玉岡かおるのレビュー一覧

  • 負けんとき(下)―ヴォーリズ満喜子の種まく日々―

    Posted by ブクログ

    単なる有名な米国人建築家と、華族のお嬢様の国際結婚のお話と思うなかれ。長年日本に暮らし、日本や日本人の精神を熟知したアメリカ人として、終戦後、マッカーサー副官のバーレット少佐に、「天皇陛下は国民の象徴である」と進言したのが、メレル・ヴォーリズその人である。その後、日本は天皇陛下を現人神ではなく象徴として、奇跡の復興を遂げ、先進国へと躍進する。昔からよく使っていたメンソレータムや出身校のカレッジソングにメレル・ヴォーリズが関わっていたと知り、とても身近な人物に感じたが、小説後半でこのヴォーリズ・ファイルと呼ばれる会談のことを知り、日本に多大な貢献をした人物だと驚きと感銘を受けた。
    メレルのパート

    0
    2016年01月09日
  • 銀のみち一条(下)

    Posted by ブクログ

    明治そして大正時代初期が時代設定になっているとはいえ、世間の無責任な言動や噂話、絶えることのない好奇心は現代においてもまた同じことか。登場人物である三人の女性たちに降りかかる無情ともいえる試練・不幸。こうした難局の中で、彼女たちはそれぞれ、どうのような「一条のみち」を見い出し、進んでいくのか。生野銀山の痕跡に足を運んでみたくなった。

    0
    2015年05月10日
  • 銀のみち一条(上)

    Posted by ブクログ

    日本史の教科書にもたびたび登場する生野銀山。その開坑は、807年と伝えられる、兵庫県は姫路の北の山間部に位置する場所。この生野銀山を舞台として、炭坑夫として働くことになった雷太、彼を取り巻く3人の女性たちのと悲しく切ない人生模様が綴られていく。

    0
    2015年05月07日
  • 天涯の船(下)

    Posted by ブクログ

    今のように渡航が一般市民には到底考えられなかった時代。これは、まさに大海を挟んだ大恋愛小説。そのスケール感も壮大。

    0
    2015年03月22日
  • 天涯の船(上)

    Posted by ブクログ

    アンティーク・ジュエリーのペンダント・トップを手にし、その持ち主を探すことから、物語は展開していく。
    明治時代、士族・豪商の子女たちが欧米留学をし始めた頃、下働きの少女が、旧大名家の姫君とすり替わって留学することになる。すり替わった、その姫君の名はミサオ。アメリカ留学、そしてオーストリアの子爵家に嫁いでいくミサオ、そしてその夫との死別までの流転の人生が、描かれているのが前篇。
    歴史に名を残す実在の人物も登場し、主人公ミサオとのストーリーが展開していく、あくまでもフィクション。
    その後のミサオの人生は如何に、後篇へと続く。

    0
    2015年03月17日
  • お家さん(下)

    Posted by ブクログ

    世界各国との貿易を拡大し、その拠点も各国に拡げる鈴木商店。世界経済・戦争・焼き討ち・大震災などに翻弄され続ける鈴木商店とそれを取り巻く人びとが描かれている。神戸製鋼・帝人・日商岩井(現双日)などにも、鈴木商店の経営哲学・理念が脈々と受け継がれている。

    0
    2014年12月21日
  • お家さん(上)

    Posted by ブクログ

    神戸という土地にて樟脳を扱う商店として創業した鈴木商店。数々の災難や家族・身内の不幸に見舞われながらも、女主人のみね、そして両腕となる番頭たちとともに、鈴木商店を日本を代表する商社へと育て上げていく鈴木みねの半生が描かれている。女将さんでもなく、御寮人さんでもなく、お家さんと呼ばれる所以は何故か?

    1
    2014年12月15日
  • 天涯の船(上)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ロマンチックな大河。
    時代と運命の流れに、唇を噛みながら、歯を食いしばり、大人になっていく少女の物語。

    0
    2014年12月12日
  • 負けんとき(下)―ヴォーリズ満喜子の種まく日々―

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    再読。上巻で迷いに迷っていた満喜子がついに動き出す。それは様々なものとの戦いの連続。上巻では自分自身の内部と戦う苦しさで胸をつかまれたが、下巻では周囲との戦いで、苦しさも感じられるが同時に、感謝や憧れがこみ上げてくる。裾野の教育というゆるぎない途を前の世代から受け継ぎ、次の世代へ渡していく。その先に今の私たちの恵まれた環境があるのだとしみじみ。佑之進のくれた独楽のお菓子は泣けます。

    0
    2014年10月11日
  • 負けんとき(上)―ヴォーリズ満喜子の種まく日々―

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    再読。最初に読んだときはどんな展開になるのかストーリーを追いかけていったが、二度目のほうがよりいろんな女性の心情をじっくりと味わうことができた。心臓をじわじわとつかまれ続けるような苦しさが全編を通じて描かれる。女性を縛り付ける鎖のなんと重いことか。

