玉岡かおるのレビュー一覧

  • 姫君の賦 千姫流流

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    なにが素晴らしいって、一番最後のところ。伏線回収が素敵すぎる。おかげで何回も、前に戻って読み直せた。伏線回収の上手な作家は貴重である。

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    2021年10月05日
  • 天平の女帝 孝謙称徳―皇王の遺し文―(新潮文庫)

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    どこで気になったのか不明。でも手元にあって、先だって読んだ不比等の後日談として楽しめるかも、と思って着手。でも本作に流れる時代は、なんと称徳天皇亡き後がメインで、同天皇については回想の対象という設定。馳作品同様、いわゆる一般的歴史認識に対して、違った可能性を問うといった内容で、ミステリ的な結構も盛り込まれていて、スリリングな味わい。でも人物造形はこっちの方がずっとリアルで、深い。それにしても、単純に”奈良時代”として記憶しているこの8世紀、何とまあ激動の時代だったのですね。更に興味は深まるばかり。他の作品にもあたってみたい。

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    2021年07月02日
  • 天涯の船(下)

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    時代が2人の運命を狂わせたけれども、その時を生きた人の中では進んだ2人だったが、男女の中だけはそうはいかなかった。
    関西人としては、とても読みやすいお話。

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    2021年05月10日
  • 花になるらん―明治おんな繁盛記―(新潮文庫)

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    激動の幕末期から明治にかけて。
    日本の都の象徴、天皇は京から去り東京へ。家業の呉服ばかりでなく、京都の産業は市場の急激な縮小、変化にさらされる。その中で、新たなニーズを見出し、新技術を取り入れ、更に持ち前の美意識を活かして家業を、地場産業を護り盛り立てた寡婦の奮闘。

    男尊女卑の風潮、開国と不平等条約の理不尽など、ダイバシティ、グローバル化の現代的な要素をも強く感じさせる物語です。
    主人公雅の胸のすく活躍の陰にも、性別や出自、植民地主義などによる差別が度々顔を出し、時代背景からさも有りなんとは思いますが、才能溢れる姪の富美に対する仕打ちには思わず怒りに身が震えてしまいます。

    世の中、変えなく

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    2021年04月15日
  • お家さん(下)

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    総合商社を志す学生には是非読んでほしい1冊。自分は何故総合商社で働きたいと思ったのか、改めて見つめ直させてくれる作品だった。

    まさに当時鈴木商店の門戸を叩いた男達と同じ野望を自分も持っている。

    世界を相手に海外を相手取り、日本を背負った大仕事を通じて誰も成し遂げたことがないような利益を叩き出したい、日本の繁栄に貢献したい

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    2021年03月18日
  • 天涯の船(上)

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    東京国立博物館を訪れると松方コレクションに出合える。彼の家族は,なぜ、これほどまでに高価な散在をしてまでも美術品を集めまくったかは理解できていない。

    この小説は光次郎こと松方正義とみさおことクーデンホーフ伯爵夫人の秘められたロマンを前面に打ち出したロマンス大河小説として完成されている。

    大河ドラマでも紹介された一部の内容を遥かに超え、日本、欧州を股に掛けた壮大なスケールは真に、浪漫の世界。

    松方に関しては資料も多いがみさおのモデルに関して筆者は資料を駆使して想像の世界を飛翔した様だ。

    日本は言うに及ばず、当時の米英仏独にも女性の身辺路を記した記録が無く、腕の見せどころだったと感じる。

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    2020年09月11日
  • 天平の女帝 孝謙称徳―皇王の遺し文―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    女帝に仕える高級女官、和気広虫の目線で物語が語られる珍しい形態。
    主人公である孝謙天皇(称徳天皇)は死語である。

    この時代の話は初めてなので新鮮。

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    2020年07月04日
  • ひこばえに咲く

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    太平洋戦争のさなか、厳しい弾圧を受けながらも己が信念を貫き体制に抗い続けた女性の生きざまには胸に迫るものがありました。第一野党にもなれず大きく支持率を下げている現在の体たらくを見たらさぞや嘆くことでしょう。絵描きさんにお薦めしたい一冊です

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    2020年04月05日
  • お家さん(下)

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    双日社のルーツとなった鈴木商店の話。
    舞台は神戸、お家さん(鈴木よね)と金子直吉を中心とした鈴木商店の栄枯盛衰を描く。
    実話ベースの物語は面白く勉強にもなる。熱く事業を拡大する男と、それを見守るお家さん、明治・大正・昭和の時代を戦争の需要の波に翻弄されながらも生きる姿を描く。


    ■学
    ・樟脳

    ・後藤新平
    台湾から阿片を無くし
    どんな山奥にも学校があり教育が行き届いている
    世界に輸出できるほどの農業生産国となった

    ・鈴木商店関連会社
    神戸製鋼、帝人、サッポロ/あさひビール、協和キリン、日本製粉

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    2020年01月16日
  • 天平の女帝 孝謙称徳―皇王の遺し文―(新潮文庫)

