望月諒子のレビュー一覧

  • 踊る男

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    これは木部美智子シリーズの中で一番面白かった!
    踊る男の気味悪さ、淡々と真実に迫る木部美智子が凄かった。
    自分の中でこのシリーズはなんだか読みにくい文章に感じていたけど、こちらはすごく読みやすかった。
    秋月刑事と木部美智子の関係もつかず離れずでなんだか心地よい。

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    2026年09月13日
  • 蟻の棲み家(新潮文庫)

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    「みんなが当たり前のように歩いているあの日の当たる大地に辿り着きたい」

    世の中を知った。生きるのって難しい。

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    2026年03月20日
  • 踊る男

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    横柄な態度のうえ根拠のない慢心した自信過剰の男、その男の稚拙な恋愛感情。
    こんな奴が勤めていた会社にいたので、この小説の井守拓実に既視感があり、自己愛男の歪みが強く伝わってきた。
    面白かった。

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    2026年03月13日
  • 蟻の棲み家(新潮文庫)

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    文章がとても秀逸だった。
    だから少し難しく感じたが、食い入るように読んでいた。
    想像すると、現代でも起きている現象。
    みんな見ようとしていないだけ。
    生まれた環境を選べず、必死に生きている人がいる。
    最後の最後までどうなるかわからない展開。
    とてもおもしろい作品。

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    2026年01月22日
  • フェルメールの憂鬱(新潮文庫)

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    光と闇のミステリー
    『フェルメールの憂鬱』を読んで
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    美術史   ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
    事件の真相 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
    展開の妙味 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
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    1.はじめに
    名画をめぐる望月諒子さんの傑作ミステリーです。

    読み終えた今、美術館で見るフェルメールの輝きが、少し違った色に見えてきそうです。
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    2.「30点未満」という魔力
    物語の軸となるのは、フェルメールの真作が「30点に満たない(20数点である)」
    というあまりの希少性です。

    この圧倒的な少なさが、資産価値となり、そして、人間たちの欲望を狂わせます。

    作品が純粋な芸術としてではなく、マネーロンダリングや投資の道具として「別なる価値」で見出されたとき、名画は恐ろしい事件の火種へと変貌します。
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    3.レンブラントとの対比:動と静、戦と和
    本作では、同郷の巨匠レンブラントとの比較が興味深く語られます。

    * レンブラント: 宗教戦争の只中、激しい明暗で「動」の人間ドラマを数百点描いた情熱。
    * フェルメール: 戦後の平和な「静」の時代、レンズや鏡を使い「計算された光」を閉じ込めた緻密。

    多作で人間味溢れるレンブラントに対し、フェルメールの「完璧すぎる静寂」は、時にあざとさとして批判の対象になります。

    著書の魅力のひとつが、この対比が丁寧に描かれていることです。
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    4.なぜ「憂鬱」なのか?
    タイトルの「憂鬱」の正体は?

    物語が進むにつれ、計算し尽くしたはずの光の粒が、偽物に模倣され、フェルメールそしてその作品たちのアイデンティティが侵食されていく恐怖が浮かび上がります。

    もしも、本物の事件が起きたら、歴史の彼方から画家フェルメールの嘆きが聞こえてくることでしょう、、、。

    結びの短歌
    > 美術とは
    >  別なる価値で
    >   火種生み
    >    聞こゆる彼方
    >     あぁ憂鬱よ
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    5.終わりに
    「完璧な贋作は、本物ではないのか?」

    そんな問いを突きつけられます。

    静かな光の中に閉じ込められたフェルメールの「憂鬱」に触れたとき、わたしたちの美術鑑賞もきっと一変することでしょう。

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    2026年01月15日
  • 野火の夜(新潮文庫)

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    望月諒子『野火の夜 木部美智子シリーズ』新潮社文庫。

