【感想・ネタバレ】腐葉土(木部美智子シリーズ)のレビュー

あらすじ

笹本弥生という資産家の老女が、高級老人ホームで殺害されているのが見つかった。いつもお金をせびっている孫の犯行なのか? そこに生き別れたもう一人の孫という男が名乗りでる。詐欺事件や弁護士の謎の事故死が、複雑に絡まりはじめ――。関東大震災、東京大空襲を生き延び、焦土の中、女ひとりでヤミ市でのし上がり、冷徹な金貸しとなった弥生の人生の結末とは。骨太ミステリーの傑作長編。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

始めからずっと面白かったが、途中から加速度的に増す感じ。散りばめられた事件やピースがパチリとはまってゆく。随所に出てくる関東大震災と空襲の話は今まで読んだ事のない程の描写だが、リアリティのある凄惨さだった。特に炎から逃れようと学校のプールに飛び込んだ人々が、足の着く前方へと人を蹴散らし踏みつける様は目に浮かぶよう。身近なところでそんな出会うか?と思う箇所もあるが、それをにも目を瞑れる一作

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2025年06月05日

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後半の読む手が止まらなかった。のめり込むようにして読んだ。登場するいろんな事件やらできごとが、どのように絡んでくるのか全然読めないままラストまでいった。大変おもしろかった。読み応えあり。笹本弥生視点の戦時中や震災のときの惨い状況の描写がリアルだった。

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2024年03月20日

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タイトルがすごい!

どうしてこんなタイトルをつけたか、
読み終わって、とても納得。

久々に、本格的なミステリーを堪能した。

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2023年07月03日

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先日、「蟻の棲み家」を読んだ後に望月諒子さんの本が家にあったはずだと本棚を見て探し出した一冊。
読んだはずなのに全く記憶になく、再読する。

木部美智子が登場するシリーズだった。

この作品は、高級老人ホームで資産家の笹本弥生が殺害されたことから始まった。
誰が殺したのか?が気になるところだが、それよりもこの老女が戦後をどうやって生き延びてきたのかを知ると凄味が増す。
さらに孫である健文が関わる大学生の考古学研究室での詐欺事件も自殺者が出るほど濃い顛末。
会田良夫の足跡の不確かなことを徹底的に調べ、さらにはさらには…と疑問に思うこと全てを木部美智子が、そして今回は東都新聞の亜川がいっしょに探っていく。

一気読みしたのだが、再読⁇と思ったのに違ったのか?
こんなに濃い強烈な内容だったのか…としばし呆然となった。

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2023年01月05日

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ネタバレ

面白かった!!!!

人の因果とそれに追随して起こる感情の多面性、人間の過去、
そして演技性人格障害の得体の知れなさを描くのがとても上手い。
これだけ人間の心情描写に長けている人はいないと思う。ミステリという点から見ても、そういった部分での違和感を作るのが上手い。

説明の為の描写が繰り返される点も見られたが、自分には丁度良かった。

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2020年12月17日

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どの作家であれ、文庫書き下ろしなるものはそこそこで、そこそこ以上はほぼないなぁと思っています。しかしこれは大当たり。どうしてこれがまずは単行本で刊行されなかったのだともったいなくなる。なんて、よほどのことがない限り、文庫化されてからしか本を買わない私が言うのもなんですが(^^;。

関東大震災と東京大空襲のなか、闇市で成り上がった女性が、高級老人ホームで殺害される。その老女と不仲を噂されていた孫が唯一の法定相続人であるはずが、ホーム職員の男性がもう一人の孫だと名乗り出る。

まるで著者が見たかのように綴られる震災と空襲当時の凄まじい光景。家族を失い、奉公先も失って、たった一人で生きなければならなかった女性の生涯。フリー記者、大手新聞社デスク、テレビ局ニュース制作班らの取材の進め方に引き込まれます。550頁超、複数の事件に多くの人物が絡んでいるから、とっとと読まないと頭の中で整理がつかなくなりそう(笑)。そこを丁寧に読みたい。誰かの生涯の一点と交差した人間としての誠意、それを見せてくれる記者たち。ラスト200頁はどうにも止まらなくて参りました。帯の「怒涛の急展開」に偽りなし。

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2018年04月11日

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作中の「親を汚い物を見るように見るんじゃないよ!」は「こんなに愛してほしいのに、どうして!」に思えて。

