平井正穂のレビュー一覧

  • ロミオとジューリエット

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    ジューリエットの一途さに、失われた青春を思い出してきゅんきゅんするのが正しい読み方だと思うのですが、どうでしょうか。

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    2009年10月07日
  • ロビンソン・クルーソー 上

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    上下巻
    「人生の不幸をしょっているのは社会の上層と仮想のものに限られている。中くらいの者はほとんど災難らしい災難はうけることはないし、上下の者たちのように、人生の浮沈にそうめったに苦しめられることもないのだ。」

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    2009年10月04日
  • ペスト

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    1665年のペストについて書かれたデフォーの本。

    デフォーといえば、ロビンソン・クローソーだが、コロナ体験をした今の我々にはこっちの方が名作に映るかもしれない。

    ペストが蔓延したロンドンのドキュメンタリーで、1660年生まれのデフォーは彼の叔父の日記や当時の記録をもとに書いたそうだ。

    驚くべきことに、私たちがコロナで体験したことと瓜二つのことが書かれている。

    例えば、「変な呪いが流行った」とかはアマビエを想起するし、「コロナに効く薬がある」とかはイベルメクチンの騒動を思い出すであろう。

    疾病者の隔離政策も我々に馴染みのある話だし、その効果に疑問が投げられかけているところも我々と同じで

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    2025年07月26日
  • ロミオとジューリエット

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    ストーリーは知ってても初読。言葉遊びや下ネタが多いことが意外。少々突拍子もない印象もあるが、これは古い話だと思うとそんなものかと流せる程度。

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    2025年07月10日
  • ロビンソン・クルーソー 上

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    ネタバレ

    ピューリタンについてのデフォーの思想がロビンソンの生き様に投影して描かれた本。

    無人島では日夜衣食住の整備に勤しんだり、ブラジルの農園の利益配分を細かに計算するところは、勤勉で利益追求を善とするピューリタンの主義が背景の一つとして垣間見られる。
    そうした類の描写は他多数。

    荒波に揉まれに揉まれまくった半生から、ロビンソンは神への厚い信仰心を培うことになる。神への感謝はロビンソンの中に高尚な慈悲心を生み出し、野蛮な土人を教化して従僕にしたり、無人島生活の途中で出会ったスペイン人やイギリス人を手厚く迎え入れて無人島を豊かにし、やがてロビンソンは「一国の王」に上り詰める。

    ロビンソンの逞しくて

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    2025年03月15日
  • ユートピア

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    正義を断行すれば、それは幸福になるのか。社会の理想形とは、個人の幸福とかけ離れているのだろう。人間は欲にまみれており、不合理な行動を取るが、それが人間の良さなのかもしれない。

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    2025年03月04日
  • ロビンソン・クルーソー 上

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    孤島での28年の生活を通じて、一人の人間が文明を再構築していく物語——。『ロビンソン・クルーソー』は、単なる冒険譚を超えて、近代的個人の誕生と文明の本質を問う寓話として読むことができます。

    主人公クルーソーは、難破によって文明から切り離された状態から、道具を作り、農耕を始め、住居を建て、そして時間を刻むことで、徐々に「文明」を再構築していきます。注目すべきは、彼が常に細部にこだわった記録をつけ続けることです。これは単なる日記ではなく、むしろ近代的な観察眼と合理的精神の表れとして読むことができます。

    物語の転換点となるのは、フライデーとの出会いです。彼との関係は、支配と教育という形を取りなが

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    2024年12月01日
  • ガリヴァー旅行記

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    ジョナサン・スウィフトの『ガリバー旅行記』は、一見すると奇想天外な冒険譚に過ぎない。しかし本書の真価は、啓蒙主義が称揚する「理性」の限界を、その内側から暴き出した点にある。本書は旅行記の形式を借りた哲学的寓話であり、同時に、近代的主体の解体の書でもある。
    著者は「異世界」との邂逅を通じて、人間理性の相対性を暴露していく。これは単なる風刺ではない。むしろ、フーコーが『狂気の歴史』で描き出した「理性による狂気の排除」の過程を、逆説的に照射する試みとして読むことができる。
    本書の批判的構造は、以下の三層において展開される:

    1.スケールの相対化による理性批判
    ・小人国における「巨人の理性」の無力

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    2024年11月19日
  • ペスト

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    思ってたよりずーっと読みやすかった!
    実際に体験したわけではない(大流行時は5歳)のに、取材してさも体験したかのように描けるのはすごいな。
    酒場・遊興所の閉鎖・往来禁止…今とまったく一緒。
    ただ行政はしっかりしてたようで、それは感心というか、うらやましいというか。

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    2022年07月10日
  • ユートピア

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    理想的な国として描かれる「ユートピア」は、「どこにもない国」という意味のギリシャ語を語源としているという皮肉。

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    2022年04月14日
  • ペスト

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    ”コロナ禍”で注目された本書。意外と読みづらいところが多く、思いのほか時間がかかってしまった。17世紀末のイギリスで実際にあったペストのパンデミックを描いたノンフィクション小説。著者は18世紀に活躍した「ロビンソン・クルーソー」で有名な小説家。本書で最も印象的なのはこの時代のヨーロッパでも”ロックダウンは無意味”と認識されていたこと。今から三百年前に無意味と断定された政策を現代でもやってしまったのは、まさに”歴史は繰り返す”という皮肉を感じた。 

