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Posted by ブクログ
文庫本で上下巻だったのですが、先週末に途中でやめられなくなり一気に読んでしまい、寝不足に陥った本です。
主人公の鈴木よねは明治、大正、そして昭和初期の日本において世界を股にかけた貿易で、当時の日本で一番の年商をほこった鈴木商店のオーナーです。三井、三菱・・などの財閥の名前は有名ですが、それに勝るとも劣らないすごい”商社”が他にあったとは!まずそれが驚きで読み進めていきました。
神戸において夫が営んだ店を夫亡き後、未成年だった息子たちが成人するまでと優れた働きをする大番頭を中心に店を続けていく覚悟をした"よね"でした。
日清日露戦争で勝利して世界の列強に仲間入りをしようとする日本の躍進に合わせて店は大きくなっていき、個人商店から合名会社へとなり彼女の呼び名もおかみさんではなく大勢の使用人のいる「家」を構えた商家の女主人に与えられる「お家さん」となります。
よねは最初の結婚に失敗しているのですが、その頃兄と一緒に見てもらった占いで出た絵柄が船。神戸の港から出る船を掌中に収めるとの正気とは思えない予言が鈴木商店に嫁いだことで実現していくのです。
登場人物は店が大きくなるごとに増え、歴史上の人物も登場していく大河小説ですから、筋書きは波乱に富んでいます。
時々登場する関西弁のよねの独白がその時々の彼女の心情を生々しく伝えます。個人を超えた大きな店になり、とうに彼女の思惑を超えた取引に印を押すだけの役割になっても、彼女はこの「家」を守るお家さん。この家で起こる様々な出来事のひとつひとつに心を揺さぶられながらも、地道に慎ましくひたすら進んでゆくのです。
最初は凄腕の女主人、実業家を想像していたのですが、よねさんは多分どこにでもいる働きものできっぷの良く面倒見のよいおかみさん。それが、周りの人たちや時代に左右され、それこそ波乱万丈の一生を送ることになるのですから、その不思議な運命の綾を思わずにはいられませんでした。しかし、もしかすると彼女ほど振幅は大きくなくとも誰もが”波乱”を経験して一生を送っているのでしょう。
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