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2015年11月30日

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いやー 読みごたえありました
その満足度に星5ツです

まず弥生ばあさんの生きざまを知るための関東大震災と東京大空襲の描写がスゴイ。これだけの中を生きてきたんだから、これだけのばあさんになったと納得させらせる。
そしてミステリーとしても、いくつかの事件が上手く絡み合って、それでいて最後にはちゃんとまとまってる。
登場人物が多くて途中で「これ誰だっけ?」になったけど、そこはスルーしましょう。

もし映像化するなら、弥生ばあさんを演じられるのは 樹木希林さん ですよね

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2015年08月31日

Posted by ブクログ

読みごたえがある作品で、何だかんだで続けて2度読み。
かなり重たい内容で、凄まじい人生と、複雑な人間関係と、人の想いと。決して楽しい作品ではないが、2度読みたいと思わせられた内容だった。

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2014年03月24日

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かなり長編であるため読むのに時間がかかりました。しかし、その内容量以上の面白さがありました。単にミステリーだけとって見ても濃密なストーリーと事件の全貌に驚愕します。その描き方も魅力的です。木部と亜川の2人の仕事だけでは割り切れないほどの事件の全貌を知りたいという活力は素晴らしいです。
個人的にこの小説の最も良い点は笹本弥生の戦争による凄惨な体験をした描写の細さです。この経験を得ての彼女の生き方というものに考えさせられると同時に腐葉土というタイトルの奥深さが増します。

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2025年01月17日

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文体が難しくページも多いため、読みやすい本ではありません。
ただ、戦後の悲惨さやそれをのしあがる弥生の力強さ、登場人物の強い思いを感じることができました。
題名が全てを物語っていると思います。

「事件は、どんな事件でも、それを引き起こした人の人生の上でしか起こり得ない。」
「人間がいまの自分を肯定するために、もしくはいまの自分に言い訳するために自分の過去を反復する時、ずいぶんしっかりした過去を作り上げていきます。」
「僕らは僕らだけの正義にしがみついて空を飛んだ。」

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2025年01月15日

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ネタバレ

関東大震災と東京大空襲を生き延び、戦後の闇市から身を立てた高利貸しの老婆が殺害された。疑いは彼女と揉めていた孫に向くが……というお話。

本筋のミステリは非常に入り組んだ話で読み応えがあったが、肝になるある仕掛けや事件の真相は予想通りだった。
熱量は高いが作者の筆が走りすぎているように感じる部分もあり、話が分かりにくかったり、かと思えば同じことを数ページ以内に繰り返したりしている部分があったりとややムラがある。
勢いに乗ってガーッと書くタイプの人なのかな……?
(なお登場人物名に誤字があり、「実は別人の話してるっていう叙述トリック……?」と無駄に気が散ってしまったが別にそんなことはなかった。)

ただ、その熱量ある筆致によって描写された関東大震災や東京大空襲の回想シーンは凄まじく、読んで良かったと思えた。各登場人物の心理描写も立体的でよかった。特に悪事を働いたり残酷な仕打ちをしたりする人物の心理は、共感はできないが腑に落ちるところがある。
このことに関して、作者は主人公の木部美智子を通してこのように書いている。

「背景を調査し分析することと、理解し共感することは違う。(中略)子供を虐待する親の背景を分析してもいいが、共感し理解できるように文脈を巧みにし、誰にでも起こり得ると結論することは、自堕落なのだ。」

このような気概を持つ望月諒子は、信頼できる作家だと思う。
木部美智子シリーズは『蟻の棲み家』につづいて2冊目。このシリーズは骨太でけっこう好きな気がするので、ちょこちょこ読んでいきたい。

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2024年08月13日

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ネタバレ

高級老人ホーム資産家殺害事件を追う話。
フリーライター木部シリーズ2作目。
資産家高齢女性弥生さんが殺され、ヘルパーに遺産相続すると遺書があり、そのヘルパーの過去は、とどんどん深みにハマっていき真相が気になる。資産家の女性の関東大震災、東京空襲の描写が凄くて悲惨さに息を飲む。その状況下で私ならやっていけたとは思えやん、弥生さんの強さに惹かれると共に何故この人が殺されたのかと理不尽さを呪う。そして読み進めるにつれ深沢弁護士がどんどん好きになるのに訪れる心を乱されるラスト。もうええやん、何で、という思いがエピローグで綻ぶ。最初っから伏線が張られててそこが繋がるのかと舌を巻く。このシリーズ重いけどハマる。

