【感想・ネタバレ】夢幻地獄四十八景のレビュー

あらすじ

バスの中で老人が隣席の若い男に話しかける――わたしは遠くで話す人間の唇が読めますが、この前も男女が心中の相談をしているので警察に知らせたところ、男女は俳優でした、芝居の稽古なのですよ、うっかり信じこめませんな、ですから今し方見た恐るべき相談も本当かどうか……。いろは48文字をタイトルに、才気溢れるショートショート集。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

 ショートショート集。ショートショートというと星新一の名前がまず思い浮かぶし本書に収録されているある作品でも星の名前が出てくるのだが(『飛びおり自殺』pp32-35)、都筑の書くショートショートは星のものと比べるとだいぶウェットだ。星はあくまでSF作家なのに対し、都筑はミステリ作家であるということもあるのかな。人の怨念や情愛というものが文庫本3-4ページに満たない作品群の中に溢れ出ている。いろはかるた順に作品が並べられているのも楽しいし、真鍋博のイラストも格好いい、洒落た一冊。

0
2025年11月16日

Posted by ブクログ

いろはにひとつずつ題材を得たショートショート集。どれも短いながらも読み応えたっぷり。谷川俊太郎さんによる解説も凝っています。
お気に入りは「夜の声」。これ、たぶん「風見鶏」の原型ですよねえ。もちろんあの短編よりぐっと短いのだけれど、それでもエッセンスは充分に効いています。
ホラー好きとしては「沼」「わに」もぞくりとさせられて好きなテイスト。「猿の手」はまさかこんなアレンジをされているだなんて。ミステリ好きとしては「鏡の間」「つまずき」が面白くて印象的でした。
「狂訓かるた」もちくりと皮肉が効いていて面白いです。「老いても恋したがる」にはラストでくすりとさせられたし。「知己もくどけりゃ邪魔になる」ではほっこりさせられました。

0
2021年05月06日

「小説」ランキング