杉浦日向子のレビュー一覧

  • ニッポニア・ニッポン

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    146冊目『ニッポニア・ニッポン』(杉浦日向子 著、1991年7月、筑摩書房)
    1984年11月に刊行された短編集の文庫版。江戸ものの作品だけでなく、明治時代を題材にしたものや周防や遠江、会津などの地方を舞台にしたものまで、タイトル通り「ニッポン」を描いた作品が揃う。死を扱った話も多いが、どの作品も皆全て風通しがよく、読後感は爽やか。中でも「馬風先生」が活躍する3篇は、このシリーズだけで1冊の本にして欲しいほどに気に入った。おかつが本当に魅力的…。

    〈八十両の夢 とっくりと 見いした!〉

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    2024年12月05日
  • YASUJI東京

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    111冊目『YASUJI東京』(杉浦日向子 著、2000年3月、筑摩書房)
    東京の風景画を描いた明治時代の画家、井上安治。彼の絵に魅せられた女子大生が現代と明治の東京を行き来する、静かで奇妙な幻想漫画。表題作の他、短編6本を収録。
    収録作品はどれも低血圧な印象で、これまで読んできた杉浦作品とは異なる読後感。全体に「ガロ」的な雰囲気が漂っており、リリシズムという言葉がピッタリと当てはまる。
    奇しい気配を纏う、地味だが上品な短編集である。

    〈東京は 月の入るべき 山もなし ビルより出でて ビルにこそ入れ〉

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    2024年08月16日
  • 百日紅(下)

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    107冊目『百日紅(下)』(杉浦日向子 著、1996年12月、筑摩書房)
    浮世絵師たちの群像絵巻、ここに完結。86年3月〜88年1月に発表された15作を収録。
    夢と現の狭間を揺蕩うような幻想的な短編が並ぶ。同時に人々の生活感も見事に活写されており、本当に江戸の町を覗き見ているような気持ちになる。
    クライマックスのない漫画なので、描こうと思えばいくらでも描けたはず。もっと続きを読んでみたかった。

    〈いっちゃったよ〉

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    2024年08月09日
  • 百日紅(上)

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    106冊目『百日紅(上)』(杉浦日向子 著、1996年12月、筑摩書房)浮世絵師・葛飾北斎とその娘・お栄を中心に紡ぎ出される大江戸草子。83年11月〜86年1月に発表された15作を収録。
    恋物語、人情噺、怪奇譚、笑い話と、一話毎に作品のカラーがコロコロと変わる。それでいてどのジャンルの作品も一級品の面白さ。つくづく杉浦日向子の天才性には唸らされる。
    曲者爺の北斎、蓮っ葉なお栄、女たらしの居候・善次郎、快男児・歌川国直など、キャラクターの魅力も素晴らしい。

    〈ナアニ 立田川の 紅葉で ございます〉

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    2024年08月09日
  • とんでもねえ野郎

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    98冊目『とんでもねえ野郎』(杉浦日向子 著、1995年7月、筑摩書房)
    幕末期の蒟蒻島(中央区新川)を舞台に、グータラで遊び人な”とんでもねえ野郎”、桃園彦次郎が繰り広げるお江戸コメディ。
    上質な日本酒のようにスルスルと体の内に入ってくる、片意地の張らないお気楽なマンガ。しかし、リアリティのある時代考証と繊細な人情の機微の描かれ方は流石。名人・杉浦日向子の技が冴える、ユーモアとインテリジェンスに満ちた名作。杉浦日向子×久住昌之(『孤独のグルメ』他)の対談も収録。

    〈旦那様! 鰯雲が あんなに……〉

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    2024年07月23日
  • 百日紅(上)

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    (アニメ化映画を観て)


    杏ちゃんが好きなので観ようと目論んでいました。

    「原作のあるものは先に原作に目を通してから」が私の中のユルめルール。
    原作漫画上下巻と併せてエッセイを一冊読んでから鑑賞しました。
    もうコレが正解!
    アニメ化映画はダイジェスト版ですので、ガイドブックとして原作を読んでいた方がより楽しめます。

    しかし映画も捨てたものではなく。
    勢いも彩りも映画にはもちろん勝てませんし、オリジナルエピソードも見せ方も入っていたので、情景が胸に迫ります。
    それにしてもこの原作漫画、

    そこはかとない色気があるのですよ。
    首すじに生温い息づかいを感じるような。いやはや。

    現代で読んでる

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    2024年04月01日
  • ゑひもせす

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    本棚から抜いて再読?再再読したけれど、
    初めて読んだような、
    いや、読んだことがあるような、不思議な感覚。
    杉浦日向子の漫画、読み直してみようと思う。

