坂爪真吾のレビュー一覧
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ホワイトハンズという障がい者への性的介助サービスを行う団体の代表である著者が、障がい者と性の問題について様々な角度から実態と問題点を書いた一冊。
障がい者の性について、教育・犯罪・家族・マイノリティー・歴史・恋愛・結婚など様々な視点から書かれており、非常に勉強になりました。
そのなかでも障がい者の子供の話は印象に残りました。
また、性という人間において最もデリケートで、かつ誰もが持つものについて、障がい者において性とはどのように扱われてきたのか知ることができました。
そして、障がい者の性の問題を解決するために著者が行うホワイトハンズをはじめとした様々な支援団体があることやその活動内容から実態 -
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妊婦・母乳専門店に地雷専門店、そして熟女専門店。
この特殊な「専門店」。
そういった需要があることにも驚いた。
男性の欲望はあまりに単純で、細分化されすぎていてめまいがする。
供給もまた同じようにあり、その供給者の多くが根深い問題を抱えている。
性風俗、というと多くの人は蔑みの目を向けるだろう。
男性ならば利用して医療がいまいが、単純に女性を貶めるような考えのもと、女性ならば女の価値を下げるものとして、従事者ならばデリヘルより、ソープより、私の方がまだまし、とランク付けを行う。
しかしそんな単純な図式で性風俗は語れるのだろうか?
ひっそりとあることをないことにして、見ないようにして、悪の巣窟 -
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タイトルに興味を持ったので購入してみた。
内容は、デリヘルを起業した障害者、妊婦。母乳専門店、激安店、地雷専門店、熟女専門店というデリヘルでもどちらかというと美人高級店とは対照的な立ち位置にある店舗の実態現場レポートと、そこに働く女性たちを救うには行政側の福祉との関わり合いが必要であるという筆者の考えをまとめたもの。
いわゆる風俗業を「存在は悪であってなくすべきであり、そこで働く女性たちも業界から救い出す」という考えではなく、風俗は世の中から無くならない職業であり、是認はしないが容認し、働き続けることを前提に女性が精神的にも経時的にも自立するにはどうしたらよいかという問題に一定の解決策を提 -
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性風俗のリアルを描き、その現状分析、問題・課題の抽出、さらに解決策の提案まで行うという意欲作。
・新しい視点の提供
風俗は粋な文化、
風俗は夜のライフワークバランスをとるためのツール、
社会のグレーな部分を吸収してくれる社会的装置、
風俗は貧乏な女性たちにとってこそ必要、
支援としての性風俗、労働の場の提供
・妊娠、母乳専門の風俗
妊娠前後の働き口のない女性たちの、稼ぎ場所になっている。しかし、実際はここではたらくことのできる女性たちが少ない。
なぜって、倍率がめちゃ高い。店は10の応募に対し1,2まで絞り込む。美人でなければ売れないからだ。他にも、勤務態度が良くなければ困る。だから厳選す -
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不倫を一種のウイルスにたとえて、それを予防し回避するための「ワクチン」や「処方箋」を提示することを試みる。
「不倫は防げない」という現実から目を背けることなく、現実的に可能な解決を探っていく。
結論としては、次善の策として、 婚外性交渉を社会的に条件付きで受容し、不倫によるリスクを低減させることを提案する。
センシティヴな領域であり、皆が納得する結論を得るのは極めて困難と思われるが、考えるきっかけを与えることが本書の妙とも言える。
人間である以上、「性」の問題からは逃れられない。
その中で、いかに善く生きていくかを考えるヒントが盛り込まれた、「(真面目な)性の教科書」と言える。 -
Posted by ブクログ
帯のイラストからあからさまに「狙ってる」感じを受け当初はスルーしようと思ったが、著者の経歴の「重度身体障害者向けの性的介助サービスを提供するNPO」については以前どこかで読んだことがあり、また個人的にも不倫の社会的コストへの対処の必要性を感ずる機会があったため、興味をそそられ購入。
現在一般に受容されている一夫一婦制を相対化するだけなら別に目新しくもないが、その制度的・生物学的な矛盾の軽減策としての「ポジティヴ婚外セックス」を "the least worst option" として提示する視点が斬新。あくまで「軽減」策であって「解決」策ではないと断りながらも、「不倫ワ -
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恋愛もセックスも、そこに至るまでに人間関係を積み重ねなければいけない、面倒くさくてコスト(時間もお金も)のかかるもの。
職場や友人以上に濃い人間関係をつくりあげるんだから、その労力たるや。
日本人男子がセクシャルデビューするまでの背景、問題点を過去の日本の風習なども引き合いに出しながら解説し、その処方箋として解決策が提案される。話題が広い分、広く浅くといった感もしなくもないけれど「男性向け性教科書の古典」を目指したという著者の意気込みが感じられたかも。
本のタイトル「男子の貞操:僕らの性は、僕らが語る」は、サブタイトルの「僕らの性は、僕らが語る」のほうが、ターゲットとしている読者層に届きやすか