望月諒子のレビュー一覧

  • 野火の夜(新潮文庫)

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    望月諒子『野火の夜 木部美智子シリーズ』新潮社文庫。

    フリーライターの木部美智子が活躍するシリーズの第3弾。裏表紙の紹介文に『シリーズ最高傑作』という惹句があり、迷わず購入。気が付けばこのシリーズは前2作も読んでいた。

    世の中の腐敗構造を背景にした社会派ミステリー。『シリーズ最高傑作』という惹句に違わず、非常に面白かった。

    まさか現代で起きた事件が25年前に起きた事件につながり、さらには終戦間際の満州で起きた出来事とつながっていくとは思わなかった。

    第一次産業に頼るしか無い地方で、産業の衰退と共に新たな事業を創設し、一時は隆盛を極めたが、再び衰退し、結局は原発マネーに頼るしか無いという

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    2025年10月03日
  • 腐葉土(木部美智子シリーズ)

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    始めからずっと面白かったが、途中から加速度的に増す感じ。散りばめられた事件やピースがパチリとはまってゆく。随所に出てくる関東大震災と空襲の話は今まで読んだ事のない程の描写だが、リアリティのある凄惨さだった。特に炎から逃れようと学校のプールに飛び込んだ人々が、足の着く前方へと人を蹴散らし踏みつける様は目に浮かぶよう。身近なところでそんな出会うか?と思う箇所もあるが、それをにも目を瞑れる一作

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    2025年06月05日
  • 蟻の棲み家(新潮文庫)

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    1.登場人物
    木部美智子…フリーランスのライター。
    吉沢末男…貧困の中で妹を育てた。多額の借金を背負っている。
    長谷川翼…大学4年生。貧困ぼくめつNPOのメンバー。
    長谷川透…開業医。翼の父。
    野川愛里…風俗嬢。
    植村誠…食品工場の工場長。

    2.物語の始まり
    小学生の頃の吉沢末男は母親と妹との3人暮らし。家族団欒の生活は好きだったが、母親が女性という武器を使って生計を立てていることも知っていた。成長するにつれ、末男自身もまっとうではない方法で金を稼ぐようになっていった。

    3.世界観や価値観
    貧困に生まれた人間は、頑張れば頑張っただけむくわれるような生活を送ることは可能なのか。
    現在いわれて

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    2025年01月28日
  • 大絵画展(新潮文庫)

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    ネタバレ

    最初のオークション場面で血が騒ぎ、興奮して一気読み。話の切り替わりが多いのだが、どれも面白いし、繋がって解決した時の爽快感はたまらなかった。

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    2025年01月03日
  • 蟻の棲み家(新潮文庫)

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    初めて出会った作者。

    文体に重厚感あり、出だし読み進めるのに苦労したが、慣れると滑らかに頭に入ってくる。その文学的だが実は明快な描写は、読んでいて快感すら覚える。

    テーマも重い。でもエンターテインメント性も抜群。

    同じ登場人物ものが複数あるとの事なので、今後必読。

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    2024年12月22日
  • 蟻の棲み家(新潮文庫)

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    母からおすすめされた本。

    帯に「大どんでん返し」と書かれていたけど、そうかな?過剰な煽りな気がする。蛇足。

    「イヤミス」とも書いてあったけど、読み終わった後はどちらかといえば清々しい気持ちになった。
    全然後味悪くないよ。
    幸せになれ、末男。

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    2024年10月23日
  • 蟻の棲み家(新潮文庫)

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    「野火の夜」を読んで木部美智子シリーズを読破しようと思っていたが、ずいぶん間があいてしまった。貧困の連鎖という不都合な真実をこれでもかと見せつけて白日の下にさらす作風は超イヤミスと言ってよいだろう。「野火の夜」の感想で
    『ストーリも描かれていることも滅茶苦茶面白いのだが、故意に読み辛くしているかのような文章に少しイライラする。もっと濃いミステリにする必要はないが、読みやすさも考慮して書いてほしい。木部美智子の淡々とした雰囲気は嫌いではない。』
    と書いたがマンマ本作も同様。ただ、本作は犯人グループが捕まってからの後半の展開が極めて秀逸。半分ピカレスク小説っぽいラストもテーマに沿っていて納得感高い

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    2024年10月07日
  • 腐葉土(木部美智子シリーズ)

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    後半の読む手が止まらなかった。のめり込むようにして読んだ。登場するいろんな事件やらできごとが、どのように絡んでくるのか全然読めないままラストまでいった。大変おもしろかった。読み応えあり。笹本弥生視点の戦時中や震災のときの惨い状況の描写がリアルだった。

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    2024年03月20日
  • 神の手(木部美智子シリーズ)

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    ネタバレ

    ものすごいものを読んだと思った。オカルトか?と思うような節があるも、あの二人が手を組めばできると予想しつつ、来生恭子と幼児誘拐事件がどう絡むのか、はたまた絡まないのか、どう転ぶのか全然わからない小説だった。読み応えがあった。

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    2024年02月19日
  • 最後の記憶 〈新装版〉

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    ネタバレ

    飽きずに最後まで読めた!