    フリーライターの木部美智子が活躍するシリーズの第3弾。裏表紙の紹介文に『シリーズ最高傑作』という惹句があり、迷わず購入。気が付けばこのシリーズは前2作も読んでいた。

    世の中の腐敗構造を背景にした社会派ミステリー。『シリーズ最高傑作』という惹句に違わず、非常に面白かった。

    まさか現代で起きた事件が25年前に起きた事件につながり、さらには終戦間際の満州で起きた出来事とつながっていくとは思わなかった。

    第一次産業に頼るしか無い地方で、産業の衰退と共に新たな事業を創設し、一時は隆盛を極めたが、再び衰退し、結局は原発マネーに頼るしか無いという負の連鎖。そんな盛衰と衰退の波に翻弄されながらも土地にしがみついて生きる人びと。借金漬けで首が回らなくなった者は死を選ぶか、一時の迷いで犯罪に手を染めるしか無いのだ。


    プロローグには、1996年8月7日、愛媛の宇和島で神崎小太郎は一家を襲い、大量の五千円札を奪って逃走する場面が俯瞰的な視点で描かれる。

    本編に入ると、2021年、関東近郊で血の付いた旧札の五千円札が大量に見付かるという不穏な事件が描かれる。その総額は二百万円にも上り、何者かが旧札に対応した自販機や両替機で五千円札を千円札に両替していたことが判明する。

    しかし、両替した人物の正体は直ぐに明らかになる。弁護士の桐野真一のもとを訪れた中古車販売店経営者の森本賢次は36歳になる息子が血の付いた五千円札を両替したことについて相談する。その五千円札は25年前に四国から九州に向かう船の中で森本が盗んだもので、元々は五千三百万円余りあったと言う。

    一方、フリーライターの木部美智子は興味を惹かれる事件も無く、燻っていた。そんな中、原発ムラを取材していた悪徳ジャーナリストの立石一馬の死亡したという知らせが入る。

    さっそく、立石の死の真相を調べる美智子だったが、上司から血の付いた五千円札について取材するよう指示される。美智子が取材を進めるうちに血の付いた五千円札を両替していたのは、森本賢次の息子の加津也であることを知り、その五千円札は賢次が25年前に四国から九州に向かう船の中で薄汚れた風体の若者から盗んだことを突き止める。そんな中、賢次がビルから転落死したとの連絡が入る。

    美智子が五千円札の出所を調べるうちに25年前に愛媛で起きた失火事件に行き当たり、さらにその事件とジャーナリストの立石の変死とがつながっていく。

    本体価格850円
    ★★★★★

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    2025年10月03日
  • 腐葉土(木部美智子シリーズ)

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    始めからずっと面白かったが、途中から加速度的に増す感じ。散りばめられた事件やピースがパチリとはまってゆく。随所に出てくる関東大震災と空襲の話は今まで読んだ事のない程の描写だが、リアリティのある凄惨さだった。特に炎から逃れようと学校のプールに飛び込んだ人々が、足の着く前方へと人を蹴散らし踏みつける様は目に浮かぶよう。身近なところでそんな出会うか?と思う箇所もあるが、それをにも目を瞑れる一作

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    2025年06月05日
  • 蟻の棲み家(新潮文庫)

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    1.登場人物
    木部美智子…フリーランスのライター。
    吉沢末男…貧困の中で妹を育てた。多額の借金を背負っている。
    長谷川翼…大学4年生。貧困ぼくめつNPOのメンバー。
    長谷川透…開業医。翼の父。
    野川愛里…風俗嬢。
    植村誠…食品工場の工場長。

    2.物語の始まり
    小学生の頃の吉沢末男は母親と妹との3人暮らし。家族団欒の生活は好きだったが、母親が女性という武器を使って生計を立てていることも知っていた。成長するにつれ、末男自身もまっとうではない方法で金を稼ぐようになっていった。

