都筑道夫のレビュー一覧

  • からくり砂絵 あやかし砂絵~なめくじ長屋捕物さわぎ(二)~

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    ネタバレ

    シリーズ2作目。というか、3冊目と4冊目。同じく各7編の連作短編集。前作のあとがきにもあったけど、今回はイブクロが一切出てこなかった。しかしこんな作品が自分の生まれる前に書かれていて、それを今も読むことができるというのはありがたいことだ。本って素晴らしい。「首つり五人男」とか「小梅富士」とか「水幽霊」とか、トリックというか設定に驚かされる。いとこの設定した謎だったり、落語とかから取ったらしいけど。よく解決を思いつくものだ。

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    2013年11月10日
  • ちみどろ砂絵 くらやみ砂絵~なめくじ長屋捕物さわぎ(一)~

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    ネタバレ

    2冊分を1冊にして刊行するんだからすごいものだ。それが6冊もあるんだから。なめくじ長屋という大道芸というか、非人扱いされている人達が砂絵描きの“センセー”を中心に謎を解いていくもの。連作短編集。時代物をあまり読みつけないので分かりにくとこもあるけど、当時の文化とかにも触れてあって面白い。しかし輪姦されたり、つくづく女は下に見られてたなと思う。マメゾーが泣いてた非人の姉妹が惨殺されたやつなんか本当ひどい。退職刑事といい、この作者は長い短編連作が多いんだなぁ。

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    2013年11月10日
  • 退職刑事1

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    4 

    なるほど“論理のアクロバット”。
    後半もう少し息子が異を唱えてやりとりがあっても良かったかと思うが、あまり複雑になるのも本意ではないだろうし、難しいところか。
    巻末の法月綸太郎の解説が、とてもしっかりした本来の意味の解説で秀逸。

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    2013年03月09日
  • 悪意銀行〈ユーモア篇〉

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    中編の「悪意銀行」短編の「NG作戦」「ギャング予備校」の3篇が近藤&土方が活躍する「紙の罠」の続編集。その他にショートショートと落語も入ったユーモア小説のアソートセット。

    近藤や土方だけでなく、このシリーズに登場する女性たちはとても魅力的だ。また今ならニューハーフと言われるだろうオヤマーも恐いけど可愛い。その他大勢の野郎共もマヌケで愛おしくなる。

    この文庫に、なぜ近藤&土方が初めて登場する「紙の罠」も含めなかったのか疑問だったが、読んでなんとなく分かった。たしかに「紙の罠」は面白いのだけれど本文庫に納めされている「悪意銀行」以降の作品と比較するとかなり差がある。発表は僅か1年の間でしかない

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    2013年02月27日
  • 怪奇小説という題名の怪奇小説

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    解説で道尾秀介さんが言われている通り、まさに「渾沌」の書である。

    タイトルからして人を喰っており「怪しげ」であるが、その中身はもっともっと「怪奇」そのものである。
    どこへ連れていかれるのかわからない。
    どこへ向かっているのかもわからない。
    そして今、どこにいるかもわからない。

    いわゆる「先が見えない」とはまた違った、この不安定でぼんやりとした読み心地をなんと言おう。
    暗闇の中、手探りで進んで行くよりも、もっと曖昧としたこの気持ち。真っ暗ならば見えないのは当たり前。しかし、この小説は全くの暗闇を書いているのとも、また違うのだ。
    明るいのかわからない、暗いのかわからない。例えるならば、そんな感

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    2013年02月07日
  • ちみどろ砂絵 くらやみ砂絵~なめくじ長屋捕物さわぎ(一)~

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    いろんな意味で絶体無理だろうが、
    実写化するなら、砂絵のセンセーは緒方拳だな~と思いながら読みました。

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    2012年06月30日
  • 怪奇小説という題名の怪奇小説

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    タイトルにひかれて買いました。
    各章の最初に書かれている言葉がおもしろかったです。
    初めはなんてふざけた作品なんだと思いましたが、
    終わりに近づくにつれて、ちゃんと怪奇小説になっていきました。
    サイレントヒルというゲームをプレイしていたときのような気分になりました。
    (ストーリーが似ているというわけではなく、なんとなく)

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    2012年03月17日
  • きまぐれ砂絵 かげろう砂絵~なめくじ長屋捕物さわぎ(三)~

