あらすじ
「俺は日本の船すべてに俺の発明した帆を掛けさせたい」。江戸後期、播州高砂の漁師から廻船問屋を営む海商にまで上り詰めた松右衛門は、千石船の弱点である帆の改良に取り組む。船が速くなれば、流通が盛んになり民の生活が潤(うるお)う。仕事とは世のため人のためにするもの――。松右衛門は試行錯誤の末、板のように強く羽のように軽い「松右衛門帆」を発明する。日本海運業の革命児を描く歴史長編。(解説・高島礼子)
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Posted by ブクログ
江戸後期に高砂の漁師から廻船問屋を営む海商に上り詰め、名字帯刀も許された工楽松右衛門の一代記。千石船の帆の改良に取り組み松右衛門帆を発明、蝦夷地択捉島では港を作りロシアの脅威から日本を守り、或いは瀬戸内海の港では浚渫する為の特別船を発明するなど“工夫”を“楽しむ”男を描く歴史小説。
彼が居なければ蒸気船の登場まで長く使われた帆はなかったし、アイヌ人もロシアに取り込まれ、北方領土について領土問題も存在しなかったかもしれない。
Posted by ブクログ
工楽松右衛門を知らなかったが、すごく魅力的な人物だった。初めて男性に焦点を当てた作品ということだったが、メインは関わる女性について詳しく描かれていた。鎖国時代だったからこそとも言えるが、今も工夫を凝らすこと、アイデアで富を築くことができる。その先進的な考えを思い浮かべられる才能に嫉妬する。
Posted by ブクログ
僕は、今まで数百冊の時代小説を読んで、大概の歴史上の偉人の名前くらいは知っているつもりだったけど、まったくの自惚れだったことが、この作品を読んで思い知った。この工楽松右衛門という人は、とんでもなく凄い人ではないか‼️”あの”高田屋嘉兵衛の「師匠」ということは、極論すると、松右衛門さんがいなければ、函館という港はなかった、のかもしれないのだから。しかし、解説で高島礼子さんが書かれていた通り、この作品の本当の主人公は、松右衛門を支えた4人の女性なんだろう。