都筑道夫のレビュー一覧
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ネタバレ● 感想・評価
二人の人物が、誘拐について交互に書いた手記を、都筑道夫が発表しているというスタイルの作品。「あんまり、ありのままに書くと、迷惑する人がいる。だから、適当に嘘を交えて、交替で書くことにする。」として、いわゆる「信頼できない語り手」の作品であることを示している。
かつて、女を襲い、自殺させたこともあるチンピラ三人組に、顔見知り程度の中だったが、麻雀をして意気投合した栗野。この4人が、道路で倒れている女性を見つけているところに、栗野の知人である桑山が現れ、その女性に似た人物を利用した誘拐をでっち上げようという計画。この計画が、実は、栗野による3人のチンピラへの復讐劇と、桑山=茜一 -
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ネタバレ● 感想
妻、隣人、兄といったこれまで親しくしていた人が、「きみ」の存在を否定し、見も知らぬ人が「きみ」を会社の社長雨宮毅だと決めつける。極めて不可解で魅力的な謎である。この謎をテーマにしたミステリ
一人称を「きみ」として語り掛ける文体となっている。筆者の都筑道夫自らが実況放送スタイルといった形式だが、この点は別段、いいとも悪いとも思わなかった。しかし、何の脈絡もなく場面転換をしたり、一人称が誰か分からなかったりするなど、短い作品ながら読みにくい部分がある。翻訳モノのミステリでもときおり感じた印象であり、都筑道夫が多くのミステリを翻訳していたことにも関係しているかもしれない。
謎は魅力的 -
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桔梗信治(ききょう・しんじ)は、さまざまな殺人方法を研究していた父親が死んだあと、殺し屋として活動をしている父の弟子たちと決闘し、父ののこした「飢えた遺産」をこの世から抹消しようとします。そんな彼が、自動車泥棒の大友や情報収集組織の鶴巻啓子、女スリ師の佐原竜子などの協力者を得て、つぎつぎと奇抜な殺人方法を駆使する相手と戦うエンターテインメント作品です。
著者がミステリ作品を執筆しているということもあって、さまざまな殺人の方法があつかわれているのが読みどころでしょうか。とはいえ、リアリティを重視するよりも、アクション・シーンのおもしろさに重点が置かれています。テンポの良い展開もあいまって、一気 -
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都筑道夫さんの「怪奇小説という題名の怪奇小説」を読みました。
完全にタイトル買い。気になっている作家さんではあったけれど、そもそもこういうよくわからない題名に弱い。
怪奇小説の執筆に頭を悩ませる主人公が、それどころではなくなるような怪奇な現象に遭遇していく。
思考と執筆内容が入り乱れて境目がわかりづらいのが、面白い。ジョン・スタインベックという作家の短編「蛇」が(たぶん)まるまる挿入されているシーンがあったり、各章のタイトルにインパクト強めの注釈が添えられていたり、古い作品なのに新しさを感じた。
ストーリーは章を追うごとに怪奇具合が深まって、後半はハラハラしながら読んだ。突飛な展開で収 -
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主人公の「私」は、長編怪奇小説を執筆しなければならないにもかかわらず、アイディアが浮かばず、海外の小説をもとに剽窃することで急場をしのごうとします。その一方で彼は、30年前に死んだはずの従姉にそっくりの女性を見かけ、その後を追います。「ムリ」と名乗った彼女は、まもなく「私」の前からすがたを消してしまいます。彼女が、「私」の故郷である長野へ向かったということを知った「私」は、知人の妻である狭霧という女性とともに長野に旅をすることになりますが、しだいに「私」の読んだ海外の小説のストーリーが現実に絡んでくることになり、二人は不思議な出来事に巻き込まれていきます。
タイトルからも、メタフィクショナル -
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著者がさまざまな雑誌などに発表した短編をまとめた本です。ミステリではなく、著者のことばで「ふしぎ小説」、いわゆる怪奇小説と呼ばれる作風のものばかりで、ロジカルな解決策があたえられるわけではありませんが、本作のかもし出す不思議な雰囲気をたのしむことができました。
ただ、著者がミステリ作家として高名だということもあって、「あるいは叙述トリックのような仕掛けがあるかもしれない」と身構えながら読んでしまったため、本作の雰囲気を堪能するというところにまでは行き着けなかったという思いがあります。どちらかというと、乙一のホラー小説のように、もうすこし肩の力を抜いて読むことのできる内容だったように感じました -
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「マンション探偵滝沢紅子」シリーズの長編第3弾。
美智留のクラスメイトだった寺西徳治(てらにし・とくじ)という少年が、メゾン多摩由良近くの工場内の密室で殺害されるという事件が起こります。彼は死の直前に美智留に会っており、彼女に小さな紙包を預けていました。一方、徳治の兄の寺西慶太(てらにし・けいた)はタミイの後輩で、彼に事件の解決を依頼したことで、彼は俄然捜査に熱を入れて事件の解決へ向かって猛進します。
今回は紅子がメゾン多摩由良を出てどこかへ行ってしまい、タミイ、春江、美智留らの視点を交代しつつ物語が語られていきます。となると、叙述トリックが用意されているのではないかと身構える読者が多いの -
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「マンション探偵滝沢紅子」シリーズの長編第2弾。
メゾン多摩由良の空き室を訪れた不動産屋と客二人が死体を発見しますが、彼らが警備主任に連絡して部屋にもどってみると、忽然と死体は消え失せていました。さらに、マンションの住人の兼坂という男や平岡民雄までもが、死体を見かけるもほんのわずかな時間その場所を離れているあいだに死体が消えてしまうという出来事がつづきます。
直感猛進のタミイ、国文学研究者の春江、天才美少女の美智留といった主要なキャラクターが魅力的で、ユーモア・ミステリ寄りの作風ですが、随所にミステリ史や文学作品などへの言及が見られるのもたのしみのひとつです。