あらすじ
文化爛熟する文化文政期の江戸。葛飾北斎、娘のお栄、弟子の英泉らを主人公に、江戸の暮らし・風俗・浮世絵の世界を多彩な手法で描き出す代表作の完全版。【解説:夢枕獏】
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漫画はあまり読まない。
昔から好きな、北斎とお栄の漫画という事で、勧められて読んでみた。
ジャンルも、技法も、表現も、対象も、あらゆる分野に渡っていた天才親子の日常が、江戸の雰囲気とともに伝わってくるすごい作品。
面白すぎる。
何で今まで、出会わなかったのだろう。
杉浦日向子という天才にも、触れることができたことは嬉しい。下巻は、あえて少し間を開けてから読む。急ぐと勿体ない!
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著者、初読み。それも漫画で。これも三宅香帆さんの本で紹介のあったものです。まず、絵が素晴らしいですね。浮世絵をベースにしてある、とありましたが、確かに絵だけでも読む価値あります。また、漫画だからこそ伝わるものもあるんだなぁ、と感心しました。ストーリーと、何気ないけど物哀しくもあり、しみじみ感、そして江戸下町の空気を感じさせる作品。北斎、お栄さん、善次郎、その他登場人物が、サッパリとした風でいて、さらりとあたたかいのも良い。
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杉浦日向子が描くことで、北斎親子のキャラクターは輝き、北斎親子という実在の人物たちを描いたことで、杉浦日向子の世界も輝いている。う〜ん、win×winの関係。
善次郎の過去がちょっとだけ描かれる回とか、地獄絵の回とかが好きだな。
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浮世絵師、葛飾北斎と娘・お栄、居候の善次郎を通して江戸の人々の生活を描く。
江戸文化や人情がリアルに生き生きと描かれており、自然と自分を江戸の住人に引き込んでくれる。
時に大笑いさせてくれたり、ホロリとさせてくれたり、時代が違うだけで人は変わら無いのかな、と改めて思わされる。
「妖」や「怪」な話も多く印象に残っているのだが、これも今は科学で証明だなんだと色々言えるのだろうが、当時はそういう存在として受け入れるしか無い時代背景が色濃く描かれているものの一つではないかと思う。
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この本とは長い長い付き合いになりそうだ。
きっとこれから、何度も何度も捲る本だと読後強くそう思った。
杉浦さんの著作はエッセイも漫画も好んで読んでいたほうだけれど、この本には改めて驚かされた。
日々の生活や、ささいなことに散りばめられたしあわせや悲しみを淡々と掬いとったとても素晴らしい本だった。
竹を割ったような物言いのお栄ちゃんがとてもかっこいい!
登場人物それぞれに味があってすごく愛おしかった!大好き!あいしてる!
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漫画家・江戸風俗研究家であった杉浦日向子のコミックである。
葛飾北斎、その娘お栄、弟子の英泉らを中心に、江戸の世界を妖しく艶やかに鮮やかに描き出す。
杉浦日向子は、1958年、日本橋の呉服屋に生まれた。時代考証の確かさや浮世絵を下地にした画風が強みの漫画家である。『合葬』や『百物語』、本作などで注目を浴びつつも、35歳で漫画家としての活動に終止符を打ち、以後は江戸文化研究家やエッセイストとして活躍。46歳で癌のために逝去した。一時、荒俣宏と結婚していたことでも知られる。
惜しまれつつも漫画家として筆を折ったのには理由がある。若くして、免疫系の疾患に蝕まれ、漫画を描ききる体力がなくなったのだ。ただ、生前は、「隠居生活」と称して、暗い影は面に出さず、漫画家としての活動をやめた後に手がけた著作もユーモア漂うものであった。
本書は長い間、半積ん読本になっていたのだが、今回、縁があって全体を読み返し、唸らされた。
シンプルな線の妖艶さ、がらりとタッチを替えた墨絵風の絵の力強さ。
浮世の苦さを知りつつも、ときに楽しく、ときにじたばたと、己の生を生ききる市井の人々の描写の凄み。
ときに異界と交わり、夢かうつつか判然とせぬ世界に現れる妖かしや幽霊の気配。
浮世絵や都々逸が、さりげなく引かれ、作品に花を添えている。自害する前、武家のお嬢様が膝下を紐できゅっと縛る(裾が乱れて局部が露わにならないように)場面、ほおずき市の縁日の様子、芝居のせりふをもじったひと言、など、豊富な知識がありながら、それを見せびらかすのではなく、いささか素っ気なく織り込んでしまう。なぁに、気がつく人がいたら気がつけばいいんですよぅと言わんばかりの江戸の粋。
伝法で鉄火なお栄に作者の影がちらつく。
枕絵なども出てくるので、そういった意味でも「大人向き」ではあるが、それより何より、全体に漂う機微はあまり若い人向きではないかもしれない。
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絵師、葛飾北斎とその娘お栄。彼らを取り巻く人間模様を、江戸の粋な世界と織り交ぜながら展開される作品。
不思議な世界「江戸」と、そこに暮らす人々の心意気が感じられると同時に、絵師という人々の生き様が大変興味深い。
絵を描く人に限らず、何かを創作する人にはぜひ読んでいただきたい作品。
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葛飾応為の絵が好きだったので、彼女の半生が知れるのかな?と思って購入。想像と違い、北斎やその弟子など、市井の人々の人生の一瞬を描いたお話だった。
説明らしい説明がなく、一人一人の行動原理や心情を想像に委ねるあっさりした展開が良かった。