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2024年03月10日

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只の謎解きミステリーではなく
人の人生を一緒に生きたような気がしてくる
軽くも、お洒落でもなく、重くて暗い
こういう物語、好きです。

天国も地獄も、あの世ではなく、この世にある。
本当にそう思います。

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2023年07月13日

Posted by ブクログ

戦争の悲惨な描写が身につまされました。
作中描かれる新聞記者と雑誌記者の視点の違いが、読んでいて『成程』と思いました。

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2023年06月15日

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資産家の老女が老人ホームで殺害されているのが見つかり、

いつもお金をせびりに来ていた孫が疑われるのだけれど、

葬儀の時に、もう一人の孫と名乗る人物が現れ、

詐欺事件や、弁護士の謎の事故死など複雑に絡み始め、

女一人でのし上がった老女の生い立ちなども盛り込まれ、

謎に満ちていて、衝撃の真実あり!で、たっぷり楽しめる物語でした。

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2023年04月17日

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資産家の老女、弥生が殺された。犯人は孫か?生き別れたもうひとりの孫か?というお話。
弥生は東京大空襲などを経験しつつ生き延び、闇市で品物を売って商売を始めたのをきっかけに資産家となる。
お金はあっても誰からも愛されない弥生のさみしさに涙し、しかし、闇市で女手ひとつでのし上がっていく商才には感心させられた。孫やもうひとりの孫、弁護士の人生なども細かく描写されており、長編ながらももっと読みたいと思わせるお話。

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2022年06月01日

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ネタバレ

フリーライター木部美智子シリーズ第4弾。

高級老人ホームで殺害された資産家老女・笹本弥生。弥生殺害事件を調査するフリーライター・木部美智子の目線で語られる弥生を巡る人間達。孫、ホームでの弥生の担当者、顧問弁護士、新聞社デスク・・・。そこに、大学を巡る詐欺事件、弁護士の謎の事故死などが複雑に絡まり合い、事件の行き着く先は予想もつかない。
現在の時間軸の間に挟み込まれる、弥生の過酷なまでの人生。関東大震災、東京大空襲を生き延びた壮絶な過去の記憶。焦土の中、ただ「生きる」ことだけを正義として冷徹にのし上がってきた弥生の生きざまには激しく心を揺さぶられる。
夫にも娘にも、孫にさえも愛されず、最後まで孤独にあった弥生の人生の結末のつけ方に胸が締め付けられる。

主人公木部美智子の淡々と、しかし一本筋の通ったライターとしての在り方は清々しさを覚えるし、彼女と協力して調査を進める記者・亜川もまた魅力的。

遠田潤子作品ほど湿度のあるドロドロ感はないものの同様の熱量をもち、太田愛作品ほどのエンタメ要素はないが同様の骨太さをもったミステリは、圧倒的な密度ゆえに、最後は考えることさえできないほど頭が疲労して、読み終わってひたすら放心。
全てを読み終わってみると、「腐葉土」というタイトルの深さが実感される。いや~凄い作品でした。

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2019年03月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった!!!
笹本弥生という老人が過ごして来た人生が壮絶で
生きるためにのし上がるたくましさ。
今と昔と交互に読み進めて行くけど弥生の人生に引き込まれた。
最終章は意外な結末に先が気になって、読むのが止まらなかったよ
あっちもこっちもそうだったのねって感じ。
久し振りにがっつりミステリー読んだって感じでした。

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2016年11月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ミステリーとしては、途中、寄り道部分が長いので、
ちょっと物足りない気がしましたが、
一方で途中の寄り道部分がとても読ませる内容で、
トータルとしては「面白かった」です。

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2014年05月18日

Posted by ブクログ

2014.02.08

時代を行き来するものが好きなんだと気付いた。
面白くて先へ先へと進みたいのだが、大変読みにくかった。私の理解力のなさか?
視点や話をしている人が急に変わる。
改訂して出したらよいのにな~と思ったり。

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2014年02月08日

Posted by ブクログ

関東大震災と東京大空襲を経験し、戦後の混乱を女手一つで成り上がったという殺された資産家の一生とその家族、関係者の行き方が描かれています。
人生とは?正義とは?人生の成功とは?考えさせられます。
ストーリーはとても面白かったのですが、個人的には少し文書が読みにくかったです。

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2025年04月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主題としたいところは共感できるし問題意識を持てるけど、読んでるとすごい疲れるし目が滑ってしまう……
動機とトリックは面白かった