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    2022年03月04日
  • ガリヴァー旅行記

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    特に、第三節のラピュタの話が面白いため再読。この章の後半には日本の江戸が出てくるのであるが丁度、江戸時代。踏み絵の話などがちょこっと出てくる。作者は無事にオランダ経由イギリスに帰るまでの冒険のお話。

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    2021年07月25日
  • ロミオとジューリエット

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    すでに人口に膾炙した作品なので、内容自体に驚くことはありませんでした。

    しかし本作が500年以上もまえに書かれたと思うと、そして500年以上が経っても読むに十分値する作品を書いたかと思うと、改めてシェイクスピアの才気に驚嘆させられます。

    そして昭和に書かれた訳者あとがきには、別の意味で驚かされました。とにかく訳者の自意識が作品の解釈や意義を述べる際にも強くあらわれ、ご本人の強い信念に基づく文体と内容が読んでいてつらかったです。

    ですので、作品の読後は良かったのですが、上記あとがきの読後は悪かったです。したがって、どこか気まずさを感じてしまったことによる作品評価です。

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    2021年05月17日
  • ガリヴァー旅行記

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    幼い頃から知っていたけど、きちんと読んだことがなかったので読んでみました。

    最初はファンタジーで読みやすいなと思っていましたが、読み進めるうちに政治や法律の話が出てきて…これはただのファンタジーではないぞと感じました。

    こんなにも軽やかに、でも辛辣に人間の世界を風刺できるものなのかと感心しました。終始読みやすかったので、なおさら印象的でした。

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    2020年11月01日
  • ロミオとジューリエット

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    著名ではあるが初めて読んだ。乳母や周りの人たちの猥雑な駄洒落が頻発するのと対照的にロミオとジュリエットの行動は純粋で盲目的である。何せジュリエットはまだ14歳である。現代では中学2年生にあたる。昔の結婚が早いと言っても親が相手を決めるに不自然ではない若さである。修道士ロレンスが両親の知らぬところで二人を結びつける手助けをするのもいかがなものか。しかも事が終わって、領主に問責された際、臆面もなく正当性を主張する。考えたら、随所に破天荒なストーリーではある。2020.10.30

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    2020年10月30日
  • ユートピア

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    ネタバレ

    本書内の「ユートピア」は、理想的な共産主義社会のように思えるが、本書の趣旨は、共産主義の礼賛ではなく、16世紀の絶対王政・宗教弾圧に対抗する社会を描くことにある。

    「共産主義社会では真面目に労働しなくなる人が増え生産性が落ちるのではないか」との批判が既に述べられていることが興味深い。

    なお、後にトマス・モアは、正に宗教問題によって処刑されることになる。

    ちなみに、「ユートピア」国には、「アモーロート」市や「アナイダ河」などFF14(漆黒のヴィランズ)が借用したと思われる言葉が使われている。

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    2020年04月18日
  • ガリヴァー旅行記

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    アニメPSYCHO-PASSで、槙島聖護の台詞に引用されていたので、興味を持ち、読んでみた。また、絵本のガリヴァー旅行記とどのように違うのかも気になり、この本を手に取ってみた。
    最初、とても分厚かったので、萎えたが、折角だから読んでみようと思い、挑戦した。文体がダラダラといちいち長い印象を受けたが、言いたいこと(皮肉など)ははっきりと述べるところが面白かった。また、ガリヴァー旅行記といえば、小人の国という印象だったが、それは第1篇だけで、その後に、小人の国とは反対の、巨人の国や、「『天空の城ラピュタ』は、ここから来ているのか」という発見があったラピュータや、PSYCHO-PASSで出てきたバル

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    2020年02月26日
  • ガリヴァー旅行記

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    スウィフトらしい皮肉たっぷりの作品。

    色んな冒険をしながら人の愚かさを伝えてくる。

    皮肉が好きな人におすすめ。

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    2019年09月16日
  • ガリヴァー旅行記

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    小さい頃に読んだ絵本だが、覚えているのは小人に縛られて解放された後に、嵐の中で難破しそうな船を助けて感謝されるというもの。大きくなったらガリバーみたいになりたいと思っていたが、原作を読むと結末は全く異なる。ガリバーは小人の国だけでなく、巨人の国、科学者(宇宙人?)の国、馬の国にも流れ着いていて、その国の王や神官、政治家のような人たちと交わす会話には、人間の国に対する鋭い批判や自己嫌悪に満ちている。別の国の彼らから見て、人間はなぜ戦争を起こし、飽食と飢餓、嫉妬、差別、詐欺、殺人、浮気、子殺しなどを行うのかという指摘に答えに窮するところは、単なる絵本の原作にとどまらない書と感じた。

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    2018年05月06日
  • ガリヴァー旅行記

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    ガリヴァー旅行記といえば、小人の国・巨人の国がまず思い浮かぶところだけれど、それは前半の約1/2に過ぎない。 ガリヴァーはさらに空飛ぶ島ラピュータや、馬が知性をもつフウイヌム国をも訪れる。
    人間というものは素晴らしい生き物である反面、愚かな部分も大いに持ち合わせていることが、フウイヌム国に行けば誰もが痛感させられるに違いない。スウィフトの人間世界への嫌悪感が、存分に描かれている。
    フウイヌム国渡航記は、この作品の神髄であるといってもいいと思う。

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    2016年10月20日