    主人公の脳だけの話ではないんだけど、
    人ってやっぱり自分から見えてる面だけでは判断できないなあ、、と思った。

    多面性があるのが人間だけど、本質はあるから素直にお話をすることが大事なんだと思った。
    きっともっと早く素直にお話ができていたら寒椿の向こうに人を見ることもなかっただろうに。

    自分も人のことを一面だけ見て嫌な人とか意地悪な人とか思わずに素直に「悲しい言い方だけど本当に傷つけたくて言ってる?」とか聞けるようになりたい。

    色々プライドとか恥ずかしさとかあって聞きづらいと思うけど。

    それはそうと、みんなは楽しいからって活動しすぎて宿主を壊すのは寄生ズとしては

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    2024年01月04日
  • 大絵画展(新潮文庫)

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    母から借金を重ねる群馬の地主の長男。元銀座のクラブのトップホステス。今は東京の片隅でスナックを経営しているがホステス時代の借金に怯えて暮らす。2人がゴッホの医師ガシェの肖像の強奪計画に参加することになる。
    何重にも張られた仕掛けが最後まで続く。
    美術品の存在意義まで語られる。
    面白い。

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    2023年12月03日
  • 腐葉土(木部美智子シリーズ)

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    タイトルがすごい!

    どうしてこんなタイトルをつけたか、
    読み終わって、とても納得。

    久々に、本格的なミステリーを堪能した。

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    2023年07月03日
  • 腐葉土(木部美智子シリーズ)

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    先日、「蟻の棲み家」を読んだ後に望月諒子さんの本が家にあったはずだと本棚を見て探し出した一冊。
    読んだはずなのに全く記憶になく、再読する。

    木部美智子が登場するシリーズだった。

    この作品は、高級老人ホームで資産家の笹本弥生が殺害されたことから始まった。
    誰が殺したのか?が気になるところだが、それよりもこの老女が戦後をどうやって生き延びてきたのかを知ると凄味が増す。
    さらに孫である健文が関わる大学生の考古学研究室での詐欺事件も自殺者が出るほど濃い顛末。
    会田良夫の足跡の不確かなことを徹底的に調べ、さらにはさらには…と疑問に思うこと全てを木部美智子が、そして今回は東都新聞の亜川がいっしょに探っ

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    2023年01月05日
  • 腐葉土(木部美智子シリーズ)

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    ネタバレ

    面白かった!!!!

    人の因果とそれに追随して起こる感情の多面性、人間の過去、
    そして演技性人格障害の得体の知れなさを描くのがとても上手い。
    これだけ人間の心情描写に長けている人はいないと思う。ミステリという点から見ても、そういった部分での違和感を作るのが上手い。

    説明の為の描写が繰り返される点も見られたが、自分には丁度良かった。

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    2020年12月17日
  • 腐葉土(木部美智子シリーズ)

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    どの作家であれ、文庫書き下ろしなるものはそこそこで、そこそこ以上はほぼないなぁと思っています。しかしこれは大当たり。どうしてこれがまずは単行本で刊行されなかったのだともったいなくなる。なんて、よほどのことがない限り、文庫化されてからしか本を買わない私が言うのもなんですが(^^;。

    関東大震災と東京大空襲のなか、闇市で成り上がった女性が、高級老人ホームで殺害される。その老女と不仲を噂されていた孫が唯一の法定相続人であるはずが、ホーム職員の男性がもう一人の孫だと名乗り出る。

    まるで著者が見たかのように綴られる震災と空襲当時の凄まじい光景。家族を失い、奉公先も失って、たった一人で生きなければなら

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    2018年04月11日
  • 腐葉土(木部美智子シリーズ)

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    作中の「親を汚い物を見るように見るんじゃないよ!」は「こんなに愛してほしいのに、どうして!」に思えて。

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    2015年11月30日
  • 腐葉土(木部美智子シリーズ)

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    いやー 読みごたえありました
    その満足度に星5ツです

    まず弥生ばあさんの生きざまを知るための関東大震災と東京大空襲の描写がスゴイ。これだけの中を生きてきたんだから、これだけのばあさんになったと納得させらせる。
    そしてミステリーとしても、いくつかの事件が上手く絡み合って、それでいて最後にはちゃんとまとまってる。
    登場人物が多くて途中で「これ誰だっけ?」になったけど、そこはスルーしましょう。

    もし映像化するなら、弥生ばあさんを演じられるのは 樹木希林さん ですよね

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    2015年08月31日
  • 腐葉土(木部美智子シリーズ)

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    読みごたえがある作品で、何だかんだで続けて2度読み。
    かなり重たい内容で、凄まじい人生と、複雑な人間関係と、人の想いと。決して楽しい作品ではないが、2度読みたいと思わせられた内容だった。

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    2014年03月24日
  • 野火の夜(新潮文庫)

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    血塗られた大量の五千円札が街中で見つかる。
    その後、それを弁護士事務所に持ち込んだ男が殺害される。
    元を辿れば愛媛の真珠の養殖で栄えた村にたどり着く。
    原発、貧富、田舎、満州開拓団、友情、どれもをまといながら事件は複雑に絡み合う。

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    2025年10月05日
  • 蟻の棲み家(新潮文庫)

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    ネタバレ

    俺は視聴者の脳に酒を流し込んでいるんだ。犯人は、吉沢未男か長谷川翼のどちらかだ。どちらかが芝居を打っている。そして逃げ損ねた方は死刑なんだよ

    重くて暗くて、こういうのがノワールっていうらしい。社会派でサスペンス。翼が犯人だったらいいと願いつつも、荷が重すぎる。
    社会から、死んでようやく人権が与えられる、というのが刺さる。逃れられない環境の中で、自分たちが社会の底にいることも、歪に育っていることも気づかず生きている人の方が多数派なのか。それともぬかるみの中で陸地を探している人の方が多数派なのか。
    事件はフィクション感が強いけど、テーマとしているところはそこまでファンタジーものではないのが重たい

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    2025年06月28日