都筑道夫のレビュー一覧
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アクション要素がふんだんに盛り込まれたエンタメ小説。時代がかりの気障な言い回しはクセになる。
だが、テンポは良いものの、展開が少し平坦。12人の殺し屋と対決するのだから、そうなるのは仕方ないのだが、もう少し捻りが欲しいところ。
殺し屋が繰り出す殺人方法も思っていたほど奇抜ではなく、また倒し方もイマイチ面白味がない。
帯には「本格推理+活劇小説」と書いてあり、質の良い本格推理と息を呑むアクションが融合された一気読み間違いなしのエンタメ小説、というようなものを期待していたのだが、「本格推理」要素はほとんどない。
楽しめたのは間違いないが、やや物足りない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレひとりの天才科学者が、12人の殺し屋たちに12種類の奇抜な殺人道具を託して死んだ。残された息子は、父の負の遺産を葬るため、12人の殺し屋を次々に探し出し、殺害していく…という筋の娯楽小説。
昨今のライトノベルのような突飛な設定、持って回った気障な台詞回し、トランプや蝙蝠傘、マッチといった日用品を改造した殺人道具の登場、殺しと濡れ場の連続と、すべての演出が過剰であり、その過剰さこそを楽しむための作品。
初心な印象だった主人公が急にハードボイルドになるなどキャラクターがブレブレだったり、ご都合主義が多かったりと粗はあるものの、全体にテンポが良く、楽しく読むことができた。 -
Posted by ブクログ
読み応えがありました。
短編が13編。人情噺もちらほら入れつつ、ハードボイルドだなあ、と思います。
実際にこのような長屋があったかどうかは虚構の世界だから別にして、このような雰囲気を湛えた長屋は江戸のあちらこちらにあったのではないかと思わせる筆の冴えです。主人公と若侍3人の関係性も作中での変化も、江戸の市街ではよくあったのではないだろうかと思わせます。実際には起こりえないことだとも思いますけれども。
若い頃の田村高廣に演じさせたくなる主人公。これは私の勝手なイメージなのですけれども。
ハードボイルドな雰囲気で進みながらも最後はとても抒情的。いや、抒情的だからこそハードボイルドなのかな、とも考えます。
この人も上手な作者だったなあ、としみじみ思います。
他のシリーズも読み直したくなる本でした。 -
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いろはにひとつずつ題材を得たショートショート集。どれも短いながらも読み応えたっぷり。谷川俊太郎さんによる解説も凝っています。
お気に入りは「夜の声」。これ、たぶん「風見鶏」の原型ですよねえ。もちろんあの短編よりぐっと短いのだけれど、それでもエッセンスは充分に効いています。
ホラー好きとしては「沼」「わに」もぞくりとさせられて好きなテイスト。「猿の手」はまさかこんなアレンジをされているだなんて。ミステリ好きとしては「鏡の間」「つまずき」が面白くて印象的でした。
「狂訓かるた」もちくりと皮肉が効いていて面白いです。「老いても恋したがる」にはラストでくすりとさせられたし。「知己もくどけりゃ邪魔になる」ではほっこりさせられました。 -
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退職刑事第二弾。
言語は生き物だとはよく言われるが、「スタイリスト」には驚いた。
自分では使ったことはないが、
その昔、「おしゃれ」に近い意味で使われていたことはわかる。
決してテレビ等の出演者の服を用意する職業のことではない。
「デラックス」はもう少し新しい。
自分で使ったことは多分無いが、以前はよく広告で見かけた。
今で言えば「ラグジュアリー」か。
だいぶ時代感に慣れてきた中で、元刑事がハワイ旅行とはお大尽な。
この時代の海外旅行はかなり高額なはず。
長男のお支払、という設定のようだが。
「四十分間の女」が一番面白かった。
私が不名誉な骨折で入院中という設定の目新しさか、
見舞いの友達が持ち込んできた出来事という目新しさか。
最終列車の四十分前の列車でやって来て、最終で帰る女。
それが一週間くり返され、最後に死体で発見される。
女は何をしていたのか。なぜ死んだのか。
納得できる推理かと言えば微妙だが、
意外な展開でしかも未発生な犯罪とつながるところが面白かった。 -
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「ミステリなふたりアラカルト」の後ろの広告で。
想いがけず、また古い話だった。
というのも「トム・ホーソンの事件簿」を読んだばかりだったので。
家に帰ったら洋服から和服に着替える位の。
都営地下鉄三田線が都営六号線と呼ばれていた位の。
五人の息子のうち末っ子の現職刑事の家を度々訪れる退職刑事。
茶飲み話の中で事件を解決していく。
ただし、
その頃のものの考え方が少し疎ましく感じるのは、
自分の文化と他人の文化の差だろうか。
少しだけだが。
ジャケットを二枚手に持った男を目撃したという証言から展開する
「ジャケット背広スーツ」が一番面白かったかな。 -
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【本の内容】
「第一章では、私はなにを書くか、迷いに迷って、題名もつけられない」―長篇怪奇小説の執筆依頼を受けた作家だったが、原稿は遅々として進まない。
あれこれとプロットを案じながら街をさまようが、そこで見かけたのは30年前に死んだ従姉にそっくりの女だった。
謎めいた女の正体を追ううちに、作家は悪夢のような迷宮世界へと入り込んでいく…。
奇想にあふれた怪奇小説の傑作が現代に蘇る。
[ 目次 ]
[ POP ]
道尾秀介さんの直木賞決定直後に復刊した文庫である。
帯には〈「この作品のおかげで、僕は作家になれました」道尾秀介〉。
タイムリーだ。
道尾さんが、都筑さんの名を知ったのはデビュー4年前。
営業の仕事をさぼって寄った古本屋で、〈*第一章では、私はなにを書くか、迷いに迷って、題名もつけられない〉という珍奇な書き出しの本書を、思わず買ったという。
道尾さんは文庫解説に記す。
〈売値を見てみると一〇〇円。これくらいの金額ならまあ失敗してもいいだろう〉。
早速、営業車の中で読み始めると〈“渾沌”がそこにいた〉。
作品に衝撃を受けたその日のうちに都筑道夫の名前を拝借し、「道尾秀介」をペンネームに。
小説をがんがん書くようになった。
〈いまにして思えば、僕は十二年前、一〇〇円で人生を買ったようなものだ〉
作品は、書くこと、読むことの面白さと怖さが混然一体となった虚々実々の怪奇譚。
奇妙な味の傑作だが、これを読めば誰でも作家になれるかは「?」。
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]