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子供のころ誰しも一度はあの大人国・小人国の物語に胸を躍らせたにちがいない。だが、おとなの目で原作を読むとき、そこにはおのずと別の世界が現出する。他をえぐり自らをえぐるスウィフト(一六六七―一七四五)の筆鋒は、ほとんど諷刺の枠をつき破り、ついには人間そのものに対する戦慄すべき呪詛へと行きつかずには止まない。
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Posted by ブクログ
一度全て読めば、誰もが驚くだろう。 幼少期の頃に読んだガリバー旅行記のファンタジーな雰囲気とは一転、物語後半に進むにつれて、人間世界への疑問、皮肉、風刺へと変わっていく。 理性的な馬の国で見たものは衝撃的で、フウイヌムがいかに賢明な生き物かが分かる。 人間社会は欲にまみれ、利己的で、暴力が絶えな...続きを読むい世界である。 しかし、人間に生まれた以上楽しむしかないよな。
小さい頃に絵本?か何かで軽く読んだことはあったが、原作を読んでみるとあの時感じた奇想天外ファンタジー感とは違ったテイストだった。 3章のラピュータは王立協会を皮肉っていると言われていたり、社会批判と受け取れれるシーンも多い。スウィフトが生きていたイングランドの現実を如実に描いた作品。
子供の頃に絵本で読んだことがあったが、 しっかり全編読んでみると本質は風刺文学だと言うことがわかった。 とくに第4章については、人間全体に対する批評がなされている。 とても面白かった。
小人の話と巨人の話は有名で、皆さん子供の頃に読んだかもですよね。その後があるなんて知らず、アニメPsycho-passの槙島聖護がバルニバービの医者の話をした所で、ガリヴァー旅行記本来のユーモアの香りを感じ、自分の好みに合うかも、と思い読んでみました。 実際バルニバービの医者の話を読みたくて読んだ人...続きを読むも少なからずいるのではないでしょうか? シニカルで皮肉の籠った物語で、現実の色んな場面で「ラピュータの数学者達は、自分が精通してないが故に政治に対して好き放題、熱心に文句を言ってたみたいだね」とか「リリパット国の、王子は体裁と自分の思想のどちらもを取って靴底の高さが違う靴を片足ずつ履いて、歩き方が不自然だったんだよ」とか、そういうことを考えるようになって、何となく他人に優しくなれた気がします。 あと、noteで政治家や転売虫を描写する時など、自身の怒りが文にこもってしまう事があるのですが、その時はところどころガリヴァー旅行記で随所に見られる表現をするようになってしまいました。悪辣とか醜悪とか、犀利とか敬虔とかやたらと使いたがるようになってしまった読者の方も多いのでは? 変なツボを押され、自分はこういうユーモアが好きなんだと気付かされました。笑 とても面白かったです
この旅の物語がこれほど怒りに満ちた物語だったとは。。 子どもの頃に誰もが読んだ小人の国、巨人の国の話は、それぞれ原作の第一篇と第二篇の抜粋に過ぎない。原作は、これでもかというくらい、風刺と皮肉のてんこ盛り。そして、第三編の空中に浮かぶ島国を経て、怒りの頂点は、馬が支配する国を描いた第四篇にやって来る...続きを読む。馬が、獣人 (=人の形をしたけだもの)を家畜同然に扱うという設定からして、奇異な気配を感じるが、さらにこの馬が極めて理性的であり、馬の国では統治らしい統治が不要であるということに至って、これはもう人間否定・人間嫌い以外の何ものでもないことが分かる。なぜ、政治が必要なのか、なぜ法律が必要なのか、なぜ戦争が起きるのか。こうした馬の質問に答えることで、人間の愚かさが浮かび上がり、その愚かさへの怒りに満ちてくる。第四篇を読むに至って、第三篇までは怒りの序章にすぎなかったことに気づく。 尚、ガリヴァーはこの旅行記の中で日本に立ち寄っていること、空中に浮かぶ島が「ラピュータ」という名であること、そして、獣人が「ヤフー」という呼ばれることは特記しておこう。
政治・社会、そして人間への鋭い風刺が冴え渡り、私達にスウィフトに対するある種の異常性と恐怖の念を抱かせるのが本著「ガリバー旅行記」です。 ガリバー旅行記といえば、児童書として有名ですが、その実態はそんな生易しいものではなく、人間の負の部分、すなわち傲慢、嫉妬、強欲、虚偽、その他あらゆる悪徳を鮮明に...続きを読む描き出し、最早ラディカルの域を超えて人間そのものを否定するに至るほどです。その背景には、スウィフトの生い立ちが大きく関係しているのは広く知られているところではないでしょうか(リリパットとブレフスキュや、ラピュータとバルニバービの関係が、スウィフトの時代の国際情勢の反映である点等)。 成人した今だからこそ客観的かつ冷静に理解することができましたが、あと数年読むのが早かったらどんな影響を与えられていたか分からないのが恐ろしいと感じると共に、古典的名著とされる所以を身をもって実感し、これからもずっと読み続けていくであろう一冊を発見する良い経験となりました。
