あらすじ
未発見のフェルメール作品『ニンフと聖女』がスイスで見つかった。その直後ニューヨークのメトロポリタン美術館からフェルメールの代表作『少女』が強奪され、日本人に買い取られたという情報が流れる。2枚の絵をめぐり絡み合うさまざまな思惑と、周到に張り巡らされていく幾重もの罠。天才詐欺師、悪徳画商、宗教団体教祖――くせ者たちによる騙し合いに勝利して、最後に絵を手にするのは!?(解説・西上心太) ※新潮文庫に掲載の図版は電子版には収録しておりません。
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Posted by ブクログ
光と闇のミステリー
『フェルメールの憂鬱』を読んで
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美術史 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
事件の真相 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
展開の妙味 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
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1.はじめに
名画をめぐる望月諒子さんの傑作ミステリーです。
読み終えた今、美術館で見るフェルメールの輝きが、少し違った色に見えてきそうです。
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2.「30点未満」という魔力
物語の軸となるのは、フェルメールの真作が「30点に満たない(20数点である)」
というあまりの希少性です。
この圧倒的な少なさが、資産価値となり、そして、人間たちの欲望を狂わせます。
作品が純粋な芸術としてではなく、マネーロンダリングや投資の道具として「別なる価値」で見出されたとき、名画は恐ろしい事件の火種へと変貌します。
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3.レンブラントとの対比:動と静、戦と和
本作では、同郷の巨匠レンブラントとの比較が興味深く語られます。
* レンブラント: 宗教戦争の只中、激しい明暗で「動」の人間ドラマを数百点描いた情熱。
* フェルメール: 戦後の平和な「静」の時代、レンズや鏡を使い「計算された光」を閉じ込めた緻密。
多作で人間味溢れるレンブラントに対し、フェルメールの「完璧すぎる静寂」は、時にあざとさとして批判の対象になります。
著書の魅力のひとつが、この対比が丁寧に描かれていることです。
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4.なぜ「憂鬱」なのか?
タイトルの「憂鬱」の正体は?
物語が進むにつれ、計算し尽くしたはずの光の粒が、偽物に模倣され、フェルメールそしてその作品たちのアイデンティティが侵食されていく恐怖が浮かび上がります。
もしも、本物の事件が起きたら、歴史の彼方から画家フェルメールの嘆きが聞こえてくることでしょう、、、。
結びの短歌
> 美術とは
> 別なる価値で
> 火種生み
> 聞こゆる彼方
> あぁ憂鬱よ
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5.終わりに
「完璧な贋作は、本物ではないのか?」
そんな問いを突きつけられます。
静かな光の中に閉じ込められたフェルメールの「憂鬱」に触れたとき、わたしたちの美術鑑賞もきっと一変することでしょう。
Posted by ブクログ
もともとフェルメールが好きなので
タイトルだけで 手に取りました。
ページを進めていくと、
フェルメールや、その時代を共にした画家たち、そしてその背景、
知らなかったフェルメールに関する事柄が、たくさん詰まっていて
資料?としての価値もありました。
内容は、
教会から盗まれた絵画を取り戻すため、
フェルメールの絵画を強奪する、、なぜに??
詐欺やマネーロンダリング、そして宗教、CIAなど、
次から次に、絡みあい... 人と人も騙しあい、
そのやり取りの巧妙なこと…。文章だけでもかなりの迫力。
絵画の世界を思い知らされた感があった。
次にフェルメールの絵画を見るときは、見方が変わるかも。。。
中にはフェルメールの絵画がカラーページで4ページほどあり
(36点ほど)得した気持ちになりました♪
Posted by ブクログ
フェルメールに興味があって、読んでみた。
スイスに住む富豪のロシア人の屋根裏でフェルメールの新作が見つかったということと、ベルギーの田舎の教会からブリューゲルが盗まれたという話を軸に、怪しげな宗教や絵画取引の話が複雑に絡み合っていく話。
話を拡げに拡げた結果、登場人物が多く、舞台も語り手もいろいろ変わるので、ストーリーを追うのが難しかった。有名画家の作品が天文学的値段で取引されるということ、誰の作品か特定するのがすごく難しいということ、贋作が非常に多く見破るのも難しいということはわかった。
Posted by ブクログ
絵画の世界って怖い。
贋作か本物か、価値、価格、所有する名誉。
奪い合い、騙し合い、ちょっとややこしかったけど、美術界のあれこれ、おもしろかったです。
Posted by ブクログ
フェルメールの絵をめぐる詐欺師達の騙し合いの話。大絵画展シリーズやけど読んでなくても全然楽しめる。絵画の価値とか世界の混沌さに巻き込まれる。敵対関係とかわちゃわちゃしてしまって個人的には前作の方が好みだったかな。