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    2024年02月07日
  • 合葬

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    合葬 杉浦日向子 筑摩書房

    幕末の彰義隊を描いた歴史小説漫画
    ほぼドキュメントタッチでもあるかのように描くリアリティがすごい
    特に立ち居振る舞いなど
    細部の髪型や小道具で酔わせてくれる

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    2023年08月15日
  • 合葬

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    この時代に漫画ってあったかな?と思ってしまうほど当時の空気が感じられる。

    そして、内容に浸ってから読むあとがき「日曜日の日本」、これがたまらなく心が揺れる。

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    2023年05月23日
  • ニッポニア・ニッポン

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    たまに 本棚からとりだして
    手に取ってしまうと
    もう そのまま

    杉浦日向子ワールドに
    すっぽり入り込んでしまう

    杉浦さんの作品には 
    (談志さんの言葉をもらうと)
    いつも
    「江戸の風」がそよりと吹いている

    この作品ももちろん
    例外ではありません
    江戸末期、明治に差し掛かる頃の
    その時代の「風」に吹かれる
    ことができるのです

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    2023年01月24日
  • 江戸へおかえりなさいませ

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    一万円選書にはいってました。歴史物は読まないんだけどなぁ‥と、なんとなく後回しにしてましたが、なんてこった。最低限の居住空間に住む江戸の豊かな精神に魅了されました。なかでも「七五三の極意」は魅力的。せかせか生きる日常で息抜きに江戸の時間を感じるのは贅沢な体験です。

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    2022年11月14日
  • 百日紅(下)

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    上巻に夢枕獏の解説がありその中でタイトルの百日紅の由来があかされている。下巻には解説が無く、何故上巻に解説を掲載されたのか、意味を知った上で下巻を読むとなかなか深い。

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    2022年01月24日
  • 百日紅(上)

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    杉浦日向子は江戸風俗の著述家という認識しかなく、漫画家だったのかと、この本で知った。
    長屋の北斎の部屋の描写が妙に細かく、流石江戸風俗研究家だなと関心。また北斎を中心とした当時の絵師や版元、戯作者が沢山登場してて面白い。

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    2022年01月24日
  • 百日紅(下)

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    不可思議な出来事も、ときに起こり得るものとしてとらえていたのは、文明開化によって不可思議な出来事がだんだんと消えていった明治時代以前、江戸時代までのことだったのだろう。この本には、そんな江戸時代の雰囲気が充溢している。

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    2021年05月17日
  • 百日紅(上)

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    最初のページから一挙に江戸時代へとタイムスリップしたかのように思えるのは、まさしく漫画という媒体の持つ大いなる力であろう。葛飾北斎のことなど、その名前と有名な作品くらいしか知らなかったのだが、おかげで北斎の人となりや、日常の暮らしぶりがひどく身近なものとして感じられるようになった。

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    2021年05月15日
  • 百日紅(下)

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    ネタバレ

    【動機】上巻の続きを読むため

    この本を楽しむための知識を深く持ち合わせていないところが惜しいところ。上巻よりもこの巻の方が直接的に絵に関わる話は少ない。妖怪のようなものが関わるお話が多い印象。上下間ともにおもしろく読んだ。

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    2020年03月06日
  • 百日紅(上)

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    ネタバレ

    【きっかけ】おもしろかったという家族のすすめ

    時代背景に明るくなくても楽しめる。オープンな気風が現代からするとうらやましくも感じてしまう。北斎の絵に通じていればもっと楽しめるだろう。

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    2020年03月04日
  • 百日紅(上)

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    買ってみて知った、これもアニメになってるんだって(笑)。

    葛飾北斎とその娘お栄、居候で絵師見習いの善次郎(のちの渓斎英泉)の三人を中心とした江戸模様。

    周囲の人々とのユニークな関係を始め、せりふや所作の端々に溢れ出す江戸の野暮と粋、ひとコマいちシーンの迫力には圧倒され・・・・いやいやいや、独創の大傑作に対して語る言葉なし。以上。

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    2019年06月21日
  • 百日紅(上)

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    北斎の娘、栄の描き方が無頼かつ精神的に自立していて新しい。出版当時として斬新な視点だったのではないか。江戸人の粋なセンスを味わえ、繊細な感性か感じられる内容。

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    2019年06月16日
  • 百日紅(下)

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    単行本未収録の話が入っててお得。
     むかつく花魁の表情が良い。
     栄女といふかお栄ちゃんといふよりアゴ さんの、火事が出たのでそらヨっと駆けてく様が、なんか読む。

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    2018年10月27日