土屋賢二のレビュー一覧
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この本は個人的には土屋エッセイの中でも指折りの面白さだと思っています。何回も読んでいますが今回も笑えました。
最高傑作は「犬よ」ですね。ほかには「手ばなしで喜べるか?」「生き残るもの」「書店に行くとなぜトイレに行きたくなるか」「解説は何のためにあるか」などが好きです。
この本は聖者ツチヤ師の初登場巻だったでしょうか? これももちろん好きです。
好きな部分の引用を少し
“締め切りが日に日に近づいてくるというのはつらいものだが、締め切りが日ごとに遠ざかって行くのはもっとつらいものだ”
“形あるものはすべて壊れる(とくにわたしは壊れやすい。)ただ一つの例外は、気に入らない食器である。(中略)遺跡の -
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ネタバレお茶の水女子大の哲学者、土屋教授のエッセイ集。めちゃくちゃ面白い。1994年に単行本が発売され、そのあと文庫化された本だが、「エッセイ おすすめ」などと検索すると今でも上位に出てくる名著。ちゃんと役に立たない。
哲学的思考を駆使して難しいことを論じているのかと思いきや、屁理屈につぐ屁理屈。ユーモアエッセイとも言えるが、哲学的悪ふざけと言う方がしっくりくる。
何事も疑うことから真理の探究が始まるというスタンスだけは崩さず、真理を探究しているかと思いきや、捻くれた考えをたくさん授けてくれる。その挙句、なんか真理っぽいものに到達しているから不思議。
論理のすり替えや、相関関係・因果関係のすり替え、 -
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久々に、読んで、とっても楽しかった!
「笑う哲学者」ともいわれ、
立派な哲学者でありながら、
ユーモアたっぷりの面白い作家さん。
『われ笑う、ゆえにわれあり』を最初に読んで、
それから、ドハマリ!
イギリス人はユーモアが大好きだが、
「ユーモアがないと人生の危機を乗り越えることができないから」
ユーモアがないと苦難に押しつぶされてしまうという。
自虐ネタ、奥様ネタがとっても多いが、
ソクラテスの悪妻クサンティッペをイメージしてしまう。
「良い結婚はあるが、楽しい結婚はない」という箴言のとおり。
くすっと笑えて、ゲラゲラ腹を抱えて、
哲学がチョッとわかって、面白い本!! -
Posted by ブクログ
本のタイトルからして身も蓋もない、あるいは煙に巻いたものとなっているこの本。
頻繁に登場する土屋先生の奥方は、かなり話を盛っているのだと思うが、そんな猛妻がいるのかと思ってしまう描写だった。
でも、読み進めていくうちに、土屋先生の奥方はかなりの才女で、先生はその掌の上で踊らされているだけだと確信するに至った。
今回、この本で教訓を得たのは、「面白いと思う本から読まないと後悔する」という先生の警告だった。
歳を取ると記憶力と理解力、集中力、根気、熱意がなくなり、読書が難しくなるというのだ。それは非常にまずい。老後の楽しみに取っておこうなどと考えずにどんどん読まなければ。 -
Posted by ブクログ
爆笑させられてしまえば、星5を付けざるを得ない。
著者のエッセイは面白いと前々から聞いていたが、書店でこの本を手に取り2ページほど読んだだけでそれを実感することができた。
この本の魅力はまえがきである。
まえがきにおいて、「この本では何ら重要な提言も情報も提供しない」と明言しているのだ。
つまりこの本を読むにあたって何か得ようとしないでください、と言っているのだ。
欲があるから得られなかったときに落胆するのだ、最初から何も得ようとしなければ失敗しようがない、と。
完全に心を掴まれてしまった。
そしてこれはこの本に限らず、そして読書に限らず、人生のあらゆる場面で適用できる考え方なのではないか? -
Posted by ブクログ
「わたしはあなたの顔も性格も嫌いですが、あなた自身を愛しています」と言われたら、どう思うだろうか。
ソクラテスはこんな論を展開した。
「人間が道具を使う時を考えればわかるように、使われる物と使う主体は別々のものである」
「人間は身体を使う。だから、人間と身体は別々のものである」
「身体を使うのは魂であるともいえる。だから、人間と魂は同じものである」
「したがって、人を真に愛するということは、魂を愛するということである」
「他の男はあなたの身体に恋しているが、それはあなたの所有物に恋しているに過ぎない」
「私はあなたの魂を愛している」
「だから、あなたを愛しているのは私だけだ」
この論理はお