杉浦日向子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
荒俣宏のかつての女房という紹介では失礼にあたる。江戸文化風俗の語り部。
1982年ガロ登場以来、時代考証にもとづく情念豊かな"江戸もの"を数多く著したが、研究に専念するため惜しまれつつ断筆。2005年没。タイトル『二つ枕』はガロに掲載された吉原の男女の話である。
浮世絵調の画風をとっており、それはもう見ているだけでほれぼれするものだが、われわれの知るいわゆる浮世絵にはない魂っ気ともいうものが宿っている。かつて東洲斎写楽がそれまでの浮世絵にない人情味あふれる画趣で人気をさらったのと同様、杉浦日向子の描く江戸は水戸黄門以上にナチュラルにエロティック、酔狂、微笑ましく、せつない。 -
Posted by ブクログ
周囲の知的な女性たちが、こぞってこの漫画を絶賛していたので読みました。
これは、大人の漫画で、大人のエロス満載ですね。作者も登場人物も江戸っ子気質で、野暮な説明は一切語ってくれないので、常にアンテナを張って読み解かないと、置いてきぼりをくらいます。実際私には理解できないエピソードもありました。
また、ガロの世界観、作風を思い出しました。
難解なストーリーもあり、心から楽しめた訳ではなかったけど、それでも次第に江戸の図太く生きる応為を始めとした女性たちに好感や愛着がわき、天才で偏屈な北斎の人物像にも説得力があり、この先も心に残る作品となりそう。