あらすじ
「第一章では、私はなにを書くか、迷いに迷って、題名もつけられない」――長編怪奇小説の執筆依頼を受けた作家だったが、原稿は遅々として進まない。あれこれとプロットを案じながら街をさまようが、そこで見かけたのは30年前に死んだ従姉にそっくりの女だった。謎めいた女の正体を追ううちに、作家は悪夢のような迷宮世界へと入り込んでいく…。奇想にあふれた怪奇小説の傑作が現代に蘇る。
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まさに奇書。とにかく破茶滅茶。
書き出しから異様だが、読み進むにつれて理解が全く追い付かなくなる。いや、そもそも理解しようとするのが間違いなのか。
都筑道夫氏にハマるきっかけになった一冊。
1刷
2021.1.4
Posted by ブクログ
「第一章では、私はなにを書くか、迷いに迷って、題名もつけられない」―長篇怪奇小説の執筆依頼を受けた作家だったが、原稿は遅々として進まない。あれこれとプロットを案じながら街をさまようが、そこで見かけたのは30年前に死んだ従姉にそっくりの女だった。謎めいた女の正体を追ううちに、作家は悪夢のような迷宮世界へと入り込んでいく…。奇想にあふれた怪奇小説の傑作が現代に蘇る。
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帯に道尾秀介の名前があったので購入してみた。
太宰治の物語のように、作者=主人公なのか?と思わせる感じで、エッセイなのか小説なのかはっきりしないままストーリーが進む。そして気になって読み進める中に、巻き込まれた感じでハマっていた。好みではないが、気に入った。
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現実と妄想と創作と夢が入り混じったような不思議な読みごこち。
構成にもひねりがあって面白かった。
作者の他の作品も読んでみたいと思った。
書評で見つけた思いがけない拾い物だったなあ。
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なんとも言えない不思議な小説だった。
文章も読みやすくてスルッと読めたし不思議な世界に引き込まれてしまいました。
なんだか現実の世界と小説の世界が入ったり来たりして今、自分がどこにいるのかわからなくなってしまうような不思議な感覚に襲われました。
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メタぶりに引き込まれ、一気に読み終えたのが、夕方の薄暗がりの部屋の中だったため、しばし色んな意味で現実と虚構を彷徨う感じすらあった。この作品に影響を受けたという道尾秀介さんは登場する異形のものを中国神話に出てくる混沌と例えているが、私はF・ポール・ウィルソンの『始末屋ジャック』に出てくるインドの魔物ラコシと重なってしまった(笑)。
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【本の内容】
「第一章では、私はなにを書くか、迷いに迷って、題名もつけられない」―長篇怪奇小説の執筆依頼を受けた作家だったが、原稿は遅々として進まない。
あれこれとプロットを案じながら街をさまようが、そこで見かけたのは30年前に死んだ従姉にそっくりの女だった。
謎めいた女の正体を追ううちに、作家は悪夢のような迷宮世界へと入り込んでいく…。
奇想にあふれた怪奇小説の傑作が現代に蘇る。
[ 目次 ]
[ POP ]
道尾秀介さんの直木賞決定直後に復刊した文庫である。
帯には〈「この作品のおかげで、僕は作家になれました」道尾秀介〉。
タイムリーだ。
道尾さんが、都筑さんの名を知ったのはデビュー4年前。
営業の仕事をさぼって寄った古本屋で、〈*第一章では、私はなにを書くか、迷いに迷って、題名もつけられない〉という珍奇な書き出しの本書を、思わず買ったという。
道尾さんは文庫解説に記す。
〈売値を見てみると一〇〇円。これくらいの金額ならまあ失敗してもいいだろう〉。
早速、営業車の中で読み始めると〈“渾沌”がそこにいた〉。
作品に衝撃を受けたその日のうちに都筑道夫の名前を拝借し、「道尾秀介」をペンネームに。
小説をがんがん書くようになった。
〈いまにして思えば、僕は十二年前、一〇〇円で人生を買ったようなものだ〉
作品は、書くこと、読むことの面白さと怖さが混然一体となった虚々実々の怪奇譚。
奇妙な味の傑作だが、これを読めば誰でも作家になれるかは「?」。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
解説で道尾秀介さんが言われている通り、まさに「渾沌」の書である。
タイトルからして人を喰っており「怪しげ」であるが、その中身はもっともっと「怪奇」そのものである。
どこへ連れていかれるのかわからない。
どこへ向かっているのかもわからない。
そして今、どこにいるかもわからない。
いわゆる「先が見えない」とはまた違った、この不安定でぼんやりとした読み心地をなんと言おう。