    0
    2014年10月08日
  • 天涯の船(上)

    Posted by ブクログ

    ご都合主義の臭いがしようとも、この壮大でロマンチックな物語は萌えます。何もわからぬ少女から一つの物事をなしとげ一角の人物となる女性の波瀾万丈の一代記。エンターテイメントとしてお勧めの長編小説。

    0
    2014年05月21日
  • お家さん(下)

    Posted by ブクログ

    日本最強商社であった鈴木商店が倒産するまでの後半部。世代交代や危機管理についての教科書のような一冊。

    0
    2014年02月19日
  • お家さん(上)

    Posted by ブクログ

    一時期は三菱や三井物産を凌ぐ最強商社であった鈴木商店について物語形式でまとめられた一冊。女性のリーダーシップの取り方の参考書のような本。本書では全く触れられていないが、実は出光興産の創業者であった出光氏が就職を希望したが、たまたま数日間採用通知が遅れたために同氏が入社しなかった。

    1
    2014年02月19日
  • 天涯の船(下)

    Posted by ブクログ

    7年ぶりに読みました。
    やっぱり、面白くてページをめくる手がとまりません。前は前半の方が面白いかとおもったけど、今回は7年という月日を経たのもあって、下巻で、二人が年を重ねてからの恋愛がうらやましいとさえ思ってしまった。
    光次郎~、ナイスです。

    0
    2013年11月30日
  • 銀のみち一条(下)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ああ読み終わってしまったというのが、一番最初の感想。もう少し、この物語の中にいたかった。芳野最期を見たかった。「惻隠の情」を胸に、最期は何を想うのだろうか。自らに誇り高く生き切るのかなぁ。雷太みたいな男への憧れももちろんあるけれど、芳野みたいな生き方にも憧れてしまう。うーむ、やはり前世は女なのか、自分。

    0
    2013年04月27日
  • 銀のみち一条(上)

    Posted by ブクログ

    物語の中心にいる3人の女性、名士の娘の咲耶子、芸妓の芳野、そして、女中の志真のうち、かなり芳野に肩入れをして読んでいた。きっと、咲耶子が幸せになるのだろうな予測しつつも、何とかして芳野が幸せにならないかと心の中で地団駄していた。詩や小説や歌でもそうなのだけれど、僕は女性の登場人物に感情移入することがほとんどだ。何でだろう。命が輪廻しているだとしたらならば、前世は女性だったのかな(一応断っておくけれど、現世で女性になりたいと思ったことはただの一度もない)。

    0
    2013年04月27日
  • 天涯の船(上)

    Posted by ブクログ

     お勝さん……! 少女マンガでいうところの悪の親玉のようにヒロインを苛め抜くお勝さん。彼女があまりにも強烈で鮮やかな存在だからこそ、この話は面白いと思うのですよ。
     やはり、面白い話は敵すら素晴らしい。
     そしてお勝さんとヒロインの関係性が見事すぎる。

     これは面白い! 萌える!

    0
    2013年03月23日
  • 天涯の船(下)

    Posted by ブクログ

    面白かった~。夢中で読みました。ある女性の一代史。大正ロマン、時代を背負った船会社社長との運命の出会いと一生をかけた恋!面白すぎて、紹介分が実にありきたりになりましが、お勧めです~

    0
    2013年01月10日
  • 天涯の船(下)

    Posted by ブクログ

    日本とヨーロッパ、激動する時代の流れに翻弄されながらも強く生き抜くミサオと光次郎。
    下巻は、何度も別れ、何度も再会する二人の苦しくてせつない恋が描かれている。なんと数十年越し…。生涯の大半をその人を想いながら、遠く離れて暮らし、背負っているものの大きさに、なにもかも捨てて結ばれることのかなわない恋人たち。流星の下での二人のダンスのシーンは、とても美しかった。楽しいから一緒にいたい、ではなくて、相手が苦しい時に寄り添っていたい、二人には、「好き」という言葉より「相手を想う」という言葉が似合っている。
    恋だけでなく、その時代の背景を上手に絡めて描かれていておもしろかった。大河ドラマの名にふさわしい

    0
    2012年11月07日
  • お家さん(上)

    Posted by ブクログ

    伝説の総合商社、鈴木商店のオーナーのことを書いた小説『お家さん』を読む。登場人物の描写や時代背景が素晴らしかった。
    金子直吉が、本当に底辺から商売に熱中してのし上がっていく様を見て、ほんとはわき目もふらないくらい集中することが、大事なんだよな。鈴木商店の本道の小脳は扱わせてもらえないので、他の商材をコツコツ得意分野にして発言権を獲得しようとする、そのポジティブというか、そこしか逃げ道ないぜ的な追い込まれ方は、「生き残る」ってのはこういうことなんだなーとしみじみ思わされた。

    また、男尊女卑ぼ世相の中、お家さん・女性の経営者としての風格を味わくことができる点もこの小説の魅力といえよう。

    1
    2012年06月24日