宗田理のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
“「いっしょにやらない?」
お菊はすごくびっくりしてた。及び腰で、いまにも逃げ出しそうに見えた。こいつはこういうときに遠慮するから友だちができないんだ。あたしはそう思って言った。
「自分から勇気を出して入っていかなきゃ、いつまでたっても自分の居場所は手に入らないよ。居場所は自分で作るもんなんだよ」
ボールを差し出すと、お菊はこわごわといった感じで受け取った。それがお菊が野球の輪に加わるきっかけだった。”
あさのあつこ「ヨキナマ、ヨキナマ」
椎名誠「働く子どもたち」
関口尚「代打の女神様」
宗田理「ネコになった少年」
はやみねかおる「幽霊屋敷にて人喰い鏡を見る」
松原秀行「キャベツ畑のトリケラトプス」
やっぱはやみねさんのが一番好きだ。
快人と春奈は楽しすぎる。
もちろん、長曽我部先輩も。
“そのとき、ぼくの母が、冷えた麦茶を持ってきた。
コンマ一秒の素早さで、春奈が正座する。フィンをつけたままで、この素早い動き。さすがだ。
「おばさま、おじゃましてます」
優雅に頭を下げる春奈は、どこからみても良家のお嬢様だ(頭に、水中眼鏡をのっけているけどね)。
そして、母に告げ口する。
「快人ったら、海に行かないって言うんですよ。残りの夏休みを、本を読んで過ごすって言って」
「あらあら、困った子ね」
溜息混じりに言う母。
「この子ったら、少しも外へ行こうとしないから……。漂白剤に浸したモヤシみたいに白いでしょ。春奈ちゃんみたいに、よく日焼けした子がうらやましいわ」
「日焼けは、歳をとってからシワやタルミの原因になる。皮膚ガンの心配もある。―――母さんは、ぼくが皮膚ガンで死んでもいいって言うの?」
「引きこもりの理屈オバケになられるよりは、ましよ」
ぼくの主張を、母は溜息で吹き飛ばす。
そして、春奈に飛び切りの笑顔を向けた。
「たいへんだけど、快人の面倒を見てあげてね」
「任せてください、おばさま」
全てわかっているという顔で、春奈がうなずいた。” -
Posted by ブクログ
札付きの非行少年の心を開こうと献身的に接する若い女教師。
しかし,彼は女教師にナイフを向ける。
彼の内にあった驚くべき葛藤,そして女教師を刺した理由とは。
ジュブナイルが得意な著者が少年犯罪を正面から扱った作品。
現在は厳罰化傾向により出版時から少年法は改正されているが,
やはり少年の凶悪犯罪は世間の耳目を集める問題である。
その理由の一つには,動機の不明確さがあると思われる。
大人には理解できない理由で簡単に人を殺してしまう少年たち。
その視点はある意味で恐怖で,大人たちは理由付けに奔走する。
しかし,それでは実際に何の解決にもならない。
そういった意味では,本作は驚くべき理由が明かされるので,
実際の少年の凶悪事件とは異なっているが,
社会に対して一石を投じる作品ではある。
被害者の関与など少年法の壁が少しずつ壊されてきている。
それが少年たちにどのような影響を与えるのか。
答が出るのはこれからであるが,いいことばかりとは思えない。