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2024年09月10日

Posted by ブクログ

フリーライター・木部美智子シリーズ第二弾。関東大震災や空襲、戦後の混乱を一人で生きぬいた資産家の老女・笹本弥生が殺された。序盤はなかなか話が進まない。残り200ページぐらいからは、ページをめぐる手が止まらない。何となく真犯人の予想がついたが、実際は複雑だった。ある弁護士の死亡交通事故も、笹本弥生の雛人形も、全てが伏線だった。

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2023年12月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2023/08/21予約 
木部美智子シリーズ。関東大震災を生きた笹本弥生。
戦後一人残され、仕事先の呉服屋の残したものを闇市で売りさばき、やれることは何でもやって、資産を作り老後を高級ホームで過ごしていたが殺される。
資産管理を任せていた弁護士の深沢。と、13年前、深沢のかわりに司法試験の論文テストを受けてくれた宮田の関係。
熱心かつ良心的な弁護士の宮田は、何度も保証書を出し、裏切られ2億5000万にも達していた。
深沢が笹本弥生の預り金から融通して宮田に渡した直後、宮田は大金ごと事故、死亡する。
その宮田は、かつて弥生が働いていた呉服屋のご主人の孫だった。呉服屋から受けた恩義を忘れず、今世話になっている深沢の為に財産を譲ることは呉服屋の孫を間接的に助けることになる…
本の8割過ぎるまで、話があちこちに広がるため集中できず時間がかかった。その後はスムーズ。
弥生の戦後を生き抜く様が目に見えるようで、まさに地獄を見たら何でもできる、とつくづく感じた。

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2023年09月11日

Posted by ブクログ

関東大震災と戦時中を乗り越え、必死に生き抜いた様子がありありと伝わった。笹沼弥生の死からいくつもの事件が発覚し、伏線も多く、簡単に予想がつかない所に面白さがあった。警察よりも新聞記者と雑誌記者が執念で真相にたどり着く。ホントに有りそうな話だと思った。両者の棲み分けも垣間見れた作品。

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2023年07月21日

Posted by ブクログ

老人ホームで富裕な老女笹本弥生が殺される。祖母に寄生しながらも険悪の仲である孫健文が怪しい。祖母はヘルパー会田に全財産を遺すとした遺言があるかも知れない。2億の借金がある弁護士が2億の現金とともに事故死するという謎の事件。大学の考古学部での詐欺事件。様々な謎が繋がっていて・・・

かなり複雑なストーリーで人間関係もややこしい。しかし真相が分かると、なるほどと納得できる。万人にはオススメできない、ホヤの刺し身みたいなものか。

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2023年02月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

プロットや文体含め、全体的には読み易い部類に入る小説だとは思うのだが、特に序盤、内部世界を読者にスムーズに理解させるべき状況説明については、ちょっと文章力が拙いのでは、と感じた。
また、回想ブロックのハイライトであるはずの”弥生ののし上がり”に関しても、あまりにあっさりし過ぎというか、現実感が伴わない表層的な描写に留まっている印象で、戦後のどさくさに紛れ金貸しというグレーな生業を背景に強かな女が成り上がっていく過程で必ずあったであろう、いわば汚泥のような手触りと表現すべきか、そういったリアルな生き様が見えなかったのが残念。
中盤以降、雑誌と新聞とテレビという3つの媒体が共闘するくだり以降はテンポ良く、いよいよエンジンが掛かってきたか、といった趣きでぐいぐいと読み進めていくことができたが、終わってみるとやはり細部の詰めが甘いというか、ちょっと仕掛けを盛り込み過ぎて消化できないままにページが尽きた、という感じがある。
例えば、なぜ彼は最初に木の金庫を1人で開けた際に呉服屋の値札を捨てなかったのか? とか。

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2021年03月28日

Posted by ブクログ

あれこれ盛りだくさんの日常で、近頃読書スピードが落ちている。ま、それはそれでヨシなんだけどね〜。
どこかで読んだよね、この作家さん、と思ったら『フェルメールの憂鬱』だった。ほかにも読んでみたいと思ったということよね、記憶に残っているということは。
資産家女性が老人ホームで殺されたことから、あれやこれやが発覚。ま、発覚させるために死を選択したのだけれど。それにしても、そこまでするか。
過去に他人のおかげでここまでやってこられたのだ、という思いがあればそういう行動になる!?

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2019年06月19日

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