玉岡かおるのレビュー一覧
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文庫本で上下巻だったのですが、先週末に途中でやめられなくなり一気に読んでしまい、寝不足に陥った本です。
主人公の鈴木よねは明治、大正、そして昭和初期の日本において世界を股にかけた貿易で、当時の日本で一番の年商をほこった鈴木商店のオーナーです。三井、三菱・・などの財閥の名前は有名ですが、それに勝るとも劣らないすごい”商社”が他にあったとは!まずそれが驚きで読み進めていきました。
神戸において夫が営んだ店を夫亡き後、未成年だった息子たちが成人するまでと優れた働きをする大番頭を中心に店を続けていく覚悟をした"よね"でした。
日清日露戦争で勝利して世界の列強に仲間入りをしようとする -
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上下巻合わせると1000ページ近い大作です。
明治17年から昭和8年ころの米国、日本、欧羅巴を舞台に時代の波に翻弄される二人の互いに対する想いが胸に迫ります。特にやっと二人がお互いの思いについて素直になったときは、ほっとしました。出会ってから40年後くらいでしたが・・
物語は、ミサオの養子で、姪の子でもある綾子が、ミサオが持っていたブローチを手に入れ、そのいわれを知りたいと、綾子を捜し出した木村万里子に対して、語り始めるという形で始まりますが、その内容はミサオが綾子に語ったと思われる語り口である関西弁で綴られています。
桜賀光次郎のモデルは松方コレクションで有名な実業家松方幸次郎氏だそうで -
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ネタバレ小説のモデルとなった、アンティークジュエリーの船の写真を見て、この小説を読みました。
第一次世界大戦の前後の日本女性の状況や、西欧との関係、恋愛の引き寄せられる熱い思いが、興味深かったです。参考文献の『火輪の海』『クーデンホーフ光子の手記』は、いつか読みたいと思いました。
矩子さんの家庭を思うと、複雑な気持ちになりました。盛り上がってる2人は良いかもしれないけど、あんまりだなと思いました。ミサオさんも自覚しているし、抗えなかったとはいえ、微妙だと思ってしまいました。小説の全体像の評価だと、星5つの満点かもしれませんが、ストーリーの展開における個人的な好みによって星を4つにしました。 -
Posted by ブクログ
母の書棚にあった文庫本で、表紙絵もタイトルもまったく興味を示さなかったのだが、書棚の本を全部読み尽くすという目標だったので消化作業がてらに読んでみてびっくりした。
大名がのちの子爵となった一柳末徳の娘満喜子とアメリカからの宣教師ウィリアム・メレル・ヴォーリズとの史実の物語で、ちょうどこの本の前に『秘色の契り』『大盗禅師』と江戸末期の話を読んだ後なので実に偶然にもその後の日本の話に繋がりすっと当時の時代に馴染めた。藩主の娘、すなわち姫然として育てられすべてに型通りに生かせようとする父に反発するもその才能を活かせずいじいじと社会にも恋路にも二の足を踏んでばかりで前に進めない”跪座”の状態の主人公の