玉岡かおるのレビュー一覧
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玉岡ファンの方の推しでこの本を選んで読みましたが、明治から大正にかけての男尊女卑や、古い結婚観、搾取する側とされる側の対立などの時代性やドロドロのメロドラマ的内容に些か読み疲れが・・、女性はこういう展開が好きなのかな?
3人の女性の生き方の物語ですが、3人とも一人の男性との恋愛関係に引いたり押したり。親の遺言で結婚したものの、他の2人と夫との関係を考えたり。下巻では次々と人が亡くなってゆく展開に気が重くなってゆく。最後も田舎の噂になり、自殺も考え街を出たお嬢様がどうなることかと思ったら、最後の10ページでやっと幸せの兆候が現れた。
この最後をもっと膨らまして掘り下げてくれると、読み味は全く違っ -
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夏休みに長い本を読んだ学生気分が懐かしい!ってなわけで『エデンの東』に続いて読みました。
『天涯の船』玉岡かおる
エデンよりは短いんですけど上下巻1000ページもあるし、明治大正昭和にわたり時代背景も長く、スケール大きく、波乱万丈盛りだくさんの物語でした。
はじめにきらびやかな宝飾品がミステリーに登場、お姫様の替え玉、米国留学(明治の初め鹿鳴館の頃ですぞ)、替え玉のミサオの苦労、オーストリアの子爵に求婚される、遠距離恋愛、禁断の恋と続いて、少女コミックも真っ青です。
玉岡かおるが3年もかけてお書きになった力作だし、明治からから昭和の歴史的人物(たとえば岡倉天心、新渡戸稲造、.. -
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徳川秀忠の娘にして豊臣秀頼に嫁いだ千姫。その半生をお付きの女房・松坂局から描く。
大坂城落城後、本多忠勝の孫忠刻に嫁ぎ、そのことで本多家は栄え姫路へ移ることになる。
更には長女勝姫と長男幸千代を授かり幸せな日々も絶頂期。だがこの後に辛い日々が待っていた。
『姫さまとは、あらゆる草や石を踏みつけても、そこに敷かれた緋毛氈の上をまっすぐに進むお方。姫さまが、毛氈の下に何があるかを気に掛ける必要などござりません』
千姫の妹・松姫が朝廷への徳川幕府の影響力を強めるために強引に入内させられようとするときに松坂局が言う言葉が印象的。
実際の千姫がどういう人物なのかはわからない。この作品のように松姫の宮 -
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広虫(狭虫)視点、弟が糺した宇佐神託に一文加えたがために女帝の信頼を損なう。女帝死後許され都に戻るが、女帝をめぐる死の謎を解く過程で奈良朝政争の歴史が語られる。
言葉の力を信じる女帝。名は体を表す、文字は魂を宿す。
罪に落とす前に道祖王=麻度比(惑う)、黄文王=久奈多夫禮(愚か)、和気清麻呂(別部穢麻呂)
女帝は唐に憧れる(則天武后かも)元号が4文字、官職が唐風改称(言葉にこだわる)
作品では母と愛を競った仲麻呂の権力の元は光明子の宮職(749紫微中台)の長官となり、兵を掌握し、詔勅を独力で実施できる、新羅征討も計画、新天皇(淳仁天皇=淡路廃帝)も私邸で囲うなど権力を集中していたが、光明皇后死 -
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激動の人生を綴った前編から、後編はメロドラマっぽい感じになりました。
「縁」というよりは、ご都合主義的な感じを受ける場面が多々あった。
そもそも、前編で光次郎さんが男気を発揮していたら、このすれ違い状態にならなかったんじゃないかと思うとすっきりしない。
光次郎さんは、それができる立場だった筈なので、余計にそう思う。
お互いに精神的には長年パートナーを裏切っていたわけで、個人的には奥様の矩子さんが気の毒だなと思ってしまうので、良かったねーと素直に思えない。
以前読んだ『クォーター・ムーン』もすっきりしない後味で、この作者さんとは感性が合わないのかなあ……。