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    江戸時代の話なのにあまり時代物という感じがしない、と常々思っていたのですが、その理由として武士の心構えがどうこうとか、武士の本分がどうこうとか、このシリーズにはそういうものが出てこないからだと『深川あぶら堀』を読んで初めて気づきました。
    むしろ江戸の習俗なんかはたくさんちりばめられているのに。
    これまで読んだ時代物のほとんどが武士や大店を抱える町人のように建前だの誇りだのを気にする人たちだったからかな。でもいま出ている時代物のほとんどは武士を扱ったもので、つまり手に取るもの自体偏ってるといえば偏ってる。

    話は少し血腥いのが多いかな。どちらかといえば、落語に題材をとったきまぐれ砂絵の方が好きな

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    2011年11月26日
  • からくり砂絵 あやかし砂絵~なめくじ長屋捕物さわぎ(二)~

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    「からくり砂絵」:元ネタは落語や他の捕物帳だったり,他人が考えた「ありえない状況」だったり。そこに作者が合理的な「解決編」をつけるという趣向。元ネタを知っていると「本歌取り」の面白さがよりわかるという,若干クロウト向けな巻。

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    2011年10月17日
  • ときめき砂絵 いなずま砂絵~なめくじ長屋捕物さわぎ(五)~

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    士農工商から外れた身分のなめくじ長屋の面々が様々な謎を解き明かしていく時代劇&ミステリ。漫画的だけど砂絵のセンセーがかっこいいのです。

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    2011年09月30日
  • からくり砂絵 あやかし砂絵~なめくじ長屋捕物さわぎ(二)~

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    なめくじ長屋シリーズ。今回は落語ネタなどが入ってますが。どれもこれもがばっちし本格!
    お気に入りは「小梅富士」。だってねえ、これはもう事件の光景が秀逸でしょ! あまりにインパクト抜群でとんでもないです。でも解決は至ってシンプルなところがまた凄い。
    「人食い屏風」も謎解きの過程が見事。だけどこれで凄いと思ったの……とある動物の習性についての部分、たしか最近分かったことじゃなかったっけ?と思うのですが。都筑さんはずっと昔に知ってたらしたのですね……。

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    2012年01月16日
  • からくり砂絵 あやかし砂絵~なめくじ長屋捕物さわぎ(二)~

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    話の後味は悪いんだけど、『小梅富士』はミステリとして好きだ。ハウダニットもの。
    『人食い屏風』は悲しい話。ハウダニットと思いきや、ホワイダニットが主眼と思う。
    『らくだの馬』はなんか好きだ。絶対に巻き込まれたくはないけど。
    シリーズを通してハウダニットを前面に押し出してるけど、動機についてもしっかり描かれているから、悲しかったり悔しかったり腹が立ったりと読んでていろいろ揺さぶられます。

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    2011年09月25日
  • ちみどろ砂絵 くらやみ砂絵~なめくじ長屋捕物さわぎ(一)~

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    なめくじ長屋シリーズ。
    以前中途半端に読んでいたのでシリーズ全巻再版(?)の機会に全部読もうと思いました。
    一度読んだ話もいま読み返すと違う感じがして面白い。
    センセーのなめくじ長屋の住人たちへの目が優しいなあと思います。
    次巻も楽しみ。

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    2011年07月31日
  • さかしま砂絵 うそつき砂絵~なめくじ長屋捕物さわぎ(六)~

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    アウトローっていうのは死語なのかな?砂絵師のセンセーはじめ、なめくじ長屋の連中はまぎれもなくアウトローなんだけど。
    捕物帳といったって、お上の手先になるじゃない。岡っ引の下げてくる酒目当て、事件にかかわった金持ちからの礼金目当ての内職がわりと嘯いて、奇妙奇天烈な事件をすっぱり解いてみせてくれる。
    砂絵シリーズの最終巻にあたる。
    ひさしぶりの再読になるのだけど、やっぱり面白い。タイトルだけ予告されて書かれなかった数編が読めないことが残念でならない。
    本格ミステリの謎解きと捕物帳の人情と江戸風情が味わえる、ほんとに贅沢なシリーズだったとしみじみ思う。「伊勢屋稲荷に犬の糞」なんて言葉や地口の面白みも

