あらすじ
明治半ば、播州(兵庫県南部)小野藩最後の藩主の娘として生まれた一柳(ひとつやなぎ)満喜子。封建的な家で育った満喜子だが、平民の通う女学校に進んで、アメリカ人教師から英語やキリスト教の精神を教えられ、神戸女学院では音楽を学ぶ。乳兄弟の佑之進との恋は実らず、傷心の彼女はアメリカに留学することに……。運命に翻弄されながらも、自らの人生を切り開いていった女の姿を描く感動の大作。※新潮文庫に掲載の写真は、電子版には収録しておりません。
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Posted by ブクログ
今まで玉岡かおるさんの著書を読んでこなかったのが悔やめれるくらいの傑作。激動の時代を誇りを持って生きた女性の姿にただただ感動しました。
朝ドラでドラマ化してほしいです。
Posted by ブクログ
再読。最初に読んだときはどんな展開になるのかストーリーを追いかけていったが、二度目のほうがよりいろんな女性の心情をじっくりと味わうことができた。心臓をじわじわとつかまれ続けるような苦しさが全編を通じて描かれる。女性を縛り付ける鎖のなんと重いことか。
Posted by ブクログ
母の書棚にあった文庫本で、表紙絵もタイトルもまったく興味を示さなかったのだが、書棚の本を全部読み尽くすという目標だったので消化作業がてらに読んでみてびっくりした。
大名がのちの子爵となった一柳末徳の娘満喜子とアメリカからの宣教師ウィリアム・メレル・ヴォーリズとの史実の物語で、ちょうどこの本の前に『秘色の契り』『大盗禅師』と江戸末期の話を読んだ後なので実に偶然にもその後の日本の話に繋がりすっと当時の時代に馴染めた。藩主の娘、すなわち姫然として育てられすべてに型通りに生かせようとする父に反発するもその才能を活かせずいじいじと社会にも恋路にも二の足を踏んでばかりで前に進めない”跪座”の状態の主人公の、当時の女性特有の気苦労にやるせなくなってしまう。何度ものちの”運命の人”とのすれ違いがあり、期待させては肩透かしにあいながら、上巻は佑之進との恋が破れ小心のまま夢見たアメリカの大地へと旅立つ。恋や人生のライバル、また親元を離れた主人公の生活の面倒を見守る大阪商人のおかみさんからの「負けんとき」が、そのままタイトルとなり、その言葉が日本の女性の人権と社会進出を後押しすることになり、消化のつもりで読み始めた本がこれほど熱い物語だったとは反省するしかない。勢いそのまま下巻へ続く。
Posted by ブクログ
明治から昭和を駆け抜けた夫婦の大河小説。
ハラハラドキドキはないけど、この時代を生き抜いて様々な大切なものを今の時代に残してくれた偉人に感謝。
元華族の満喜子もすごいけど、天皇=『国民の象徴』説を最初に唱えたのが外国人であるヴォーリズであったというのが一番の驚き。
2015/02
Posted by ブクログ
あいかわらず玉岡かおるは読ませてくれる。ぐいぐい引き込まれた。日本女子大とか出てきてビックリ!幼馴染の佑さんとのことは、まぁ世の中そんなに上手くいかないってことよね。