暗闇の中、手探りで進んで行くよりも、もっと曖昧としたこの気持ち。真っ暗ならば見えないのは当たり前。しかし、この小説は全くの暗闇を書いているのとも、また違うのだ。
明るいのかわからない、暗いのかわからない。例えるならば、そんな感じだろうか。
最後のオチには「そ、そうなるのか……」と、残念とも呆然ともつかない、やっぱりどこかよくわからないものだった。
しかし、この「よくわからなさ」が、この本の魅力でありこの本そのものなのだと、私も思う。
道尾秀介さんの解説がとてもよかったです。
Posted by ブクログ
タイトルにひかれて買いました。
各章の最初に書かれている言葉がおもしろかったです。
初めはなんてふざけた作品なんだと思いましたが、
終わりに近づくにつれて、ちゃんと怪奇小説になっていきました。
サイレントヒルというゲームをプレイしていたときのような気分になりました。
(ストーリーが似ているというわけではなく、なんとなく)
Posted by ブクログ
道尾さんの人生を変えた本。
でも僕の人生は変わりそうにない。
構成が秀逸。
読み終えて満足を感じるタイプではないけれど、
読んでる最中は頭に?と…が交錯して惹き込まれる。
エッセイか、フィクションか、盗作か、妄想か。
読後に渾沌を見たという道尾さんの解説がまた面白い。
まぁ渾沌と繋げてしまうとわけわかんない話はわけわかんないままでいいんだよ、
ってことになりかねないからそれはそれで批判もあるだろうけど…。
この本の初版本の装丁とやらがすごく気になる。欲しい。
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長編怪奇小説の執筆依頼を受けた主人公(作家)が悩みながら書き進めて行く中で、昔の異常な記憶がネタになるのではと彷徨う中で、三十年前に病死したはずの従姉そっくりの女を見かける。ここからまさに怪奇と呼ぶにふさわしいストーリーが始まる。
結末の真相みたいなものは、ちょっと陳腐に感じたけど、それを打ち消すだけの世界観がある。かなり好きだ。
Posted by ブクログ
推理小説論のエッセイか?と思える書き出しから一転、どんどん奇妙なほうへ転がっていく展開に驚かされた。ページ数こそ少ないものの、怪奇、メタ、ミステリ、エロ、冒険小説と、要素が盛りだくさんで読み応えがある。そしてそれらを継ぎ接ぎではなく”混沌”にして怪作に仕立ててしまうあたり、さすが都築道夫という感じ。
ところで、作中の、鎖骨と肩胛骨のエロティックを棒線で表現した春画には、元ネタが存在するのだろうか? ものすごく面白い発想だと思った。
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都筑道夫さんの「怪奇小説という題名の怪奇小説」を読みました。
完全にタイトル買い。気になっている作家さんではあったけれど、そもそもこういうよくわからない題名に弱い。
怪奇小説の執筆に頭を悩ませる主人公が、それどころではなくなるような怪奇な現象に遭遇していく。
思考と執筆内容が入り乱れて境目がわかりづらいのが、面白い。ジョン・スタインベックという作家の短編「蛇」が(たぶん)まるまる挿入されているシーンがあったり、各章のタイトルにインパクト強めの注釈が添えられていたり、古い作品なのに新しさを感じた。
ストーリーは章を追うごとに怪奇具合が深まって、後半はハラハラしながら読んだ。突飛な展開で収拾つかないのではと思いきや、最後は意外と辻褄が合ったので驚いた。
普段あとがきや解説はあまり読まないのだけれど、解説が道尾秀介さんだったのでざっと読んだ。ペンネームの「道尾」が都筑道夫さんの「みちお」から取られていたと知ってびっくり。
単行本の装丁の仕掛けが紹介されていた。これは知ることができてよかった。文庫版も同じ仕掛けだったらよかったのになー。
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主人公の「私」は、長編怪奇小説を執筆しなければならないにもかかわらず、アイディアが浮かばず、海外の小説をもとに剽窃することで急場をしのごうとします。その一方で彼は、30年前に死んだはずの従姉にそっくりの女性を見かけ、その後を追います。「ムリ」と名乗った彼女は、まもなく「私」の前からすがたを消してしまいます。彼女が、「私」の故郷である長野へ向かったということを知った「私」は、知人の妻である狭霧という女性とともに長野に旅をすることになりますが、しだいに「私」の読んだ海外の小説のストーリーが現実に絡んでくることになり、二人は不思議な出来事に巻き込まれていきます。
タイトルからも、メタフィクショナルな構成であろうことは予想ができましたが、ややありきたりなホラー小説的な着地点が設定されているのに若干がっかりしてしまった感があります。それでも、作品のかもし出す奇妙な雰囲気には、充分に身をひたすことができました。
Posted by ブクログ
初めましての作家さんだったらしい。
読んだつもりになってました。
知らないうちに怪しくて不気味な世界に迷い込み
先が知りたくて、どんな結末が訪れるのか
気になってしょうがない。
そしてたどり着いた結末は・・・
これは悪夢ですか?