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    2011年05月09日
  • 怪奇小説という題名の怪奇小説

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    道尾さんの人生を変えた本。
    でも僕の人生は変わりそうにない。

    構成が秀逸。
    読み終えて満足を感じるタイプではないけれど、
    読んでる最中は頭に?と…が交錯して惹き込まれる。
    エッセイか、フィクションか、盗作か、妄想か。
    読後に渾沌を見たという道尾さんの解説がまた面白い。
    まぁ渾沌と繋げてしまうとわけわかんない話はわけわかんないままでいいんだよ、
    ってことになりかねないからそれはそれで批判もあるだろうけど…。

    この本の初版本の装丁とやらがすごく気になる。欲しい。

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    2011年03月29日
  • 怪奇小説という題名の怪奇小説

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    長編怪奇小説の執筆依頼を受けた主人公(作家)が悩みながら書き進めて行く中で、昔の異常な記憶がネタになるのではと彷徨う中で、三十年前に病死したはずの従姉そっくりの女を見かける。ここからまさに怪奇と呼ぶにふさわしいストーリーが始まる。

    結末の真相みたいなものは、ちょっと陳腐に感じたけど、それを打ち消すだけの世界観がある。かなり好きだ。

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    2011年02月05日
  • 怪奇小説という題名の怪奇小説

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    推理小説論のエッセイか?と思える書き出しから一転、どんどん奇妙なほうへ転がっていく展開に驚かされた。ページ数こそ少ないものの、怪奇、メタ、ミステリ、エロ、冒険小説と、要素が盛りだくさんで読み応えがある。そしてそれらを継ぎ接ぎではなく”混沌”にして怪作に仕立ててしまうあたり、さすが都築道夫という感じ。
    ところで、作中の、鎖骨と肩胛骨のエロティックを棒線で表現した春画には、元ネタが存在するのだろうか? ものすごく面白い発想だと思った。

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    2011年01月26日
  • 悪魔はあくまで悪魔である ――都筑道夫恐怖短篇集成(1)

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    元本絶版なので、これは嬉しい復刊。ちょっと高いけど、その価値はあるでしょ。
    「怪奇・恐怖小説」なのだけれど、怖いばかりじゃないなあ。表題作だとか「気になる記憶」、「もういや!」など、ブラックユーモアが利いていて笑える作品も多い。考えてみれば、案外恐怖と笑いは紙一重なのかもね。
    一方で本当に怖い「壁の影」、妙にしんみりする「遠い昔の空の色」などと、ひとくちに「恐怖」といってもバリエーションに富んでいて退屈しない。定石ものに思える怪談話も少し捻りがあったりして見事だし、たしかにこれは絶版のまま埋もれさすのは惜しかったなあ。

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    2010年01月15日
  • 退職刑事1

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    刑事の息子から事件の詳細を聞き、最終的に真相を引き出すパターンは『ママは何でも知っている』を連想させる。息子に二、三の質問をしたのち論理的に事件を解決してしまう手際の良さも共通しているが、ブロンクスのママがやや劇的なのに対して、この退職刑事はこつこつ型で、どちらかというと地味な印象。でも気がつけば隙もなく推理のプロセスが出来上がっているのだから、その手腕はお見事と言うしかない。同系の国内ミステリがどれくらい存在するのかは知らないが、論理の組立や完成度からいってもトップクラスに入るのは間違いない。 秀作揃いの中でも気に入っているのは『ジャケット背広スーツ』。『九マイルは遠すぎる』を彷彿とさせるこ

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    2009年10月04日
  • 退職刑事1

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    連作ミステリー短編集。全7話。

    元刑事の父を持つ主人公。彼は、五人いる兄弟の中で唯一父と同じ職業、すなわち刑事となった。そんな彼の所へ、時折遊びにくる父。さりげなく今息子が抱えている難事件を聞き出し、独自に推理を働かせる。さながら安楽椅子探偵のように・・・。

    おもしろいよ、これ。続きを是非読みたい。これ読んだときふと、阿刀田高さんの「Aサイズ殺人事件」を思い出した。これも安楽椅子探偵もので、すんごくおもしろかったんだよね〜。

    主人公の父が何とも言えずかわいい♪退屈すると息子の家にイソ×2とやってきて、鋭い推理力で事件の絵解きを始めるの。

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    2009年10月04日