望月諒子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
特に期待値はなかったけれど、思いがけずに楽しめた。とても面白かった。脳内に巣くった寄生者がヤドカリのように次々と宿主を変えながら生き長らえていくという物語。あの名作「パラサイトイブ」を彷彿とさせるようなストーリーだが、ここではその寄生者の意志が単独ではなく、複数の人格が累積している状態にあるというのが変化球だった。だからといって未来が見えたりする理屈や根拠は全くなく、およそ現実味のないファンタジーではあるものの、感染から徐々に異常に気付き始める過程はとてもスリリングで、舞台となる大学病院内での確執はリアル感があり、読み物としてはとてもよくできていると思った。
瞬間を写し出す遠近法は、長い時間軸 -
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ネタバレ俺は視聴者の脳に酒を流し込んでいるんだ。犯人は、吉沢未男か長谷川翼のどちらかだ。どちらかが芝居を打っている。そして逃げ損ねた方は死刑なんだよ
重くて暗くて、こういうのがノワールっていうらしい。社会派でサスペンス。翼が犯人だったらいいと願いつつも、荷が重すぎる。
社会から、死んでようやく人権が与えられる、というのが刺さる。逃れられない環境の中で、自分たちが社会の底にいることも、歪に育っていることも気づかず生きている人の方が多数派なのか。それともぬかるみの中で陸地を探している人の方が多数派なのか。
事件はフィクション感が強いけど、テーマとしているところはそこまでファンタジーものではないのが重たい -
Posted by ブクログ
ネタバレバブル期にイギリスのオークションで日本人に180億円で落札されたゴッホの『医師ガシェの肖像』・・・日本でのバブルが弾けると共に、この絵は銀行の担保物件となって誰の目に触れることもなく倉庫の中に眠っていた。
時を同じくして、デザイナーの荘介とスナックオーナーの茜は、それぞれが多額の借金の挙句、投資詐欺事件に巻き込まれ、さらに膨大な借金を背負う。追い込まれた二人は絵画強奪を持ちかけられ……息つく暇ない騙し合いの末、最後に笑うのは・・・!?
痛快な「コン・ゲーム」小説で、テンポのよい流れで、物語はどんどん進んで最後の最後で大どんでん返しがあり、読者をあっと言わせるのがミソ。
※「コン・ゲーム」と -
Posted by ブクログ
シリーズものとは知らずに買ってしまいました。解説読んで知りました。最初から読んでみたかったですが、ひとつひとつ独立した作品みたいなので本作を読む上では特に影響なかったみたいです。
私が思う“貧困”は“お金がないこと”だと思ってました。そう思っていたのは、私がある程度普通に幸せな人間だからなんでしょう。もちろん普通の基準は人それぞれですが。少なくとも生活に困るような、生きていく上で困るようなことは現状ありません。欲を覚えることはあっても、貧しさを感じることはない。
でも他者からの愛情に満たされていない、それもまた“貧困”なんですね。
たとえお金がなくても、お金のかからない別のもので気持ちが満たさ -
Posted by ブクログ
ネタバレ関東大震災と東京大空襲を生き延び、戦後の闇市から身を立てた高利貸しの老婆が殺害された。疑いは彼女と揉めていた孫に向くが……というお話。
本筋のミステリは非常に入り組んだ話で読み応えがあったが、肝になるある仕掛けや事件の真相は予想通りだった。
熱量は高いが作者の筆が走りすぎているように感じる部分もあり、話が分かりにくかったり、かと思えば同じことを数ページ以内に繰り返したりしている部分があったりとややムラがある。
勢いに乗ってガーッと書くタイプの人なのかな……?
(なお登場人物名に誤字があり、「実は別人の話してるっていう叙述トリック……?」と無駄に気が散ってしまったが別にそんなことはなかった。)