面白いじゃないですかぁ~
たまにはこんな本もいいですね
Posted by ブクログ
引越しのバタバタで、読書状況が滞っちゃってます… 生活必需品ではないから、書棚の整理は手付かずの状態。そんな中、片手間に読めそうな薄い本ってことで、これをとりあえず手元に置いといてみた。サラッと読み流せるからではなく、全然ピンとこなくて急ぎ読み。「ドグラマグラ」は途中で挫折したけど、それと同じ匂いがして、いわゆる”奇書”かな、って思いながら読んでたけど、解説見て『やっぱり』って感じ。こちらは短いから読破できたけど、正直、読み続けることに抵抗を覚えることしきり。どんな世界にも独創的な世界は存在するし、そういうものに魅力を覚える向きも、それはそれでアリだとは思うけど、少なくとも自分には必要のない世界観です。
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気づいたら、夜の森を歩いていた。空には月が見える。
足裏にしめった土の感覚がある。存外暗い中でも歩けるもので、ふらふらと、森の中に進んでいく。
なぜ森の中を歩いているのか?
理由はさっぱり分からないけれど、暗く恐ろしい森の奥に何かがあるような気がするし、月明かりも足下まで届く。逆に引き返すことのほうが恐ろしいように感じる。
べたり、足下が粘つく。
足首まで泥の中に埋まっていた。
あたりは暗い。
指先に何かが触れた。
……
というような、気がついたら抜き差しならないところに追いやられるホラー小説。いや幻想小説なんだろうか。
馬鹿な作り話だなぁと読み始められるのに、後半になるとぞわりと来るのは何故なのだろうか。
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帯に「道尾秀介を生んだ一冊」と書かれており、解説も道尾秀介が書いている。道尾さんがよくいう「小説でしかできないこと」が何なのかをこの作品が表している。恐怖小説ではなく、たしかに怪奇な小説だ。
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怪奇:1 あやしく不思議なこと。2 姿かたちが不気味なこと。グロテスク。
奇妙で、混沌としていて、複雑怪奇な小説。締め切りに追われマイナー作品のプロットをトレースしようと考えた作家は、構想を練りながら街を彷徨っていた。そこで彼が出会ったのは、30年前に死んだ従姉にそっくりな女性だったーー。
理性的な作家が、だんだんと混乱し混沌に陥っていく様が怖い。章題につくメタ的な注釈が、冷静なようで薄っすらとした狂気をはらむようでもあり、すごく不気味。
Posted by ブクログ
愚弟から拝借。
最初は徒然草的小説かと思いきや、読み進めるにつれて、ソフィーの世界的な小説に早変わり。
ラストは狐につままれた気分になります。
きっかりしたラストが好きな方にはお勧めできません。
でも真夏の夜のお供に!
Posted by ブクログ
これは筆に詰まった作家の私小説といった冒頭の風情そのままに突き進み、ひょっとしてグダグダのまま終わるのか…? と一瞬不安に駆られてしまったが、さすがにそのようなことはなく、中盤に差し掛かるにつれストーリーの魅力が滲み出てきて、一安心。
だが、うーんこれは実は徹頭徹尾計算が行き届いた巧緻な小説だったのか、と思わされたのも束の間、解説で道尾秀介氏も書いているが、やっぱり結局は設計図なき文学作品だったのだなあ、と終盤には知ることになる。
この拡散具合がたまらない向きもあるのだろうが、私はちょっと肩透かしを喰らった部類。
中井英夫の「虚無への供物」や、あるいは大乱歩をもやや連想させる文体は、いかにも昭和っぽくてノスタルジック。
Posted by ブクログ
内容は
えーと、ちょっと忘れかけてますが、確か…
怪奇小説の執筆を依頼されてる小説家が
筆の進まぬままあれこれしてると、死んだ従姉妹に
そっくりな女性を見かけて、追跡する。
そこから、おかしな地底村に迷い込み、鱗だらけの
異形の人々を目にするが、それは……
という、どこからどこまで小説で現実で過去でと
曖昧になりそうでならない話。だったと思う。
Posted by ブクログ
構成が良かった。
後半~ラストにかけて謎がぽろぽろほどけていく。
ラストはあっけないかな、とも思ったけど、まあまあ。
書き方はさすが技巧派というだけのことはあるなと思った。特に前半。
元の洋書と、盗作の原稿と、現実の3つの世界がうまく組み合わさってるあたりがとてもよかった。
都築道夫はじめてだったけど、多分ショートショートの方が面白いだろうなという印象!よみたーい
Posted by ブクログ
怪奇小説といえば、オドロオドロしていて、怖ろしいものをイメージしてしまいますが、この物語は一味違っています。
怪奇小説の執筆を依頼された作家が主人公です。幼少期の体験をもとに書けると思って引き受けた仕事なのですが、なかなか筆が進みません。そこで、日本では無名の、海外のミステリー作家の原書を翻訳しながら、場所と時代を置き換えて書き始めます。ようするに盗作ですネ。小説の中で小説が書き進められて、ふたつの物語が錯綜しながら展開していきます。さらにややこしいのは、主人公の作家がかつて住んでいた町角で、遠い昔に亡くなったはずの従姉を見かけたことで、いままさに書いている小説と同じような奇怪な出来事に巻き込まれ、虚構と現実が混沌としていくのです。
身の毛もよだつというようなストーリーではありませんが、怪しげで奇妙な小説であることは確かです。ページを開いたら、最後までイッキ読みしちゃいますよ。