ぐっちゃぐちゃに散らかった狭い部屋で量産される絵。北斎は人間的にもいい加減なところがあるのだが、絵に対しては視点が違うし、絵狂いであってもちゃんと人間がわかっている感じがした。なかなかかっこいいおじいさん。
応為が主役かと思っていたのだけど、そういうわけでもなく、上巻を読んだ時点では、彼女の絵に対する思いもよくわからないし、人間的な部分も理解できなかったというのが正直なところ。私の漫画スキルはさほど高くないので、読み落としをしているのかもしれないが。女としても半端者だし、下巻にストーリー的な進展があるのか気になる。
あと、この時代の生き死にとか、今でいう人権的なものの配慮が薄いのが、逆に新鮮だった。今は社会から守られている部分が多いのだけど、この当時の人たちの逞しさや、強かさには励まされる思いがする。
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106冊目『百日紅(上)』(杉浦日向子 著、1996年12月、筑摩書房)浮世絵師・葛飾北斎とその娘・お栄を中心に紡ぎ出される大江戸草子。83年11月〜86年1月に発表された15作を収録。
恋物語、人情噺、怪奇譚、笑い話と、一話毎に作品のカラーがコロコロと変わる。それでいてどのジャンルの作品も一級品の面白さ。つくづく杉浦日向子の天才性には唸らされる。
曲者爺の北斎、蓮っ葉なお栄、女たらしの居候・善次郎、快男児・歌川国直など、キャラクターの魅力も素晴らしい。
〈ナアニ 立田川の 紅葉で ございます〉
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(アニメ化映画を観て)
杏ちゃんが好きなので観ようと目論んでいました。
「原作のあるものは先に原作に目を通してから」が私の中のユルめルール。
原作漫画上下巻と併せてエッセイを一冊読んでから鑑賞しました。
もうコレが正解!
アニメ化映画はダイジェスト版ですので、ガイドブックとして原作を読んでいた方がより楽しめます。
しかし映画も捨てたものではなく。
勢いも彩りも映画にはもちろん勝てませんし、オリジナルエピソードも見せ方も入っていたので、情景が胸に迫ります。
それにしてもこの原作漫画、
そこはかとない色気があるのですよ。
首すじに生温い息づかいを感じるような。いやはや。
現代で読んでる自分が、江戸で生きているのではないか?という錯覚を起こしてしまうような親和性があります。
いま居る此処の在りし日の姿が空気が、纏わりついてくるような。
私の中も外も、このニ、三日前後は江戸に染まっています。
(2015/05/13)
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杉浦日向子は江戸風俗の著述家という認識しかなく、漫画家だったのかと、この本で知った。
長屋の北斎の部屋の描写が妙に細かく、流石江戸風俗研究家だなと関心。また北斎を中心とした当時の絵師や版元、戯作者が沢山登場してて面白い。
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最初のページから一挙に江戸時代へとタイムスリップしたかのように思えるのは、まさしく漫画という媒体の持つ大いなる力であろう。葛飾北斎のことなど、その名前と有名な作品くらいしか知らなかったのだが、おかげで北斎の人となりや、日常の暮らしぶりがひどく身近なものとして感じられるようになった。
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【きっかけ】おもしろかったという家族のすすめ
時代背景に明るくなくても楽しめる。オープンな気風が現代からするとうらやましくも感じてしまう。北斎の絵に通じていればもっと楽しめるだろう。
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買ってみて知った、これもアニメになってるんだって(笑)。
葛飾北斎とその娘お栄、居候で絵師見習いの善次郎(のちの渓斎英泉)の三人を中心とした江戸模様。
周囲の人々とのユニークな関係を始め、せりふや所作の端々に溢れ出す江戸の野暮と粋、ひとコマいちシーンの迫力には圧倒され・・・・いやいやいや、独創の大傑作に対して語る言葉なし。以上。
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北斎の娘、栄の描き方が無頼かつ精神的に自立していて新しい。出版当時として斬新な視点だったのではないか。江戸人の粋なセンスを味わえ、繊細な感性か感じられる内容。
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「散れば咲き 散れば咲きして百日紅」
多分江戸のその辺へ行って、取材してきたんぢゃねえか程度の、歴史考証とかでなくて 当時の空気みたいなのが、全篇にむるむるしてゐる。
北斎先生やその娘お栄(パパからは一貫して「アゴ」と呼ばれる)の才能ぷりや為人が描かれるのの次に、国直の描写が良い。(彼と同郷の人なのに私はまだ龍を見たことが無い)
飯が美味しさう。
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東京新聞にて、ちょこっと触れられてて、まあ、ついに買ってしまいました。なるほどー、江戸イメージを改善したのか!と。
北明さんは、映画じゃちらっとでしたが、こんなにとんでもない…、そして北斎にもほれかけてしまいました。
国直も、思ったより面白い奴で、源ちゃんいい奴。
犬もかわいいし。
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北斎、お栄、英泉(善次郎)、国直ら浮世絵師たちが暮らす江戸で起きる幻想的な事件の数々。
映画「百日紅 Miss HOKUSAI」が良かったので杉浦日向子さんの原作漫画も買ってきた。
マンガというより浮世絵のような絵柄が面白い!
