杉浦日向子のレビュー一覧

  • 百日紅(上)

    Posted by ブクログ

    久しぶりに読み返してみました。歳を取ったのか読後感が違ってきました。余韻が素敵な作品です。何かのご褒美に下巻を読もうかな。

    0
    2025年11月17日
  • 百日紅(下)

    Posted by ブクログ

    下巻まで読んで、どんな漫画なのかやっと理解できたかも。
    大変味わい深い作品。江戸の理不尽さや親切、愛憎をあっさり描いているのがよかった。
    現代人の方がジメジメしている。今の時代の価値観と比べるのも面白い。
    応為の火事好きの話や、色気のある絵を描くために女と遊ぶ話、家族の話など、応為の機微に触れられた下巻。
    江戸の風情が嫌味なくさらりと描いてあり、漫画らしく一コマが目に焼きつくということも多かった。説明ではなく絵で語る。
    火事を見にいくとか、死体を見たいとか、今だと確実に不謹慎だと言われることも、特別非難されることがなかった時代。そのぶん、理不尽もたくさんあっただろうけど、自由さを感じた。
    やっ

    0
    2025年11月16日
  • 百日紅(上)

    Posted by ブクログ

    べらぼうに映画HOKUSAIと、北斎付いている中で久しぶりに再読。やはり杉浦さんの漫画は風情があっていいな。

    0
    2025年10月12日
  • 二つ枕

    Posted by ブクログ


    『ふたつまくら』を読んで、日本って昔は驚くほど性におおらかな国だったんだなぁと感じた。
    今とは価値観が全く違うというか、同じ国とは思えないけれど、そこがまた面白い!

    物語では、吉原の遊女と客たちの日常が、切なさ、艶っぽさ、ユーモアを交えて描かれているとても粋な作品。

    来世を約束した男に待ちぼうけをくらう遊女、
    叔父に騙されてきた、初めての遊郭に戸惑う少年、
    将来を語りたがる遊女をうまくかわす男、
    棟梁をぶん殴って、やけくそで吉原にきた男、
    一晩で5人の客を相手に走り回る遊女……。

    遊女と客のやりとりから、遊女たちの暮らしや江戸の町や生活の様子、遊郭の建物の内部までが伝わってきて江戸の遊

    0
    2025年05月18日
  • ゑひもせす

    Posted by ブクログ

    江戸風俗でおなじみ、杉浦日向子の漫画はもはや純文学の域に達している。凡庸な時代劇を1時間観るよりも、この1冊を薦めたいくらい。マイベストは『もず』と『ヤクソク』。いずれも、時の流れと共に進んでゆく者と残される者を描いた傑作。

    0
    2025年04月23日
  • 百日紅(下)

    Posted by ブクログ

    漫画だけれど本棚に入れる。
    昔、読んだ気もするが、その頃は響かなかったのだろう、記憶がない。今読むと、これはもうぴたりと心にはまって、味わいもまた格別だった。

    お栄と北斎の小説は朝井まかてさんの『眩』 (くらら) で読んでいて、のちに宮崎あおいさんでドラマにもなった。そのお栄は、気の強い、凛としたイメージだった。ここにいるお栄さんはもう少したおやかで、自分の画風に悩んだり、ほのかに恋心を抱いたりもする。結婚していたこともあるらしいが、そのことは描かれておらず、それ以前の話のようだ。
    北斎とお栄の他に、歌川派の絵師なのに、なぜか北斎の家に居候している善次郎という男がいる。お栄からはへたくそ呼ば

    0
    2025年04月14日
  • 東のエデン

    Posted by ブクログ

    明治の若者が描かれている。
    身分が少し平らになり、異国が少し混ざり、未だに異世界も少し顔を出す。
    あの時代にも、若者がいて、日々を過ごしていて、ものを考えている。
    あの時代の、しかし案外かわらない青春の空気を味わえる漫画だった。

    0
    2025年02月19日
  • ゑひもせす

    Posted by ブクログ

    切ない町のお嬢様、過去持つ坊主、艶と侘しさの女、ちょっと笑える人のいい侍、情け無い若旦那、モテるのは真面目な男、狐に化かされたのは誰?、壮絶な生き様と母子の寝物語、幕末の一惨事の思い出、殺戮の忠臣蔵。

    読み終わって、振り返って、江戸をちょっと生きた気になる。壮絶も呑気も、侍も町人も、男も女も、大人も子どもも、当たり前だけど我々と同じように暮らしていた人が確かにいる事を感じる。

    今回もなるべく一日一話、絵をゆっくりみながら読んだ。いやー、杉浦日向子、恐るべし!楽しかったー!

