望月諒子のレビュー一覧
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ネタバレバブル期にイギリスのオークションで日本人に180億円で落札されたゴッホの『医師ガシェの肖像』・・・日本でのバブルが弾けると共に、この絵は銀行の担保物件となって誰の目に触れることもなく倉庫の中に眠っていた。
時を同じくして、デザイナーの荘介とスナックオーナーの茜は、それぞれが多額の借金の挙句、投資詐欺事件に巻き込まれ、さらに膨大な借金を背負う。追い込まれた二人は絵画強奪を持ちかけられ……息つく暇ない騙し合いの末、最後に笑うのは・・・!?
痛快な「コン・ゲーム」小説で、テンポのよい流れで、物語はどんどん進んで最後の最後で大どんでん返しがあり、読者をあっと言わせるのがミソ。
※「コン・ゲーム」と -
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シリーズものとは知らずに買ってしまいました。解説読んで知りました。最初から読んでみたかったですが、ひとつひとつ独立した作品みたいなので本作を読む上では特に影響なかったみたいです。
私が思う“貧困”は“お金がないこと”だと思ってました。そう思っていたのは、私がある程度普通に幸せな人間だからなんでしょう。もちろん普通の基準は人それぞれですが。少なくとも生活に困るような、生きていく上で困るようなことは現状ありません。欲を覚えることはあっても、貧しさを感じることはない。
でも他者からの愛情に満たされていない、それもまた“貧困”なんですね。
たとえお金がなくても、お金のかからない別のもので気持ちが満たさ -
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ネタバレ関東大震災と東京大空襲を生き延び、戦後の闇市から身を立てた高利貸しの老婆が殺害された。疑いは彼女と揉めていた孫に向くが……というお話。
本筋のミステリは非常に入り組んだ話で読み応えがあったが、肝になるある仕掛けや事件の真相は予想通りだった。
熱量は高いが作者の筆が走りすぎているように感じる部分もあり、話が分かりにくかったり、かと思えば同じことを数ページ以内に繰り返したりしている部分があったりとややムラがある。
勢いに乗ってガーッと書くタイプの人なのかな……?
(なお登場人物名に誤字があり、「実は別人の話してるっていう叙述トリック……?」と無駄に気が散ってしまったが別にそんなことはなかった。) -
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もともとフェルメールが好きなので
タイトルだけで 手に取りました。
ページを進めていくと、
フェルメールや、その時代を共にした画家たち、そしてその背景、
知らなかったフェルメールに関する事柄が、たくさん詰まっていて
資料?としての価値もありました。
内容は、
教会から盗まれた絵画を取り戻すため、
フェルメールの絵画を強奪する、、なぜに??
詐欺やマネーロンダリング、そして宗教、CIAなど、
次から次に、絡みあい... 人と人も騙しあい、
そのやり取りの巧妙なこと…。文章だけでもかなりの迫力。
絵画の世界を思い知らされた感があった。
次にフェルメールの絵画を見るときは、見方が変わる -
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単行本書き下ろしの意欲作。新潮の100冊で買ったのだったかな?
プロローグはいいとして、その後の本編で記者視点と犯人側視点が章分けも無く入れ替わるのは正直読みづらかった。ミステリー的に、最後にどんでん返しを用意したいなら、最初から最後まで記者側視点の方がよかったと思う
「貧困」についての「貧しいというのと貧困は違う。貧しいというのは金がないだけだ。しかし貧困というのはインフラがない土地のようなもの」(86頁)という表現は上手いと思った。
また、「求めるものは……自分が生きていくのに安全な環境」(446頁)という指摘も末男側からの意識としてよく分かる。
貧困について切り込んだ素晴らしい作品なだけ -
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貧困の連鎖と犯罪。
育児放棄にあい、それでも貧困の中から抜け出そうと必死にもがいたけれど抜け出せなかった男性の言葉にはっとさせられました。
「みんなこの空のどこかに書かれている人権とか正義にかしずいて、どこにあるのかわからないのにあると仮定しているものにかしずいて、生きていけばいい。でも空のどこかにあるのかもしれない正義や人権を、あると思わず生きていることもできるんですよ。そんなものがない世界が、同じ空の下にはあるんですよ。」
そして、そんな彼らの事件を追う記者の思い。
「安全な社会に住む人間には、事件は、誰かが逮捕されたときがピークなんだと美智子は思う。動機なんて、個々が適当に想像するの -
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ネタバレ高級老人ホーム資産家殺害事件を追う話。
フリーライター木部シリーズ2作目。
資産家高齢女性弥生さんが殺され、ヘルパーに遺産相続すると遺書があり、そのヘルパーの過去は、とどんどん深みにハマっていき真相が気になる。資産家の女性の関東大震災、東京空襲の描写が凄くて悲惨さに息を飲む。その状況下で私ならやっていけたとは思えやん、弥生さんの強さに惹かれると共に何故この人が殺されたのかと理不尽さを呪う。そして読み進めるにつれ深沢弁護士がどんどん好きになるのに訪れる心を乱されるラスト。もうええやん、何で、という思いがエピローグで綻ぶ。最初っから伏線が張られててそこが繋がるのかと舌を巻く。このシリーズ重いけどハ