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原恵一監督のアニメ映画がたいへん素晴らしかったので、原作の上下巻もすぐに大人買いしてきた。ところが読むのにひどく時間がかかった。理由は、文庫版のため台詞の文字が非常に小さいから。普通の文字で2mmm弱、ルビに至っては0.9mm。画数が多い漢字も多く、メガネをかけても暗いところでは台詞が読めない。そのため読めるのは、明るい場所でメガネをかけた場合に限られる。文庫版の漫画は他にも持っているが、ここまで字が小さくて読みにくいものは無い。
しかし内容は面白い。杉浦日向子の作品を読むのは多分これが初めてだが、人気があるのも当然だと思う。絵はそれほど上手いと思わないが、絵の空白部分やコマとコマの間に深い余韻があり、ドラマに奥行きを出している。映画版では、葛飾北斎と、その娘お栄が明らかな主役になっていたが、原作ではその二人だけでなく、居候の善次郎をはじめ周りの人間の姿がより丹念に描かれていて、さながら大江戸グラフィティの様相を呈している。
特に好きなエピソードは、映画版でも印象的だった「鬼」、そして映画版では取り上げられなかった「再会」の2作。「再会」など、ストーリーだけ取り出せば、全く何と言うこともない話なのに、これほど感動的なのは一体どういうことなのだろう。まるで柳田国男の『遠野物語』の一編のようだ。
引き続き下巻を読み始めている。
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上下巻のコミックは、短いお話が何編も
江戸情緒や、江戸っ子の気っぷの良さ
なんとも言えない世界観
小説を読むのと同じくらい時間をかけて読みました
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昔、実業之日本社から出ていたコミックス2巻まで買って読んでいたが、
恐らく引っ越しの際、うっかり間違って処分。
最近、改めて読みたくなって、文庫上下巻を購入。
上巻は其の一「番町の生首」~其の十五「春浅し」=元の1巻+2巻の半分まで。
天才絵師・葛飾北斎と、後妻の娘で同じく浮世絵師となった、お栄、
及び、北斎の弟子たちや、その他、周辺の人々、すなわち江戸の庶民たちの物語。
みんな悩みながらも溌剌として、よく働き、笑い、食べる。
狭くて小汚い家で父娘と居候の三人が銘々絵筆を走らせ、せっせと仕事する様は、
むさ苦しいけどカッコイイ。
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周囲の知的な女性たちが、こぞってこの漫画を絶賛していたので読みました。
これは、大人の漫画で、大人のエロス満載ですね。作者も登場人物も江戸っ子気質で、野暮な説明は一切語ってくれないので、常にアンテナを張って読み解かないと、置いてきぼりをくらいます。実際私には理解できないエピソードもありました。
また、ガロの世界観、作風を思い出しました。
難解なストーリーもあり、心から楽しめた訳ではなかったけど、それでも次第に江戸の図太く生きる応為を始めとした女性たちに好感や愛着がわき、天才で偏屈な北斎の人物像にも説得力があり、この先も心に残る作品となりそう。
Posted by ブクログ
2015年アニメ映画化していたとは知らなかった。
ミス・北斎。 なるほど。。。
解説が夢枕 獏氏。
この頃は単なる引退とされていたのか。。。
訃報は衝撃だったろうな。。。
浮世絵といえば歌川が有名だけれど(個々についてももっと学んでいきたい。。。)
葛飾北斎とその娘の話。
娘も浮世絵師だったのか。。。
日常をたんたんと紡ぐストーリー。
江戸の暮らしぶりが自然と入ってきて、一粒で二度おいしい感じ。