    0
    2025年02月04日
  • 東のエデン

    Posted by ブクログ

    2025年4冊目『東のエデン』(杉浦日向子 著、1993年7月、筑摩書房)
    1984〜1986年にかけて発表された作品を集めた短編集。9つの短編は全て明治初期の横浜を舞台にしたものであり、文明開化による西洋化と旧態依然とした価値観の混淆の中を直向きに生きる人々の姿が見事に活写されている。
    駐在欧米人の目から見える日本の姿を描いた表題作の他、夢を追う青年4人の日々をみずみずしく描いた「閑中忙あり」シリーズなど、爽やかな風が吹き抜けるような傑作が揃う。

    〈フリードム、 リベルチ。 いいひびき だろう?〉

    0
    2025年01月22日
  • 合葬

    Posted by ブクログ

    杉浦日向子にはまっている。なぜここまで、出会わなかったのか。たぶん漫画だからだろうけど。自分も江戸という時代へのある種の憧れを持っているのに手に取る事がなかった。

    彰義隊を歴史の中での位置付けという視点ではなく、その中にいた若者自身の気持ちの揺れや、歴史に流されていく小さな命を軸に、描かれている。その分、客観的に物語を眺めるのではなく、その場に入り込んでしまうような臨場感。
    150年ほど前に確かにあった、青春と言われる時期をこのような形ですごした、若者たちのせつない物語。

    名作だった。

    0
    2025年01月12日
  • 百日紅(下)

    Posted by ブクログ

    江戸の町に雨が降る。
    雨の勢いや、漂う匂いや、音まで伝わってくる。
    その中、北斎やお栄が生きている。
    幽玄の世界との境界を時折越え、それらを絵に表す二人の天才は、世界をどのように捉えていたのだろう。少なくとも論理的に、知的に、とは真逆の、矛盾をそのまま捉えるような生き方だったのではないかと思う。

    漫画というものでしか表せないものもある、という当たり前の事を知らせてくれたすごい作品だった。

    0
    2024年12月30日
  • 百日紅(上)

    Posted by ブクログ

    漫画はあまり読まない。
    昔から好きな、北斎とお栄の漫画という事で、勧められて読んでみた。
    ジャンルも、技法も、表現も、対象も、あらゆる分野に渡っていた天才親子の日常が、江戸の雰囲気とともに伝わってくるすごい作品。
    面白すぎる。
    何で今まで、出会わなかったのだろう。
    杉浦日向子という天才にも、触れることができたことは嬉しい。下巻は、あえて少し間を開けてから読む。急ぐと勿体ない!

    1
    2024年12月26日
  • 二つ枕

    Posted by ブクログ

    121冊目『二つ枕』(杉浦日向子 著、1997年12月、筑摩書房)
    表題作4話の他、短編6作を併録。吉原を舞台にした性と情の物語が集う。
    どの作品も男女の心情の機微が詩的かつ的確に描かれており、そのあまりの巧さについ声が漏れてしまった。
    まるで見てきたかのようなリアリティのある廓内の描写も見事。圧倒的な漫画の才と、江戸文化に対する溢れる愛情、そして勉強/調査の量。どれをとっても一級品。「天才」、それしか彼女を評する言葉が見つからない。
    北方謙三による解説も収録。

    〈………… 聞かせ なんし。〉

    0
    2024年09月19日
  • 百日紅(上)