    3.世界観や価値観
    貧困に生まれた人間は、頑張れば頑張っただけむくわれるような生活を送ることは可能なのか。
    現在いわれている一人一人を大切にする社会、というのは、本当に実現されているのか。たとえどのような人間でも、社会は助けてくれるのか。
    できれば知らずに過ごしたい、見ないで済ませたい世界。

    4.物語のキーワードとテーマ
    格差社会と子育て。
    貧困の中で生まれた子どもを育てるシングルマザー。教育もスキルもない彼女たちは、どのように子どもたちを育てていくべきなのか。
    そこで育てられた子どもたちは、どのような生涯を歩んでいくことになるのか。

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    2025年01月28日
  • 大絵画展(新潮文庫)

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    ネタバレ

    最初のオークション場面で血が騒ぎ、興奮して一気読み。話の切り替わりが多いのだが、どれも面白いし、繋がって解決した時の爽快感はたまらなかった。

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    2025年01月03日
  • 蟻の棲み家(新潮文庫)

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    初めて出会った作者。

    文体に重厚感あり、出だし読み進めるのに苦労したが、慣れると滑らかに頭に入ってくる。その文学的だが実は明快な描写は、読んでいて快感すら覚える。

    テーマも重い。でもエンターテインメント性も抜群。

    同じ登場人物ものが複数あるとの事なので、今後必読。

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    2024年12月22日
  • 蟻の棲み家(新潮文庫)

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    母からおすすめされた本。

    帯に「大どんでん返し」と書かれていたけど、そうかな?過剰な煽りな気がする。蛇足。

    「イヤミス」とも書いてあったけど、読み終わった後はどちらかといえば清々しい気持ちになった。
    全然後味悪くないよ。
    幸せになれ、末男。

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    2024年10月23日
  • 蟻の棲み家(新潮文庫)

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    「野火の夜」を読んで木部美智子シリーズを読破しようと思っていたが、ずいぶん間があいてしまった。貧困の連鎖という不都合な真実をこれでもかと見せつけて白日の下にさらす作風は超イヤミスと言ってよいだろう。「野火の夜」の感想で
    『ストーリも描かれていることも滅茶苦茶面白いのだが、故意に読み辛くしているかのような文章に少しイライラする。もっと濃いミステリにする必要はないが、読みやすさも考慮して書いてほしい。木部美智子の淡々とした雰囲気は嫌いではない。』
    と書いたがマンマ本作も同様。ただ、本作は犯人グループが捕まってからの後半の展開が極めて秀逸。半分ピカレスク小説っぽいラストもテーマに沿っていて納得感高い。

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    2024年10月07日
  • 腐葉土(木部美智子シリーズ)

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    後半の読む手が止まらなかった。のめり込むようにして読んだ。登場するいろんな事件やらできごとが、どのように絡んでくるのか全然読めないままラストまでいった。大変おもしろかった。読み応えあり。笹本弥生視点の戦時中や震災のときの惨い状況の描写がリアルだった。

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    2024年03月20日
  • 神の手(木部美智子シリーズ)

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    ネタバレ

    ものすごいものを読んだと思った。オカルトか?と思うような節があるも、あの二人が手を組めばできると予想しつつ、来生恭子と幼児誘拐事件がどう絡むのか、はたまた絡まないのか、どう転ぶのか全然わからない小説だった。読み応えがあった。

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    2024年02月19日
  • 最後の記憶 〈新装版〉

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    ネタバレ

    飽きずに最後まで読めた!

