入江真佐子のレビュー一覧
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自閉症の子、難読障害の子、複雑な家庭環境の子、12歳の妊婦、そしてそれを受け持つ先生の物語。
トリイ先生はそのような子供たちをまとめ、クラスとしてギリギリ成立させている。そして起こる山のような問題のどれもが凄まじい。その多くが、到底答えの出せないような複雑な問題だ。それをトリイ先生は一つ一つ考え、なんとか答えに近いものを導き出している。また、わからないものはわからないと、はっきり言っているところが印象的だった。
注意したいのが、この物語はトリイ先生の主観でものごとが進んでいるところだ。そのため、先生が批判していること、考えていることが正解の -
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トリイみたいな先生に教われていたなら、もっと素直でいい子になれたと思う。とか真剣に思わせてしまうシリーズです。ある問題を抱えた子が素晴らしい教師と出会い、問題を解決していく。そして幸せになりました。めでたしめでたし。といかないのが良いところ。そうだよね、傷はそんなに浅くないよね。人の心なんて、分かったふりをして解釈つけることぐらいしか出来ないってことをこれでもかとばかりに思い知らせてくれるから小気味いい。一歩ずつ進んで、希望が見えてきたところで一気にもとに戻ってしまう。何の正解もゴールも見えなくて、諦める方がよっぽど簡単。それでもあきらめないトリイはやっぱり素晴らしい教師だと思う。月並みな表現
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教師を辞め、無言症の専門家として病院のセラピストの仕事についたトリイは、謎めいた三人のケースに関わることになった。9歳のカサンドラには現実の存在とは思えぬ妖精のような雰囲気があった。虚ろな目つきをしたかと思うと、感情を爆発させて暴れ、その後何日間も無言を通す。最大の問題は、悪質な嘘をつくことで、傷つきやすい他の子どもだけでなく、大人までパニックに陥れた。これも実父に2年間誘拐されていた影響なのだろうか。そんななか、トリイは遠く離れた町の有力者から4歳の孫ドレイクを話せるようにしてほしいと強引な要求をつきつけられる。いつも大きなトラのぬいぐるみを抱えた活発で愛くるしいその少年は、人とコミュニケー
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最悪なことリストの第一位って何だか知ってる?「気にかけてくれる人が誰もいない」ことだ。里親から里親へと転々としてきたデイヴィッドにはよくわかる。新しい里親に引き取られ、新しい学校に来てみれば、11歳だというのに下の学年に入れられて、級友にはうまくしゃべれないことをからかわれていじめられ、もううんざりだ。ある日、学校帰りにデイヴィッドは、茂みの中でフクロウの卵を発見した。ひょんなことから彼は、飛び級してきたために小さいが賢い少女マブと共に、その卵を孵化させることになる。卵を大事に思う気持ちで結ばれた二人は次第に仲良くなっていく。やがてフクロウが生まれ、デイヴィッドは大好きな本にちなんで、キング・
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最悪なことリストの第一位って何だか知ってる?
「気にかけてくれる人が誰もいない」ことだ。
里親から里親へと
転々としてきたデイヴィッドにはよくわかる。
新しい里親に引き取られ、新しい学校に来てみれば、
11歳だというのに下の学年に入れられて、
級友にはうまくしゃべれないことを
からかわれていじめられ、もううんざりだ。
ある日、学校帰りにデイヴィッドは、
茂みの中でフクロウの卵を発見した。
ひょんなことから彼は、
飛び級してきたために小さいが賢い少女マブと共に、
その卵を孵化させることになる。
卵を大事に思う気持ちで結ばれた二人は
次第に仲良くなっていく。
やがてフクロウが生まれ、
デイヴィッド -
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教師を辞め、無言症の専門家として
病院のセラピストの仕事についたトリイは、
謎めいた三人のケースに関わることになった。
9歳のカサンドラには
現実の存在とは思えぬ妖精のような雰囲気があった。
虚ろな目つきをしたかと思うと、
感情を爆発させて暴れ、その後何日間も無言を通す。
最大の問題は、悪質な嘘をつくことで、
傷つきやすい他の子どもだけでなく、
大人までパニックに陥れた。
これも実父に2年間誘拐されていた影響なのだろうか。
そんななか、トリイは遠く離れた町の有力者から
4歳の孫ドレイクを話せるようにしてほしいと
強引な要求をつきつけられる。
いつも大きなトラのぬいぐるみを抱えた
活発で愛くるし -
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トリィ作品は本当に久しぶりです。だから読み始めるまでトリィの世界に入り込めるのか少し心配でした。流石というか彼女と彼女を取り巻く個性豊かな子供たち すっかりその世界の一員になる事が出来ました。いつも思うのですが アメリカ社会が抱える問題。日本で起こる虐待とはまた一味違う悲惨さ。虐待により障害にならなくてよい子までこんなに苦しまなければならない現実。胸を切り裂かれるような真実がそこにありました。しかし どんなに厳しい現実で 社会に疎まれようとも 子供たちは すばらしい生命力で成長し続けていきます。エピローグにはそんな子供たちが社会にでた様子が知ることも出来ます。トリィの本でここが一番の楽しみです