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     孝謙称徳天皇の時代は恵美押勝の乱があったり道鏡事件があったり、つまり女帝が特定の家臣を極度に愛してしまいそのため政治が混乱をきわめるという、そんな歴史的イメージを持つ天皇である。
     しかしながらこの小説ではそんな悪いイメージを払拭してくれるばかりか、なぜ後世に女帝の悪い印象が残されたのかその理由も明確に示してくれている。
     孝謙女帝が主人公だが、女帝が崩御されるところから話が始まる。女帝に仕えた女官の和気広虫の視点でストーリーが語られていく。光明皇后に引き立てられ絶大な権力を握った藤原仲麻呂がどのような生涯を送ったのか、道鏡がどのように女帝を救ってどう寵愛されたのか、女帝亡きあと誰によるどん

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    2019年12月26日
  • 姫君の賦 千姫流流

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    玉岡かおるさんの歴史小説 好きです
    彼女の地縁のある人物に焦点を当てています
    これは千姫
    姫路城を見学した時、化粧櫓とか板張りの長々と続く百間廊下を歩いて 少女だった私は ただぼーっと憧れてました
    身分が高い故につかんだ幸せと不幸
    流々とした生き様が良くえがかれていました
    支え続けた侍女も切ないです

    ≪ いわれなき 悪名身に浴び 凛として ≫

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    2019年12月07日
  • お家さん(下)

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    鈴木商店のお家さん。
    あの時代に女性が大企業のトップにいたことに衝撃を受ける。
    また読む人によって想いを傾ける人物が変わってくるだろうと思う。面白い。

    大阪人の私にはスラスラ読めたが関西弁に馴染みのない人はどうなんだろう。聞いてみたい。

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    2019年09月06日
  • 姫君の賦 千姫流流

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    友人に勧められて読みました。千姫の波乱な人生を通して、生きる意味を気づかせてくれる本だと感じました。

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    2019年01月12日
  • 天平の女帝 孝謙称徳―皇王の遺し文―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    再読。歴史は勝者によって書き残される。という視点からの裏物語。「男も女もなく、力を合わせ、生きるべきだ」という女帝の最後の詔は、千年後にはかなえられたのか、二千年後には実現できるのか。やはり闇に葬られたままなのか。「今度生まれ変わるなら、やはり女に生まれたい。そのときこの世は、きっと、もっと生きやすくなっていることであろうから。」という女帝の願いの純粋さに泣ける。解説の『源氏物語』への重ねが興味深かった。

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    2018年09月13日
  • 天涯の船(下)

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    女性は、内に秘められた思いや決意をかかえて、長年生きていけるものなんだと強く感じられる作品。
    あとがき児玉清さんなのも感慨深い。

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    2017年04月20日
  • 天涯の船(上)

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    女性は、内に秘められた思いや決意をかかえて、長年生きていけるものなんだと強く感じられる作品。
    あとがき児玉清さんなのも感慨深い。

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    2016年10月20日
  • 負けんとき(下)―ヴォーリズ満喜子の種まく日々―

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    おマキさまは本当にこれで幸せだったんだ…というのが率直な感想。私は佑之進の胸の内がせつなくて、佑之進への気持ちを超えるメレルへのおマキさまの思いがつかみかねた。絹代さえ気づいていた思いに、当の本人が気づかないはずはないのでは…?それを押し殺してもなお余りある幸せをメレルは与えたというのか?国籍を奪われ、日本人でありながらメレルの妻となれたにもかかわらず近江八幡の民に受け入れられず、最後は兄弟と信じた者たちからも追放され、逃れた軽井沢で結局病を得たメレルの看病に明け暮れた…苦難に向かえば向かうほど、負けんときと自分を奮い立たせて自分の気持ちで乗り越えていきながら、これが望んだ幸せだと言う。共感で

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    2015年09月30日
  • お家さん(下)

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    様々なゴタゴタが落ち着き、鈴木商店も過去最高益をたたき出して安定したところ、焼打ちに合う。米が国内で余り価格が下落したために海外に売った結果、今度は不足に陥り、値上がりを見越して売り渋る商店がでた。その筆頭が鈴木商店とみなされたためだ。大阪朝日新聞による扇動的な記事の影響も大きかったようだ(当時は反社会的だが、この後、トップが交代して国に迎合し始める)。当時の新聞の力を感じる。この本を読んで強く感じたことは、日本人の視点ではなく、広い眼で見て書かれていることだ。日清戦争後に台湾を併合した際、日本では台湾の衛生向上・教育推進・産業振興に努めて良いことをしたと言われる。その良い面がある一方で、日本

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    2015年05月08日
  • お家さん(上)

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    明治期に急拡大した神戸にあった鈴木商店の物語。主人をなくし寡婦となったお家さん(およね)の独白調で話が進む。鈴木商店の内側からみた話は店が大きくなるにつれて、主人と使用人の間が離れつつも、苦労を共にした番頭たちとの絆が素晴らしく丁寧に描かれている。その代わりに、鈴木商店の拡大の舞台裏はあまり語られていない。その点も知りたいと思う。

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    2015年05月04日
  • 負けんとき(上)―ヴォーリズ満喜子の種まく日々―

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    明治から昭和を駆け抜けた夫婦の大河小説。
    ハラハラドキドキはないけど、この時代を生き抜いて様々な大切なものを今の時代に残してくれた偉人に感謝。
    元華族の満喜子もすごいけど、天皇=『国民の象徴』説を最初に唱えたのが外国人であるヴォーリズであったというのが一番の驚き。
    2015/02

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    2015年02月04日