    主人公の脳だけの話ではないんだけど、
    人ってやっぱり自分から見えてる面だけでは判断できないなあ、、と思った。

    多面性があるのが人間だけど、本質はあるから素直にお話をすることが大事なんだと思った。
    きっともっと早く素直にお話ができていたら寒椿の向こうに人を見ることもなかっただろうに。

    自分も人のことを一面だけ見て嫌な人とか意地悪な人とか思わずに素直に「悲しい言い方だけど本当に傷つけたくて言ってる?」とか聞けるようになりたい。

    色々プライドとか恥ずかしさとかあって聞きづらいと思うけど。

    それはそうと、みんなは楽しいからって活動しすぎて宿主を壊すのは寄生ズとしては失格すぎる。
    そのおかげで主人公はいろんなことに気づけたのかもしれないけど……最後に良いこともあったし。

    私も最後の記憶を選べる人生が送れると良いな。

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    2024年01月04日
  • 大絵画展(新潮文庫)

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    母から借金を重ねる群馬の地主の長男。元銀座のクラブのトップホステス。今は東京の片隅でスナックを経営しているがホステス時代の借金に怯えて暮らす。2人がゴッホの医師ガシェの肖像の強奪計画に参加することになる。
    何重にも張られた仕掛けが最後まで続く。
    美術品の存在意義まで語られる。
    面白い。

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    2023年12月03日
  • 腐葉土(木部美智子シリーズ)

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    タイトルがすごい!

    どうしてこんなタイトルをつけたか、
    読み終わって、とても納得。

    久々に、本格的なミステリーを堪能した。

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    2023年07月03日
  • 腐葉土(木部美智子シリーズ)

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    先日、「蟻の棲み家」を読んだ後に望月諒子さんの本が家にあったはずだと本棚を見て探し出した一冊。
    読んだはずなのに全く記憶になく、再読する。

    木部美智子が登場するシリーズだった。

    この作品は、高級老人ホームで資産家の笹本弥生が殺害されたことから始まった。
    誰が殺したのか?が気になるところだが、それよりもこの老女が戦後をどうやって生き延びてきたのかを知ると凄味が増す。
    さらに孫である健文が関わる大学生の考古学研究室での詐欺事件も自殺者が出るほど濃い顛末。
    会田良夫の足跡の不確かなことを徹底的に調べ、さらにはさらには…と疑問に思うこと全てを木部美智子が、そして今回は東都新聞の亜川がいっしょに探っていく。

    一気読みしたのだが、再読⁇と思ったのに違ったのか?
    こんなに濃い強烈な内容だったのか…としばし呆然となった。

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    2023年01月05日
  • 腐葉土(木部美智子シリーズ)

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    ネタバレ

    面白かった!!!!

    人の因果とそれに追随して起こる感情の多面性、人間の過去、
    そして演技性人格障害の得体の知れなさを描くのがとても上手い。
    これだけ人間の心情描写に長けている人はいないと思う。ミステリという点から見ても、そういった部分での違和感を作るのが上手い。

    説明の為の描写が繰り返される点も見られたが、自分には丁度良かった。

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    2020年12月17日
  • 腐葉土(木部美智子シリーズ)

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    どの作家であれ、文庫書き下ろしなるものはそこそこで、そこそこ以上はほぼないなぁと思っています。しかしこれは大当たり。どうしてこれがまずは単行本で刊行されなかったのだともったいなくなる。なんて、よほどのことがない限り、文庫化されてからしか本を買わない私が言うのもなんですが(^^;。

    関東大震災と東京大空襲のなか、闇市で成り上がった女性が、高級老人ホームで殺害される。その老女と不仲を噂されていた孫が唯一の法定相続人であるはずが、ホーム職員の男性がもう一人の孫だと名乗り出る。

    まるで著者が見たかのように綴られる震災と空襲当時の凄まじい光景。家族を失い、奉公先も失って、たった一人で生きなければならなかった女性の生涯。フリー記者、大手新聞社デスク、テレビ局ニュース制作班らの取材の進め方に引き込まれます。550頁超、複数の事件に多くの人物が絡んでいるから、とっとと読まないと頭の中で整理がつかなくなりそう(笑)。そこを丁寧に読みたい。誰かの生涯の一点と交差した人間としての誠意、それを見せてくれる記者たち。ラスト200頁はどうにも止まらなくて参りました。帯の「怒涛の急展開」に偽りなし。

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    2018年04月11日