    Posted by ブクログ

    著者、初読み。それも漫画で。これも三宅香帆さんの本で紹介のあったものです。まず、絵が素晴らしいですね。浮世絵をベースにしてある、とありましたが、確かに絵だけでも読む価値あります。また、漫画だからこそ伝わるものもあるんだなぁ、と感心しました。ストーリーと、何気ないけど物哀しくもあり、しみじみ感、そして江戸下町の空気を感じさせる作品。北斎、お栄さん、善次郎、その他登場人物が、サッパリとした風でいて、さらりとあたたかいのも良い。

    0
    2024年08月12日
  • 百日紅(下)

    Posted by ブクログ

    とんでもない作品に出会ってしまった。
    杉浦日向子というお人は、時代が違えば浮世絵師になっておられたのだろうな。
    生き生きとしたお江戸は魅力的だし、明るい逞しさの中に見え隠れする妖しさが、怖いような愛しいような…

    0
    2024年01月30日
  • ゑひもせす

    Posted by ブクログ

    江戸の日常が私たちの日常と地続きになっていることを確認させてくれる 元カノの家に荷物を取りに来て最後の会話をする(別れ話は済んでいると思われる)「もず」、色々な角度の構図があり映画的。江戸弁は初め聞き慣れないが読み進めていくとリズム感がありどんどん入ってくるタイムワープ没入感がすごい「通信室梅」「ヤ・ク・ソ・ク」「日々悠々」。私が一番好きなのは平安か鎌倉時代の首実検を描いた「崖」と忠臣蔵のリアル殺戮っぷりがよくわかる「吉良供養」が絵もこなれてて描き込み美しく良くわかる

    0
    2020年02月06日
  • ニッポニア・ニッポン

    Posted by ブクログ

    今ブームである北斎の娘・お栄を描いた先駆的な漫画『百日紅』でお馴染みの杉浦日向子。
    江戸時代漫画のイメージが強いが、『東のエデン』など明治初期の若者の青春群像劇も描いていた。

    本作はページ数は少ないものの、江戸時代と明治初期の両方を楽しめる贅沢な一冊。

    因みに日本で最後の斬首刑者の高橋お伝の最期を描いた『陽炎法師』はガチでトラウマ。
    個人的に気に入っている作品は欧州へ留学へ行く若者の前夜を描いた『前夜』(←そのまんま)。

    杉浦日向子はガロ出身の作家だが、この頃活躍していた大友克洋や高野文子をはじめとする80年代ニューウェーブ漫画家は、何気ないワンシーンや会話や間を丁寧に描写する。

    0
    2018年01月24日
  • 合葬

    Posted by ブクログ

    著者を江戸の「師匠」と慕っている。2005年に鬼籍に入られた今となっては全てが遺作なのだが、師匠の漫画を読むのは久しぶりだ。上野戦争を若者の視点で描いた本作は、解説にもあるとおり類書に抜きんでているのだと思う。江戸っ子の落首「うえからは明治だなどと云ふけれど 治明(オサマルメイ)と下からは読む」は秀逸!

    0
    2017年08月31日
  • YASUJI東京

    Posted by ブクログ

    短命の浮世絵師・井上安治を主題としながら、現代の女子大生が彼氏であろう同級生と掛け合いをしてYASUJIの絵を紹介していく。師匠(と勝手に私が呼ばっている日向子さん)が井上安治に興味を抱いていることは他のエッセイ等から知れており、本書購入の動機にもなった。単行本未収録集も良かった。まんが日本昔ばなしのようだった。

    0
    2017年08月29日
  • 新装版 東京イワシ頭

    Posted by ブクログ

    三十代の師匠の体当たりルポ。最初はイワシの頭的なご利益を求めていたようだったのに、中盤以降はイワシの頭に群がる有象無象を眺めている師匠。そして最後にはストリップ劇場潜入という何が何やらという感じ。確かに観音様には違いないが……語り口調は江戸っ子の、それも男の伝法な言い回し。男性っぽい性格というのが「原宿占い村篇」で言い当てられていたな~。ポワール女史も良い感じだった。「ベッピン篇」の写真はホントにお笑いコンビの宣材写真だよ(笑)

    0
    2017年08月15日