玉岡かおるのレビュー一覧
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激動の幕末期から明治にかけて。
日本の都の象徴、天皇は京から去り東京へ。家業の呉服ばかりでなく、京都の産業は市場の急激な縮小、変化にさらされる。その中で、新たなニーズを見出し、新技術を取り入れ、更に持ち前の美意識を活かして家業を、地場産業を護り盛り立てた寡婦の奮闘。
男尊女卑の風潮、開国と不平等条約の理不尽など、ダイバシティ、グローバル化の現代的な要素をも強く感じさせる物語です。
主人公雅の胸のすく活躍の陰にも、性別や出自、植民地主義などによる差別が度々顔を出し、時代背景からさも有りなんとは思いますが、才能溢れる姪の富美に対する仕打ちには思わず怒りに身が震えてしまいます。
世の中、変えなくちゃ。
最後まで読んでから改めて第一章に戻ると、雅同様、様々な回想が去来し人生満ち足りた気分になれました。
久賀さん、どこ行っちゃったんでしょうね。 -
Posted by ブクログ
孝謙称徳天皇の時代は恵美押勝の乱があったり道鏡事件があったり、つまり女帝が特定の家臣を極度に愛してしまいそのため政治が混乱をきわめるという、そんな歴史的イメージを持つ天皇である。
しかしながらこの小説ではそんな悪いイメージを払拭してくれるばかりか、なぜ後世に女帝の悪い印象が残されたのかその理由も明確に示してくれている。
孝謙女帝が主人公だが、女帝が崩御されるところから話が始まる。女帝に仕えた女官の和気広虫の視点でストーリーが語られていく。光明皇后に引き立てられ絶大な権力を握った藤原仲麻呂がどのような生涯を送ったのか、道鏡がどのように女帝を救ってどう寵愛されたのか、女帝亡きあと誰によるどんな力で皇太子が定められたのか。あの時代に起こったさまざまなできごとの流れとその背景が解き明かされる。
もちろんこれは小説なので作者の脚色もあり、話に花を添えている。広虫に届いた飾り緒が誰からの贈り物なのか最後にわかる場面があり、思わず涙が出てしまった。
残念なのは、女帝の政治を通して作者は現代における男女平等社会の推進を強く主張しているように見える点である。男女平等はよいのだが「男の社会は悪、女の社会は善」と決めつけたような話の流れがやや鼻につくのと、皇室にも女性・女系天皇を容認すべきという主張が見え隠れしているようで、そこは少し不満を感じた。
最後まで読んだあとでもう一度冒頭の部分を読んでみると話の伏線がいくつか張られていることに気づく。ペルシャ猫が最初から登場しているではないか。