望月諒子のレビュー一覧
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ぎっしりと詰まった文庫本466ページ。
病院で相次いで起こる不自然とも思える急死。
事件性に疑問を抱いた記者の木部美智子が、
鋭い観察力と行動力、幅広い同業者の情報網と
報道のノウハウを駆使して病院で起きた死の
違和感を追求し、真相にせまる物語。
記者特有の嗅覚で調べ上げる情報を武器に
警察とも駆け引きする美智子の肝が座った
記者魂に圧倒され、美智子という登場人物に
興味をそそられます。
『殺人者』の時と同様、関係者の下に何度も
足を運び、真っ向から質問をぶつける熱意と
危険な場所にも躊躇なく向かい相手と対峙する
様に記者としての揺るぎない信念が感じられて、
美智子の行動を通して事件の謎が明らかになる
につれ、同じ時間を駆け抜けてるような気持ちを
覚えました。
美智子がどの様にして物語の中の記者になって
行ったのか、その過程に興味がわく物語でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ小説という「怪物」に呑み込まれてしまった一人の女性と、その燃えたぎるような情熱と夢に魅せられてしまった二人の男性の話 だったと思います
この作品が木部美智子シリーズの第一作であると同時にデビュー作と知って納得
文章から火傷しそうなほどの「熱」が伝わってくる作品でした
「小説を書くとは心の中に怪物を一匹飼うこと。その存在により書き続け、そしてそれに喰い尽くされる。」
彼女は自らの怪物に喰い尽くされてしまったのかもしれない 次第に精神を病み 現実と妄想の境目がわからなくなっていく
深淵を覗いてみたい その結果 彼女は何を得て何を失ったのだろうか
たとえ「神の手」を持っていても情熱と夢だけでは小説家にはなれない 遅かれ早かれ彼女は自滅していただろう もしも何かを生み出す もしくは創り出すことが 心の中に怪物を飼うことなのだとしたら それを上手に飼いならすことこそが 「神の手」を持つ資格なのかもしれない
(やってみたかったという理由で 殺人の正当化はできないし 最後まで なぜ? という疑問が残る
なぜ 彼女は 見も知らぬ子どもを誘拐し 殺さなければならなかったのか? 怪物のせいだと? 神の手に唆されたとでも? 神はそんなにも残酷なのか?)
人は自己崩壊や狂気への憧れから逃れられない
それこそが「怪物」の正体かもしれない -
Posted by ブクログ
望月諒子のデビュー作品にして、後のライフワーク的キャラクターとなるフリーライター木部美智子シリーズの一作目。
失踪した作家志望の来生恭子が物語のキー。彼女を担当していた文芸編集者誌の編集長、彼女の書いた小説を自分が書いたとと語る謎の女性、その主治医。そして別な事件を追うフリーライターの木部美智子。
サスペンスホラーの様相を呈した感もありながらのミステリー。
複数の登場人物の視点から語られるストーリーは絡まりまくって、どこに向かっているのか見通しが立たず、中々ストーリーに入り辛いし、荒削りな感はある。
ただ著者の作品の特徴は一度ギヤが入るとそのままラストまでのスピードが落ちないところはこの作品でも味わえた。
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大どんでん返しという紹介があったが、そういう訳ではない。
紹介の仕方に問題あり。
何となく予測はつくけど果たして正解はなんなのか。という疑問がどんどん溢れてくる。
それをひとつひとつ解いていく丁寧な作品。
言い回しがくどい部分もあるが、情景が想像出来てそれも良い。
お洒落な言い回しをしたいが為にややこしい文章になっている点が多々あり。
ここまでの感想だと「なんで☆3?」となるかもしれないが、読み終わった時の達成感、そして次のページを早く読みたいと思わせる登場人物の人柄というか、キャラクターに惹かれた。
汚く浅ましい女が喚いている姿の想像がつく。
面白かった。 -
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ネタバレプロットや文体含め、全体的には読み易い部類に入る小説だとは思うのだが、特に序盤、内部世界を読者にスムーズに理解させるべき状況説明については、ちょっと文章力が拙いのでは、と感じた。
また、回想ブロックのハイライトであるはずの”弥生ののし上がり”に関しても、あまりにあっさりし過ぎというか、現実感が伴わない表層的な描写に留まっている印象で、戦後のどさくさに紛れ金貸しというグレーな生業を背景に強かな女が成り上がっていく過程で必ずあったであろう、いわば汚泥のような手触りと表現すべきか、そういったリアルな生き様が見えなかったのが残念。
中盤以降、雑誌と新聞とテレビという3つの媒体が共闘するくだり以降はテンポ良く、いよいよエンジンが掛かってきたか、といった趣きでぐいぐいと読み進めていくことができたが、終わってみるとやはり細部の詰めが甘いというか、ちょっと仕掛けを盛り込み過ぎて消化できないままにページが尽きた、という感じがある。
例えば、なぜ彼は最初に木の金庫を1人で開けた際に呉服屋の値札を捨てなかったのか? とか。 -
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北斎の版画をめぐる、頭脳戦。
だが、ちょっと合わなかった…
絵画もミステリも好きなのだが、本書は、私が思うに、山場に欠ける。
京都、銀座、そのほか各地を巡り、たくさんの絵画が登場し、たくさんの人物が北斎について語る。
でも、この人何の人だっけ?がよくあった。
絵について語る箇所もあり、確かにそれは絵画の背景を知るのには非常に有効だし、勉強になった。
面白い箇所だった。
けれども、探偵Qがモナリザの絵と対峙した時のスピード感や山場はない。
確かに対象が少し違うのかもしれない。
どちらかと言えば原田マハの系統なのだろう。
しかしあちこちに物語の舞台が飛び、人が入れ替わると読者としては、それについて行くことに一生懸命になり、あらすじを追えなくなってくる。
たくさんの知識をたくさん詰め込んで消化不良、と言ってしまうと手厳しいだろうか。
絵画にあまり馴染みのない読者はタイトル、画家を書かれてもわからないのではないか、と思った。
もう少し語る絵を絞った方がわかりやすいと思う。
わかりやすさだけを求めるつもりはないが、論点(というか中心)は絞った方が、面白さを堪能できるのではないかと思う。 -
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タイトルには『大絵画展』とは銘打ってはいないが、前2作の主要メンバーが登場しており、絵画を絡めたコンゲーム小説なのでシリーズとしては3作目にあたるのだろう。騙しの仕掛け自体は楽しめた。
前2作に引きつづき、登場人物の口をして熱く語られる美術業界に対する批判的な言論が随所に見られる。フェノロサや林忠正等、開国間もない明治初期の日本文化を海外に広めた背景やその評価、日本美術の閉鎖性やマーケット等について、これらを面白く取るかどうかで評価が割れるかもしれない。
タイトルでは北斎と銘打ってはいるが、冒頭から最後までキーとなるのは実はクリムトの絵画『婦人の肖像』。実物の絵画は本当に行方不明になり20数年後に発見された作品だ。作中には確かに北斎に絡む作品もあるにはあるが、昨今の浮世絵ブームにのっかって北斎とつけたのではと勘ぐってしまった。
なので、美術系小説として期待すると肩透かしを食らう。あくまで絵画美術品をモチーフにしたコンゲームエンタメ小説である。