先日読んだ「希望を運ぶ人」のテーマが、ものの見方、だった。
いきづまったりした時に、ものの見方を変えると幸せへのヒントが見えるという。
この「幸・不幸の分かれ道」も、切り口は違えど、似たようなテーマだった。
著者の土屋賢二さんは、哲学者であるらしい。
後ろの著者紹介は自分で書いたものだろうか。とて
...続きを読むもまじめにふざけている。(笑)
哲学と言えば、なんとなくロダンの考える人的なイメージがあるんだけど
(実際、学生のころの哲学の先生はクソまじめな先生だった)
この著者の本なら面白いに違いないと、手に取った。
哲学という「考えること」を研究対象としているだけあって、
本の構成とかがよく考えられていると思う。
文章は読みやすく、ちょいちょいっと自虐的なユーモアが差し込まれていて
すいすいっと読み進められるし、頭にも入ってくる。
この本自体は、「世の中で言われている、幸せになるための条件とは、
はたして本当にそうなのか」という問いかけをしており、普通の感覚で言えば
屁理屈だろう、という反論もしており、哲学の基本に沿っている。
でも最終的には、気持ちがとても軽くなる結論(推論?)で結ばれていて、
別に物語じゃないけど、読後がさわやかだ。
心がちょっと軽くなるっていうか。
学生の頃、哲学の授業を自ら進んで受けたのだけど、哲学って人間らしく幸せに
生きるために追及されるものなのに(そう教わった)、
そんなうんうん考えてるのは、全然幸せじゃないなぁと思ったりした。
屁理屈をこねくり回すのは嫌いじゃないので、面白い授業ではあったけど。
でも、この土屋先生は、笑う哲学者と自称しているそうで、興味深い。
幸せを感じるためには、ユーモアが必要だと主張しているが、本当にその通りだと思う。
ただ、ユーモアって言葉の定義が難しい。というか厳密には定義されていない気がする。
日本語になると、他人を笑わせる事や奇抜さと直結している気がするが、ユーモアの本場
イギリスでは、ちょっと違うような感じだ。
もともとは、体液という意味の言葉から派生したらしいけど、humanと言う言葉と
関係が深いらしい。らしいばかりで申し訳ないけど、そうらしいと習ったんだから仕方ない。
この本を読んで感じたのは、ユーモアってのは「心のゆとり」と何か関係がありそうだということ。
土屋賢二さんの他の著書もぜひ読んでみたい。