あらすじ
文明開化……西洋がはいり込んできた〈東のエデン〉ニッポン、その時代の空気とそこに生きた人々の息づかいを身近に感じさせてくれる、味わい深い作品集。外国人の眼に映じた日本を描いた表題作をはじめ、若き書生たちのユーモラスな日常と揺れ動く心を描いた「閑中忙あり」「ぶどうのかおり」、異界をさりげなく垣間見させてくれる「やまあり」「仙境」など全9話。【解説:赤瀬川原平】
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明治の若者が描かれている。
身分が少し平らになり、異国が少し混ざり、未だに異世界も少し顔を出す。
あの時代にも、若者がいて、日々を過ごしていて、ものを考えている。
あの時代の、しかし案外かわらない青春の空気を味わえる漫画だった。
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2025年4冊目『東のエデン』(杉浦日向子 著、1993年7月、筑摩書房)
1984〜1986年にかけて発表された作品を集めた短編集。9つの短編は全て明治初期の横浜を舞台にしたものであり、文明開化による西洋化と旧態依然とした価値観の混淆の中を直向きに生きる人々の姿が見事に活写されている。
駐在欧米人の目から見える日本の姿を描いた表題作の他、夢を追う青年4人の日々をみずみずしく描いた「閑中忙あり」シリーズなど、爽やかな風が吹き抜けるような傑作が揃う。
〈フリードム、 リベルチ。 いいひびき だろう?〉
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久しぶりに読んだ杉浦日名子の漫画。やはり唯一無二、独特の雰囲気は今も色あせない。
明治維新のころの若々しい、生まれたての「日本」で四人の若者が青春を謳歌する。世が世なら大名か旗本の当主であったはずの「トノサマ」本多をめぐる元らしゃめんの女中と許嫁の姫様との駆け引きも微笑ましい。トノサマは今ならディーン・フジオカのイメージデスねw
という「閑中忙あり」は実写化希望。
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文明開化期の横浜を舞台にした四人の書生のお話。
赤煉瓦倉庫の前を人力車が走って言ったり、山下埠頭に異人さんがたたずんで月を見たり、元町のハイカラな洋品店の様子・・・など、横浜の風景描写が効果的に使われている。
せつない。
誰もが持っている懐郷病や
移り変わる時間の縦糸におりこまれている人達のゆらゆらした危うさや、将来を思うときの眼のくらむようなまぶしさやこわさが
ゆったりしたコマの中から静かにあふれ出てくる。
中でも「金時計」が素晴らしい。
賢者の贈り物を超す「懐中時計」ものだ。
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収録されている「閑中忙あり」シリーズが楽しいです。明治初期の世の中を飄々と生きる書生たち。ぜひNHKあたりでドラマ化してもらいたいものです。らしゃめんの殿に対する想いがせつない。ヨーソロ ニッポン!
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ホームシックにかかった誰かが「ホーム・スイートホーム」を口ずさんでいる。----いや
振り返るとガイドが微笑んでいた。親切なガイドは僕の感傷に伴奏までつけてくれるのだ。
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杉浦日向子といえば江戸時代だが、これは徳川の時代が終わり西洋の文化が入り始めた文明開化の明治に生きる人々を描いた短編集。江戸っぽさを多分に残した明治の雰囲気が良い。
東のエデン
日本に駐在するアメリカ人が日本をディスりつつも親近感を抱き始めている複雑な心境を別れた恋人への手紙に認めている。
やまあり
ちょっとした怪異というか不思議譚
仙境
山の中で不気味な仙人に出会うこれも怪異譚
閑中忙あり
5話のシリーズで医学生、美術学生、元士族などの若い書生たちの日常を描いている
ぶどうのかおり
「閑中忙あり」の後日談のようで、美術学生が絵をやめて車夫として働いている
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『閑中忙あり』が好きである。黒砂糖入れたコーヒーが、安定の杉浦日向子ストロークで美味さうである。
なんか最初の、欧州の人が日本を紹介する話が、向ふのユーモアを交へた表現で、一応上から目線の観察者の視点で、描かれてゐる割に、アレな翻訳家の人が、いい感じで謎のフォローを入れてくれて、大変良いのである。
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ヨーソロ ニッポン。
宜候(ようそろ)
①舟人のかけ声。また、はやし声。
②操船で、取舵(とりかじ)・面舵(おもかじ)の必要はなく、直進に進めという場合の命令語。
-広辞苑・第四版-
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杉浦日向子作品初体験なのですが
この空気感、好きです。
どの作品も甲乙つけがたく愛着の湧く1冊。
赤瀬川原平さんの後書きの文章がとても的を射ています。
「私たちの科学はいまだタイムマシンを持たぬかわりに、日向子のマンガが読めてしあわせです。」
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初めの短編は百物語か何か妖怪とか不思議なものがテーマなのかな。
と思っていたんですが、「閑中忙あり」では明治初期の土臭いけど何処かこれからの期待に満ち溢れてるようなそんな青年達の話でした
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文明開化の時代を描いた短編集。
横浜の下宿を舞台にした、「閑中忙あり」のシリーズが良いです。
日本画に挫折し洋画に惹かれる画学生・妹尾、のらりくらりと生きる元下級武士の政治書生・井上、人体解剖に耐えられない医学生・野中、元オトノサマの外語書生・本多、そして元らしゃめんの女中・はつなど、個性豊かな面々の日常を描いています。
こちらもさらりと読みやすい作品。
転換期の日本の風情が感じられる漫画です。
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明治の初めの頃の若い男達の下宿場の話。若い男は4人。それぞれが異なるバックグラウンドを持つ。意味なんかないのだろう。そこに話があるだけ。
そういえば昔ヤオイという表現があったような。山なし,落ちなし,意味なし,というやつ。
ヤオイというわけではないが,何かカタルシスがあるわけでもなく,ふーんという感じ。そう感じるのは教養が足りないのか,センスがないのか。どうも自分を責めてしまう。
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タイトルに惹かれて。
明治の日本だろうか。
「ここらへんは昔の横浜と変わらない」とか、当時を生きていた人のいたって普通の日常生活。
解説者の方が『絵がうまいわけではないがそれが良い』というような事を書いていた気がするが
味のある、ほのぼのと、すんなり入ってくる感じ。
『グレーテルのかまど』のクリームパンの人だと気付く。
漫画だと、歴史もの、という感じがせず、当時の風俗が知れる、というか身近に知れて面白い。