坂爪真吾のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
貧困女性のセーフティネットの一つに風俗産業がある。しかもジャンルが細分化し、若さや容姿を求める訳でないニッチなニーズ(もはやニッチでないボリュームだったりする)にマッチすべく、熟女から地雷系まで「女性」というだけで受け皿が用意されるご時世。
女性側も簡単に足を踏み入れられ、もはやひと昔前の「苦界」でもないような感覚すら覚える。
ただ問題はそのニッチでさえ適合できない女性がいて、そこにセーフティネットとして風俗産業だけに任せ切りにできない難点もある。
この手の風俗を社会学的見地から論じたものは資料として読むことか多いが。著者のこの論点は上段からの物言いでなく腑に落ちるものである。
(以下引用)
『彼女たちを「社会的弱者」「性的搾取の犠牲者」といったレッテルを貼って審判するのではなく、私たちと地続きの世界で、誰もがぶつかる可能性のある問題と戦っている「最前線の隣人」とみなして、対等な立場に立った上で(以下略)』
対岸の火事ではないのだ。 -
Posted by ブクログ
この本は、とりあえず「お前らAV見過ぎ!」ってことを言いたいんじゃないかなと思います。
それはそうなんですけど、そうなってしまう男の事情もあって、その説明の仕方は独特でおもしろいです。
筆者は、第二次性徴から「初体験」までの7,8年くらいの間にエロ産業にドップリ浸かってしまうことが問題で、そうするとエロの「記号」を大量に消費する習慣が身についてしまっているといいます。「記号」ってのは、JKとか人妻とかいうラベルのようなものでしょう。そうすると、人格的な観点ではなく、記号的な観点からしか相手を認識できなくなってしまうということを述べています。
ただ、そうはいっても世の中の夫婦はそこそこ幸せな家庭を築いていると、僕は結婚していないけど、思うんですよ。なので、筆者が問題として取り上げていることはよくわかるんですけど、あまりひっ迫したものは感じないんですよね。
また、後半の筆者の提示する処方箋もあまり新鮮味を感じることはできず、真に受けてそのままやるっても上手くいかなそうだなあと思うもののように思いました。
なので、本当は★3.5くらいです。 -
Posted by ブクログ
入門の位置づけとしてオススメ。
タイトルは好みではない(帯の文句も全然好みではない。)のですが、中身は真面目そうだったので読んでみました。
著者ご自身が、本の中で書いているが、この分野に入るキッカケが、
・大学ゼミにて、「ここは一発、センセーショナルな研究をぶちかまして、ゼミに嵐を巻き起こしてやろう!」と思い、性風俗業界の研究をすることに。
↓
・「性産業の社会化」仮説をテーマにして事業を行ったら面白いのでは?
↓
・「漠然と「障害者・高齢者向け」の性サービスの構想」
とのことですので、そこを踏まえて読むと良いと思います。
つまり、強烈な個人的な体験が先立っているわけではないです。まず考え、実地調査、実践、という流れです。このため、この分野にあまりかかわりがなかった私でも、恐らく視点が近く、とっつきやすく読みやすかったと思います。
著者ご自身の体験・思い・考えを軸に話が展開されていきます。「なるほどね」と新鮮に思う点もあれば、ちょっとまだついていけないし腑に落ちない点もあります。(特に第3章以降。)
異論・反論を持たれる方もいらっしゃると思います。異論・反論を持つこの分野での方との対談や討論があれば、見てみたい!
性に関する内容の他に、警察や行政とのやりとりにおける苦労話や課題点、NPO設立・起業物語、認知度向上に向けての取り組み、といった部分も非常に面白かったです。
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・ベーシック・セックス社会 (著者オリジナルの単語?)
尊厳を持った人間として生きていくために必要な、最低限度の性の健康と権利が、全ての人に、当たり前に保障されている社会 -
Posted by ブクログ
障害者への射精介護をする為の非営利組織ホワイトハンズを設立した坂爪真吾氏の著作である。
障害者の性のゴールを「障害者が、毎日の暮らしの中で、最低限度の性の健康を保ち、最低限度の性の権利を理解・行使するために必要な、社会的サービス・支援制度を整備すること」と定義している。
公に語られる事がなかったであろう障害者の性について真っ正面から向き合い、組織を立ち上げることから話はスタートする。前例のない活動に対して、警察や行政と戦いながら関係者の理解を得ながらなんとか市民権を得ようとしている。
この本が面白いのは、ここで話が終わるのではなく、性を取り巻く問題を障害者に限定するのではなく、「性の公共」を求めて活動範囲を広げようとしているところである。
「性に対するおおらかさ」を求め、【ベーシック・セックス社会】を目指すことにまで話が発展する。決してフリー・セックス社会でなく、セックスに対する正しい理解がある健全な社会を作ろうという発想である。
全てにおいて著者の意見に賛同する訳ではないが、セックスに関連して不必要に不幸になる人達が少しでも減るという願いは共感できる。