玉岡かおるのレビュー一覧

  • お家さん(上)

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    関西弁による主人公の主観的記述と、客観的な物語が織り交ぜながら進行する。関西弁が苦手な方には少し読みずらさを感じられるかもしれないが、本作の主人公の表現に関西弁は欠かせないものである。
    ストーリーもしっかりしており、一筋縄ではいかない商人としての生活が非常によく表現されている。そして嫌味のない教訓、精神論には共感を覚えるところが多い。

    下巻が楽しみな作品。

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    2010年11月13日
  • サイレント・ラヴ

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    この本は実際に手元にある。ボロボロになるほど読んだ。消化できないくらい入り込んでいるかもしれん。全然未消化。はっきりしてくれって感じ。もやもや感でいっぱいだけど、コレはコレでいいかとも思う。最初の1ページは、ぼろぼろになってちぎれどこかへ飛んでいってしまった。こんな終わり方しないでくれーと何度も思った。それでもまた読んじゃう。誰かが決めたっていう人生じゃないのに、家(家のしがらみか?)に縛られる感じに憤りを覚えるけど、また読んでしまう。結局気に入ってるんだ。

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    2009年10月04日
  • クォーター・ムーン

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    恋愛・女の友情・仕事・家庭といろいろな要素が組み込まれていて、展開は読めてしまうのだけど、共感できる部分もありいつの間にか登場人物の1人に自分を重ねてみたりして。
    1クールのドラマを観ているようだった。 (2002.8.20)

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    2009年10月04日
  • さまよえる神剣

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    壇ノ浦で沈んだとされる、三種の神器のうちの「草薙剣」を探し求めて、上皇の武士有綱、刀匠伊織、不思議な力を持つ少女の3人が四国を旅してゆく。広島に住む私にとって音戸や宮島を作った清盛や平家は近しい存在なので興味深かった。少女に折々に憑依する過去の霊の場面が幻想的で、琵琶法師の一場面の様だった。

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    2024年05月28日
  • 花になるらん―明治おんな繁盛記―(新潮文庫)

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    常に前を向き、背筋を伸ばし、颯爽と突き進む生き様は同じ女性として憧れるばかり、ご主人を無くしてから後の恋物語もとても面白かった。全て順風満帆に生きたようでも、長い人生で様々な岐路に立ち、その時その時で辛い判断を強いられた事も沢山あったであろうと、晩年の回想で胸が痛みました。常に美しい物を見極め、日本人の誇りを持ち、それを現代へと繋げて下さった事に敬意を評します。

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    2024年05月11日
  • 天涯の船(下)

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    ネタバレ

    松方コレクションについて知れたのはよかったけど、恋愛物語はさらっとで良かったな。ちょっと、しつこかった。

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    2023年05月15日
  • 夢食い魚のブルー・グッドバイ

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    ネタバレ

    再読。これも初めて読んだときは好きだったんだけどなあ。時代の古さをあらためて感じる。時を経て現実ではそれだけ女性も少しは自由になったってことなのかな。

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    2022年09月10日
  • 銀のみち一条(下)

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    玉岡ファンの方の推しでこの本を選んで読みましたが、明治から大正にかけての男尊女卑や、古い結婚観、搾取する側とされる側の対立などの時代性やドロドロのメロドラマ的内容に些か読み疲れが・・、女性はこういう展開が好きなのかな?
    3人の女性の生き方の物語ですが、3人とも一人の男性との恋愛関係に引いたり押したり。親の遺言で結婚したものの、他の2人と夫との関係を考えたり。下巻では次々と人が亡くなってゆく展開に気が重くなってゆく。最後も田舎の噂になり、自殺も考え街を出たお嬢様がどうなることかと思ったら、最後の10ページでやっと幸せの兆候が現れた。
    この最後をもっと膨らまして掘り下げてくれると、読み味は全く違っ

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    2021年10月23日
  • 天涯の船(下)

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    夏休みに長い本を読んだ学生気分が懐かしい!ってなわけで『エデンの東』に続いて読みました。

     『天涯の船』玉岡かおる

     エデンよりは短いんですけど上下巻1000ページもあるし、明治大正昭和にわたり時代背景も長く、スケール大きく、波乱万丈盛りだくさんの物語でした。

     はじめにきらびやかな宝飾品がミステリーに登場、お姫様の替え玉、米国留学(明治の初め鹿鳴館の頃ですぞ)、替え玉のミサオの苦労、オーストリアの子爵に求婚される、遠距離恋愛、禁断の恋と続いて、少女コミックも真っ青です。

     玉岡かおるが3年もかけてお書きになった力作だし、明治からから昭和の歴史的人物(たとえば岡倉天心、新渡戸稲造、..

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    2021年09月18日
  • 花になるらん―明治おんな繁盛記―(新潮文庫)

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    内容(「BOOK」データベースより)
    皆が信用する、そんな逸品だけを揃えましょう―智恵も回るし手も早い、京の呉服商「高倉屋」の御寮人さん・みやびが目指したのは、皇室御用達の百貨店になること、そして世界を相手に日本の工芸美術の素晴らしさを知らしめることだった。女だてらにのれんを背負い、幕末から明治を生き抜いて、皇室御用達百貨店「高倉屋」の繁栄の礎を築いた、破天荒な女主人の破瀾の人生を描く一代記。

    令和3年1月27日~2月3日

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    2021年02月03日
  • お家さん(上)

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    玉岡さんモノでは、一番面白かった。生活の匂いがして、足が地に着いた内容と語り。