ページ量が多くて、読もうか止めようか迷いましたが、読んで正解です。ものすごく楽しめました。 多種多様な登場人物たちですが、思わずこんな人いるいる!といいたくなるような身近な存在に感じられて、とても今から300年近く前に書かれた作品とは思えません。 屁理屈というのは、身に降りかからない限りに...続きを読むおいては、これほど聞くに楽しいものはありません。もう自分勝手な理屈のオンパレードです。作者の人間観察眼に感服です。 子供のころに読んだという人も、ぜひ大人になった今読んでみてはいかがでしょうか。きっとうなずくことしきりです。 『天空の城ラピュタ』にちょっとだけ出てくるラピュタ人の話もあります。 映画の世界とは全然違う種族でしたが…
ロビンソン・クルーソー。中流階級の三男。家出。航海。ギニア(アフリカ西海岸)で金持ちに。帰国。再度ギニアへ向かう途中、海賊につかまり、モロッコでムーア人(北西アフリカのイスラム教徒)の奴隷に。逃亡、海上でポルトガル船に助けてもらいブラジルへ。ブラジルで農園主に。奴隷を調達するためギニアに向かう途中、...続きを読む大嵐に会い、無人島に流れ着く▼自分の生活の明るい面をより強く見、暗い面はあまり見ない。なくて困っているものよりも、現に享有しているものを考える。こうした考え方がしみじみとした深い慰めを私に与えてくれた▼危険への恐れは、危険そのものよりも一万倍恐ろしい▼今日、私たちは明日憎むことになるものを大事にしている。明日避けることになるものを探し求めている。明日恐れることになるものを欲している。ダニエル・デフォーDefoe『ロビンソン・クルーソー』1719 〇フライデー。人食いの儀式の犠牲になるところをロビンソンに救出される。 ※1人でだれの助けも借りず自然の中で生きる。ルソーは「エミール」でロビンソン・クルーソーを自然教育を学ぶ推薦図書とした。 ※ものを手に入れる喜び。ものを作る喜び。工夫する喜び。近代合理主義。 ※ポストコロニアリズムによる批判。 感染者が出た家は完全に隔離された。その家からだれも出入りしないよう監視人(ウォッチマン)が置かれた。監視人は2人で、1人は昼、もう1人は夜を担当した。コーヒーハウスにはインチキ医者たちが徘徊し、インチキ薬の広告が数多く貼られた。ダニエル・デフォーDefoe『ペスト』1722 ※ペストは14世紀だけでなく、何度も発生している。 ++++++++ リリパット国。小人の国。身長20cm。”巨人”ガリヴァーは隣国との戦争で活躍。しかし宮殿の火災を小便で消して怒られる▼ブロブディンナグ。巨人の国。身長18m。"小人"ガリヴァーは巨人たちの見世物・ペットに▼空飛ぶ島ラピュータ。どのラピュータ人も右か左かに頭が傾いている。一方の眼は内側に向き、他方の眼は真っすぐに天に向いている。衣裳は太陽と月と星の意匠で飾られている。ラピュータ人は常に不安に襲われている。天体に異変が起きないか。太陽に地球が吸収されないか。彗星によって地球が破壊されないか。抽象的な思念に沈潜(ちんせん)しがちで、思索に入ると自らものを言うことも、他人の言っている言葉に耳を傾けることもできない。※王立学士院を諷刺▼バルニバービ。奇妙な実験▼グラブダブドリッブ。妖術使いの国。歴史の偉人の裏話▼ラグナグ。不死の国。死のうとしても許されない。老醜をさらす人々▼日本。首都エドで、皇帝に謁見。踏絵を免除してもらう。ナンガサクからオランダ人の船でアムステルダム経由で英にいったん帰る▼フウイヌム(馬)の国。理性と徳をもつ馬の国。凶悪で不快な下等生物ヤフー(人間)。ヤフー(人間)は家畜として飼われている。ヤフー(人間)は、狡く(ずるく)、意地が悪く、陰険で、復讐心に富んだ連中。臆病であるため傲慢で、卑屈で残酷。嘘をつき、ごまかし、騙し、二枚舌を使う悪癖。ヤフー(人間)は残酷で忌まわしい性質をもっているが、自らは理性の所有者だと称している。その理性は完全に腐敗堕落しきっていて、単なる獣性よりもさらに恐ろしい。p.348. 理性と徳をもつフウイヌム(馬)がすべての仲間を愛するのは自然に教わったからであり、理性の命令に従っているからp.432▼帰国したガリヴァーは、家族や友人が忌まわしき「ヤフー」にしか見えず、人間を嫌悪するようになり、馬と一緒に暮らす。ジョナサン・スウィフトSwift『ガリヴァー旅行記』1726 ※レミュエル・ガリヴァー。40代。船医(外科)。東インドへ向かう航海の途中、船が難破。 *スウィフトの先祖はイングランド人で、アイルランドに支配者側として移り住んだ。スウィフトはイングランドの残酷なアイルランド支配を見て、イングランドに憤る。イングランドの植民地主義を当たり前のものとして語るデフォーのロビンソンクルーソーを暗に否定する作品(ガリヴァー旅行記)を書く。
小人、巨人の国しか知らなかった。 風刺の物語の意味がわかった。 Yahooの語源も。 みずから体に悪いものをたくさん摂取して、健康を害してるか… 著者は本当に日本に来たことがあるのかな? 想像ですべてを書いたのだとしたら、天才か狂人。 300年前の物語とは思えない。映画化してほしいな。
自分の中の読んでない名作を読もうキャンペーン。きちんと読んだことがなかったので。馬の国の話が皮肉が利いてて良い。得てして海外の翻訳を読むときはきちんと時代背景を勉強しているともっと楽しく読めるのにといつも思う。
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