杉浦日向子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
杉浦さんらしい趣のある短編集です。本のタイトル、ゑひもせす、は、酔いもせず。思わず酔ってしまいそうな素敵な江戸の空気も、はるかな年月のかなた。それで、酔いもせず、なのでしょうか。
最初の話、袖もぎ様、は最後の寂しげなシーンに余韻を感じさせるとても良い話です。最後の、吉良供養、は、赤穂討ち入りを吉良家の側から見た話。これも美談の裏側の敗者と犠牲者に光を当てています。その間のたくさんの話も、それぞれに江戸の風情と趣を活き活きと、または、静かに感じさせて、胸が満たされるようです。
ただ、若い頃は気にならなかった小さな活字が歳をとると見づらい。こればっかりは、本の味わいとは別の意味で年月を感じて物寂しい思いでした(笑)。 -
Posted by ブクログ
何年ぶりかで読みましたが、やはり「良いものは良い」です。30数年前の大学生時代から勝手に愛してやまなかった杉浦日向子さんの代表作です。
杉浦さんの作品からは江戸時代への深い愛情がそのまま登場人物ひとりひとりへの愛情につながっているのが感じられて、読んでいて心打たれる暖かさを感じます。
百日紅を読むまで知らなかった北斎の娘のお栄さんのイメージは、この作品のイメージから形作られていて、たとえばそれが葛飾応為=お栄さんの代表作と言われる「吉原格子先之図」を見るときのイメージにも投影されます。そういう意味では、杉浦さんの作ったイメージが今の私が世界を見るイメージの一部を形作っているようで、でもそれは悪くことのように思えます。
何を言っているのか分かりにくいかもしれませんが、そのくらい良い作品だということです。