    筆者がそのエリアの出身という事も大きいのだろう。

    天涯の舟と併せて読むと面白かった。
    鈴木商店の大黒柱ともいうべき鈴木よね。

    世界大恐慌後のブラックデーでの崩壊に至る経済を読む記録小説ともいえる。

    経済は男の世界でありながら下支えする女の根性がまさに、昭和と感じた。

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    2020年09月11日
  • 姫君の賦 千姫流流

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    中盤ややまったり感はあったが、後半は一気に入り込めた。結末の人物の絡み、伏線回収は読後の余韻に浸れた。その時代の姫、女性の定め。しかし、その力は女性にしか持てないもの。それは現在にも通じる。うまく利用していきたいと思った。

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    2020年08月03日
  • 天平の女帝 孝謙称徳―皇王の遺し文―(新潮文庫)

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    広虫の女帝に仕えた回想を女嬬の質問などを通して現在と過去を織り交ぜて話が進んでいく。

    女帝は結婚は禁止とされ重い責任の中、寄りかかる人も女帝の権威を取り込むため近づき、優しく接する。

    この時代の小説はまやかしなどが多いけど、そういうのが重きを置いてなく、心情を優先させた小説。

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    2020年02月23日
  • ひこばえに咲く

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    2019.09.20~09.25

    誰かに「芸術とは何か」と問われたときに、この本を薦めるだろう。でも、「愛とは何か」と問われたときに、薦めることは皆無。不倫、嫌いだもの。

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    2019年11月29日
  • 姫君の賦 千姫流流

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    徳川秀忠の娘にして豊臣秀頼に嫁いだ千姫。その半生をお付きの女房・松坂局から描く。
    大坂城落城後、本多忠勝の孫忠刻に嫁ぎ、そのことで本多家は栄え姫路へ移ることになる。
    更には長女勝姫と長男幸千代を授かり幸せな日々も絶頂期。だがこの後に辛い日々が待っていた。

    『姫さまとは、あらゆる草や石を踏みつけても、そこに敷かれた緋毛氈の上をまっすぐに進むお方。姫さまが、毛氈の下に何があるかを気に掛ける必要などござりません』

    千姫の妹・松姫が朝廷への徳川幕府の影響力を強めるために強引に入内させられようとするときに松坂局が言う言葉が印象的。
    実際の千姫がどういう人物なのかはわからない。この作品のように松姫の宮

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    2019年06月25日
  • 姫君の賦 千姫流流

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    名前だけは知っていた千姫。
    豊臣が滅びて徳川に戻ったところまでは知っていたが、再婚して幸せになっていたのね。苦労して救い出した武将には気の毒なことだったけれども、いい人と結婚できてよかった。けれども、大事な男子を失い、続いて夫まで失うとは、とことん不幸な人だったんだな。。。
    お金があっても(あるからこそ?)不幸なことってあるんですね。

    小説としては、登場人物に感情移入しがたく、そういう点ではおもしろくなかったが、描写が詳しく、歴史好きの私にはおもしろく読めた。

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    2019年02月15日
  • 天平の女帝 孝謙称徳―皇王の遺し文―(新潮文庫)

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    広虫(狭虫)視点、弟が糺した宇佐神託に一文加えたがために女帝の信頼を損なう。女帝死後許され都に戻るが、女帝をめぐる死の謎を解く過程で奈良朝政争の歴史が語られる。
    言葉の力を信じる女帝。名は体を表す、文字は魂を宿す。
    罪に落とす前に道祖王=麻度比(惑う)、黄文王=久奈多夫禮(愚か)、和気清麻呂(別部穢麻呂)
    女帝は唐に憧れる(則天武后かも)元号が4文字、官職が唐風改称(言葉にこだわる)
    作品では母と愛を競った仲麻呂の権力の元は光明子の宮職(749紫微中台)の長官となり、兵を掌握し、詔勅を独力で実施できる、新羅征討も計画、新天皇(淳仁天皇=淡路廃帝)も私邸で囲うなど権力を集中していたが、光明皇后死

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    2018年12月13日
  • 虹、つどうべし 別所一族ご無念御留

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    ネタバレ

    再読。したとはいえない。長い間積読放置していたのは、三木城の「干し殺し」の描写が記憶に鮮明で、なかなか読む気になれなかったから。最初から読み始めて、「干し殺し」を決めた時点でもうそれ以上読めず、すっ飛ばしてラストだけ読んだ。それくらい悲愴な戦いです。

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    2018年09月29日
  • 天涯の船(上)

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    明治、大正を異国で生き抜いた女性の大河小説。
    川崎製鉄の創立時の川崎造船所や双日の源流の鈴木商店などが活躍する世界で桜賀(松方)と身代わりとして数奇な人生を送るミサオのラブストーリー。
    上巻はアメリカへ渡る船上、そして波瀾万丈なアメリカ生活と非常に面白かったのだが、下巻ではミサオの揺れ動く心の内の描写に終始する。そのためドラマチックな出来事かあまたあったのにもかかわらず、さらっと流していて残念だった。ここら辺を描いていたら、さながら日本版「風と共に去りぬ」になっていたのではないかな。

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    2017年12月20日
  • 天涯の船(下)

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    激動の人生を綴った前編から、後編はメロドラマっぽい感じになりました。
    「縁」というよりは、ご都合主義的な感じを受ける場面が多々あった。
    そもそも、前編で光次郎さんが男気を発揮していたら、このすれ違い状態にならなかったんじゃないかと思うとすっきりしない。
    光次郎さんは、それができる立場だった筈なので、余計にそう思う。
    お互いに精神的には長年パートナーを裏切っていたわけで、個人的には奥様の矩子さんが気の毒だなと思ってしまうので、良かったねーと素直に思えない。
    以前読んだ『クォーター・ムーン』もすっきりしない後味で、この作者さんとは感性が合わないのかなあ……。

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    2016年02月11日