あらすじ
既婚者が「不倫」の誘惑に抵抗するためにはどうすればいいのか? 多くの社会問題の背景に潜む「不倫」は個人のモラルの問題として捉えられており「社会の問題」として捉えられることは少ない。本書では、既存の「結婚」に囚われない多様なあり方を実践する男女への取材をまじえながら、「不倫」を「社会の問題」として捉えなおすことによって「不倫」の予防と回避のための処方箋を提供する。本邦初の実践的不倫学!
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Posted by ブクログ
名著だと思う。
結婚とは何か
夫婦とは何か
恋愛とは何か
セックスとは何か
誰も教えてくれないこれらのことが
考えやすくなるように
情報を整理してくれている。
生活と恋愛とセックスと
3本の柱がすべて
安定的に立っていることはほとんどない。
絶望を受け入れて
前向きに自分の道を行くしかないことを
この本は教えてくれる。
Posted by ブクログ
この本は、不倫を「発生を防ぐべき社会問題」として捉え、不倫を予防するための処方箋を提案するというコンセプトを掲げる。他の同じテーマの本と共通する内容として、不倫自体は防げない、なくならないものだということ、そしてその端緒である厳格な一夫一婦制自体が、人類の歴史において定着したのはごく最近であり、それ自体が抑圧だとする向きもあるということが書かれていた。様々な時代や社会において婚外セックスがどのように捉えられてきたかを列挙したうえで、家庭を壊さない婚外セックス、婚外セックスを前提とした夫婦関係、またポリアモリーの在り方を例に、丁寧な考察を重ねる。最終的に、「現行の夫婦関係を維持するために行うポジティブな婚外セックスを条件付きで受容する社会」を処方箋として提案していた。
筆者の提案する「処方箋」が、今の社会に受け入れられるのはなかなか難しいと思うが、不倫を社会問題として捉え考察する視点は興味深かった。不倫を単に不届き者の悪行として個人に責任を押し付けるのではなく、不倫によって当事者が受ける不利益や家族に与える悪影響を社会や経済の問題として把握した上で、不倫を生みやすい環境や社会をどう変えていくか?という視点で考えることは非常に意味がある。不倫は、本音と建前というものが機能せず、グレーゾーンがどんどん小さくなり、何でも白黒つけようとする現代社会の弊害なのかなと思った。
個人的には、夫婦関係が良好に保たれており、パートナーにまったく気取られることなく婚外セックスをし、そのことが夫婦関係を良好に保つことに寄与するのであれば、それを無理矢理に暴く必要もないのではないかと感じるが、制度としてそれが「アリ」になり、おおっぴらにそういうことがまかり通るというのはやはり受け入れがたい。また、読んでいてひとつ気になったのは、事例としてあげられているケースの中で、既婚女性が独身または既婚のパートナーとの婚外セックスを上手にこなしている例がほとんどなかったことだ。婚外セックスを(条件付きで)受容する社会を目指すのであれば、それは男性だけでなく女性にも適用されるべきなので、女性の例もあると良かったと思う。
Posted by ブクログ
不倫の学問。
メモしておきたいのは、
・性欲と性交欲は別物。そのため、不倫をしている人には「セルフプレジャー(マスターベーション)」では代替できない
・一夫一婦制は、ほかの制度に比べてうまくいっているだけで、人類にとって最適ではない。複数の人を好き(ポリアモリー(複数恋愛))になるのは生物として自然なのかも。
・「クーリッジ効果」:新しいメスとの性的パートナーとの出会いがあるとオスの性的欲求が回復する現象
また、不倫がうまくいくのは自身の家族との関係が良好であることという矛盾が皮肉でした。。
Posted by ブクログ
不倫を一種のウイルスにたとえて、それを予防し回避するための「ワクチン」や「処方箋」を提示することを試みる。
「不倫は防げない」という現実から目を背けることなく、現実的に可能な解決を探っていく。
結論としては、次善の策として、 婚外性交渉を社会的に条件付きで受容し、不倫によるリスクを低減させることを提案する。
センシティヴな領域であり、皆が納得する結論を得るのは極めて困難と思われるが、考えるきっかけを与えることが本書の妙とも言える。
人間である以上、「性」の問題からは逃れられない。
その中で、いかに善く生きていくかを考えるヒントが盛り込まれた、「(真面目な)性の教科書」と言える。
Posted by ブクログ
私は坂爪さんが目をつけるテーマが結構好きなので、今回もふむふむと楽しく読み進めた。書いてある内容も興味深く、不倫というより「多様な愛の形」を紹介している書籍。不倫のあれこれに限らず、交際クラブやポリアモリー(複数愛者)など、守備範囲は広めなので、新書にしては300p弱と、ややボリュームは多かった。
文字上は「不倫をしないための“ワクチン”を接種しよう」と書いてあるが、結局は「別に不倫そのものは悪じゃない」ということに展開していて、「不倫を防ぐためにこの本を読んでねー!」という広告的な建前にはちょっと無理があるように思った。
Posted by ブクログ
不倫を学問としてとらえるこの本は、今の自分には現実的でないとしても、読み物としては手応えがあった。
これこそ日常から一時的に離れる読書の醍醐味で、正月休みの時間の使い方としては、有意義であった。
これからを生きる人間として、知っておいて損はない分野のことだと思う。
Posted by ブクログ
帯のイラストからあからさまに「狙ってる」感じを受け当初はスルーしようと思ったが、著者の経歴の「重度身体障害者向けの性的介助サービスを提供するNPO」については以前どこかで読んだことがあり、また個人的にも不倫の社会的コストへの対処の必要性を感ずる機会があったため、興味をそそられ購入。
現在一般に受容されている一夫一婦制を相対化するだけなら別に目新しくもないが、その制度的・生物学的な矛盾の軽減策としての「ポジティヴ婚外セックス」を "the least worst option" として提示する視点が斬新。あくまで「軽減」策であって「解決」策ではないと断りながらも、「不倫ワクチン」として機能しそうな様々な国内外のオプションが紹介されている。しかし結局最後に「婚外セックスを楽しむ資格や能力のあるのは婚姻生活が安定している人間だけ。しかも完全な充足感を得ようと思えば幸福な婚姻生活すら万能でない」と断ずるリアリズムは、学際と実践の両面を経た著者ならではのものだろう。
「依存」は「婚姻」の中に知らぬ間に忍び込んで来る。そのことに自覚的でない限り、不倫のコストを背負わなければならない可能性は誰にでもあるのだということを再認識できたのが収穫。
Posted by ブクログ
う~ん・・・なんかモヤモヤしています。
「不倫ワクチン」を手に入れを!開発しろ!という割には、最後は「エイズも不倫を止められない」となり、結局「浮気(不倫)は仕方がないもの?」な感じでした。
Posted by ブクログ
○引用
かつては倫理や道徳の問題だったが、現在の心理学的アプローチにおいては不倫を「夫婦の関係性の問題+本人の成育歴の問題」として捉える視点が主流である。
自立とは、多くの依存先を確保している状態
「自分の感情を自力で腑分けできる」ようになる。これによってメンタル面でのトラブルの解決速度が上がる。
できる唯一のことは気持ちを伝えることだけであり、それができた時点で恋愛や不倫は「成功」であり、かつ「必要十分」なのではないか
Posted by ブクログ
新聞で著者が行っている社会的活動に興味を感じ、本書の紹介があったため読んだ。倫理や常識という言葉で片付けずに、真摯に社会学の視点で「不倫」に向き合っている点が好感を感じた。また、文章が非常にうまいと感じた。