイ、とかあるのか、、

    P81  「ホームレス」は、特定の人間や集団を指す言葉ではなく、 「住まいのない状態」にある。同じように考えると、「風俗嬢」とは、特定の職種や集団内にいる女性を指す言葉では なく、「多重化した困難を一気に解決するために、自らの身体や感情を分単位で切り売りする(せざるをえない)状態」にあることを指す言葉だと言える。

    P85 母親がうつ病で実家に戻れない、父親が生活保護を受給しており経済的に頼ることがで きないなど、家族

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    2023年12月10日
  • 情報生産者になってみた ──上野千鶴子に極意を学ぶ

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    「情報生産者になる」が思いの外良かったので、続けてこの本も読む。

    坂爪さんの研究には流石に引くが、この本を完成させてくれたことには感謝。
    最後の座談会がすごくいい。

    正直な物言いに、驚いた。
    「女性学ってやっぱり運動だったのよ。」
    アカデミズムの場で、「運動」を行うことを意識的にやっていたのだなと、その姿勢に感動。アカデミズムが後進を育てることができなかったこと、一人も上野ゼミに希望者がいなかった年がショックだったこと、そこから指導法を変えたこと。お茶の水の原ひろ子先生を尊敬していること。立命館で原さんがやったことを自分もやろうと思い実践したこと。自分の一生を賭けて一作書く人たちをサポート

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    2023年02月09日
  • パンツを脱いじゃう子どもたち 発達と放課後の性

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    性被害を受けやすいのが女性ということもあって女性への支援に多く言及しているけど、そもそも“診断基準が男子を基準に作られているので女性の発達障害が見えづらい”というジェンダーギャップがあることに驚き。

    この本で紹介されている障害者に対して行われている性教育のプログラム、普通学級でもこういうしっかりした性教育必要だなぁと思った。“障害のない人なら大学進学してその人間関係の中で恋愛やセックスについて学ぶ機会もあるけど”と書いてあるけど、大学って別にそういうこと学ぶためにいくのでもないし、そんな曖昧なものに任せてるから日本の性教育ってダメなんじゃないの?と。

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    2022年04月01日
  • パパ活の社会学~援助交際、愛人契約と何が違う?~

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    基本的には自分と異なる世界線に存在するものだとは思うんだけど、色々調べてみると、社会の鏡であることがわかる一例ではないだろうか。自分には関係ない、とか、穢らわしいとかで済まさずに、少し考えなをすきっかけとなる一冊となった。

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    2022年01月09日
  • 情報生産者になってみた ──上野千鶴子に極意を学ぶ

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    開沼さんの「明確化・俯瞰・構造化」というキーワードが、本書全体を分かりやすく理解するための観点となる。この部分だけを読んでも一級品。

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    2022年01月06日
  • セックスと超高齢社会 「老後の性」と向き合う

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    どうにかなるとも思えない。
    これから老いていく自分の絶望感が鮮明になった。
    ジタバタすることさえできるかどうか不安だ。
    不安感。絶望感。
    この2つに尽きる。

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    2019年05月13日
  • 未来のセックス年表 2019-2050年

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    傑作。テクノロジー・貧困・差別など話が多岐にわたり、人類の未来や社会制度設計について哲学的な問いを投げかける一冊。

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    2019年05月07日
  • 未来のセックス年表 2019-2050年

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    一見セックスについて書いてある本と嫌厭されがちですが、僕はテクノロジーの進歩について書いてある非常に興味深い良著だと思います。
    テクノロジーは線形的ではなく幾何学的に進歩していくなかで、今後20年後の2040年頃にはひと昔までは夢物語(例えていうならドラえもんの不思議道具)が一部実現しているようです。たった20年後、です。
    技術革新についての本を読むたびに、今のうちにチームビルディングを徹底的にやっておく重要性をヒシヒシと感じます。今ある仕事がAIに置き換わられた時に残る仕事は何なのか。「10年後の仕事図鑑」でも書いてあるとおり、「あなただから」と言われるような、自分をブランディングしていく時

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    2019年03月25日
  • 男子の貞操 ――僕らの性は、僕らが語る

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    世の中のエロや商業的な性の何が問題なのか、批判だけにとどまらず、どう考え、行動していけばいいかも、豊富な資料をもとに、わかりやすく説明している。

    性の主体者であることに無自覚な男性にもぜひ読んでほしいし、女性にも男性の気持ちや彼らを取りまく環境がわかって、深く考えさせられる。

    闇深き、怪しき、性の世界に対して、私たちが変えられることは何なのか。著者が主宰するホワイトハンズのイベントも紹介されているので、ぜひいずれ参加してみたい。

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    2019年02月01日
  • セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱(小学館101新書)

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    性リテラシーの必要性と行政の無理解の狭間で
    論理的に展開していて面白かった。
    性の問題を論理的に考えるということがどういうことかわかって、あらゆる?問題解決の方法を提示していて考え方の整理ができる。

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    2018年03月18日
  • 性風俗のいびつな現場

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    他の方のレビューで興味を持って読んでみた。
    仕事上支援していく中で風俗関係の勤務をされている方の対応に戸惑うことがあった。解決策が見出せたわけではないが、こちらの姿勢を見直すきっかけになった。

    覚書
    何らかの形で既につながっている行政福祉との関わり方が課題
    ソーシャルワークと風俗の連携のモデル
    風俗は社会福祉の敵ではなく味方として社会問題としての貧困と戦う
    否認でも黙認でも公認でもない「容認」を目指せ

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    2018年02月08日
  • 見えない買春の現場 ~「JKビジネス」のリアル~

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    リフレを恋愛道場とみなす発想はユニークにみえて的を得ているように思える。
    買春側からフラットな視線で考察していのも斬新。裏モノジャパンが月間買春という扱いで紹介されていた。この著者はインタビューして行く先も上っ面じゃないのが素敵。

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    2017年08月25日