杉浦日向子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
葛飾応為の絵が好きだったので、彼女の半生が知れるのかな?と思って購入。想像と違い、北斎やその弟子など、市井の人々の人生の一瞬を描いたお話だった。
説明らしい説明がなく、一人一人の行動原理や心情を想像に委ねるあっさりした展開が良かった。
ぐっちゃぐちゃに散らかった狭い部屋で量産される絵。北斎は人間的にもいい加減なところがあるのだが、絵に対しては視点が違うし、絵狂いであってもちゃんと人間がわかっている感じがした。なかなかかっこいいおじいさん。
応為が主役かと思っていたのだけど、そういうわけでもなく、上巻を読んだ時点では、彼女の絵に対する思いもよくわからないし、人間的な部分も理解できなかったというの -
Posted by ブクログ
杉浦日向子といえば江戸時代だが、これは徳川の時代が終わり西洋の文化が入り始めた文明開化の明治に生きる人々を描いた短編集。江戸っぽさを多分に残した明治の雰囲気が良い。
東のエデン
日本に駐在するアメリカ人が日本をディスりつつも親近感を抱き始めている複雑な心境を別れた恋人への手紙に認めている。
やまあり
ちょっとした怪異というか不思議譚
仙境
山の中で不気味な仙人に出会うこれも怪異譚
閑中忙あり
5話のシリーズで医学生、美術学生、元士族などの若い書生たちの日常を描いている
ぶどうのかおり
「閑中忙あり」の後日談のようで、美術学生が絵をやめて車夫として働いている