入江真佐子のレビュー一覧

  • よその子  見放された子どもたちの物語

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    子供達の小さな心が見えては隠れ、その度々に子供達の心境が痛かった。辛いことを経験しているのに天使にもなれるなんて。出来ないんじゃなくて、出来るところがあればいい。例え字が読めなかったり人と上手く会話することが出来なくても誰かを幸せにすることは出来るしその方がすごく大切、というような気がしました。

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    2009年10月04日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    楽しい優しい思い出。ノスタルジア。
    どこまでが事実でどこからが想像か。
    クリストファーは上海の街を目隠し状態で動き回る。固く信じている事実は本当に事実なのか。

    全文は
    www.akapannotes.com

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    2025年08月06日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    勧められて!久しぶりにカズオ・イシグロ(といって他にたくさん読んでいるわけではないのだけれど)
    以前『わたしを離さないで』を読んだ時にも受けた、どこか紗がかかっているような世界、全てが語られない物語感、少し邂逅してすれ違っていく個々人の人生(サラ~~)というものに、カズオ・イシグロ…ってなっていた笑。それからどうしてもクリストファー/アキラが著者本人が投影されるように感じてしまう~

    どうして・何をクリストファーは解決しに上海に戻ったのかや、アキラが本当にアキラだったのか、そういったことは語られない。漠然としているだけ。
    アガサ・クリスティーの小説をどこか読んでいるような、探偵ものなのは趣向が

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    2025年03月31日
  • シーラという子 虐待されたある少女の物語〔新版〕

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    メンタルクリニックの先生がオススメしてくれた本。情緒障害児教室にきたシーラの成長と著者の愛と葛藤を描いたノンフィクション作品。

    「人に期待する」「対象と距離が近い」など心理職ではタブーとされるコミュニケーションを取る著者が印象的。案の定裏切られ、感情的になりながらも、愛情を注ぎ続け2人の間に信頼が芽生える。傷付く覚悟がいるよな…自分も著者寄りの考えなのでもう少しフラットに持っていきたいと常々思う

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    2025年03月29日
  • うそをつく子 助けを求められなかった少女の物語

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    ネタバレ

    タイトルの通り、様々なうそをつく少女ジェシー九歳の物語。
    ジェシーはグループホームで暮らしている。両親はジェシーが放火事件を起こしたことで、「一緒に暮らしたくない」と訴えジェシーは家庭から離される事になった。
    そのグループホームへトリイはボランティアとしてセッションをしながらジェシーに関わる。

    大筋はこんな感じ。



    トリイは今までの作品と違って、ボランティアとして関わるので細部が若干、『わからないまま』物語が進んでいく。特にジェシーの両親は後半を過ぎてからチラリと出てくるだけで、前半はジェシーやスタッフであるメレリの言葉や記録を見てという情報しかない。



    そして、繰り返されるジェシー

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    2024年02月28日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    主人公は探偵。飛ぶ鳥を落とす勢いで難事件を解決していく若い探偵。
    なのだが、この小説は探偵小説ではない。
    ハードボイルドではある。でも、探偵小説ではない。

    主人公が、探偵になったきっかけになった事件を解決しに上海へ向かう。
    でもそこで繰り広げられる彼の探偵然とした行動はすべて、読者からすると「え・・・この人本当に探偵?」という行動でしかなく、すごく不安な気持ちにさせてくる。この読者の感情の導き方は、すごい。

    ただ一応、すべての謎は明らかになる。
    明らかになった内容も、まあ、わりとすごい。
    このあたりは、読んで「ああ」って思って欲しい。

    物語自体には賛否あると思う。
    私もこの本のストーリー

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    2024年02月20日
  • タイガーと呼ばれた子 愛に飢えたある少女の物語〔新版〕

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    その瞬間が良かったなら、人生でプラスな経験になる。と今まで単純に思っていましたが、この本を読んで少し変わりました。その経験から何かを掴み、心の芯に何かが残るくらいの強い経験にならなければ、その後はただ失う辛さとそれを乗り越えるための辛い時間にしかならないと。
    何を人に伝えたいか。何を人から受け取りたいか。日頃から流されず、本質を求めていくことの重要さ。そんな大切なことをたくさん考えるきっかけになりました。

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    2024年01月05日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    カズオ・イシグロの本を読むのは、これで7冊目になる。流石に少し、信頼できない語手にも飽きてきた。文庫本末尾の解説を読むに、おそらく初読の方であれば、この本に没入することもできたのだろうが、読み慣れてしまった人間にはそれができない。カズオ・イシグロという、書き手そのものの存在がノイズとなってしまっているのだ。

    だが、それだけが彼の作品の魅力ではない。たとえ、初読者の感動を得ることができなくとも、彼の作品の中には等身大の人間がいる。それは、主人を亡くした執事や、敗戦国の画家という形で現れるが、彼らに共通している無常感こそが、私が真に求めるものなのだ。

    信頼できない語手というのは、客観的現実を受

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    2023年12月17日
  • うそをつく子 助けを求められなかった少女の物語

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    信頼できる大人にいうのが正しいのよ。
    ものごとは決してよくならないという気になるときがあることは分かってるわ。でもね、たった一つでも本当のことから始めれば、そこから取り組んでいけるのよ。
    本当のことをいうことが、あなたにとって安全な選択とは感じられないのは気の毒だわ。
    本当のことをいう努力をしていきましょう。
    誰もが幸せになりたい。誰もが愛とつながりにあふれた充実した人生を送りたいと思っている。不幸になることを選ぶ人などどこにもいない。もし自分がやっていることのせいで誰かが不幸せだとしても、それは最初から意図した結果ではない。どんな理由があるにせよ、自分がやっていることが気分をよくすることに役

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    2023年11月16日
  • シーラという子 虐待されたある少女の物語〔新版〕

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    人間にはそのままを受け入れてくれる存在が欠かせない。一旦受け入れてもらったあとに、成長や改善がある。改めて強くそう思わされた。

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    2023年11月14日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    何でもない生活の描写や子供の頃の思い出話で惹きつける流石の筆力。でも回想が幾重にも重なり時系列が迷路のようで読みにくい。流れに身を任せて読み進めると段々と情景が浮かび上がる。長くも感じるが、最後の怒涛の展開は止まらない面白さなので耐えて読み切りたい。

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    2023年09月28日
  • ひまわりの森

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    「テーマ:ひまわり#7」です
    初の海外作品で、そしてなんとトリイ・ヘイデンです!

    トリイ・ヘイデン知ってます?
    知らない?ふーん

    さて本編です(トリイ・ヘイデンの説明しないんかーい!)

    主人公は十七歳の娘レスリー、父母と九歳の妹ミーガンとカンザスで暮しています
    このレスリーの視点で物語は進むのですが、母のマーラは大戦中アーリア人種の外国人であったために、ナチスに子どもを産ませるために監禁されレイプされ続けられるという少女時代の体験によって「壊れて」しまっています
    そんな母の存在によりレスリーは常に家族のために犠牲を強いられた生活を余儀なくされています
    そんな中さらに母は悲劇的な事件を起こ

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    2023年07月09日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    『クララとお日さま』読んだ後、カズオ・イシグロの積読あったよなと取り出して読んだ一冊。イシグロの祖父が上海で働いていて、その縁もあって上海を舞台の小説を書いているよって教えられて買ったもの。
    ホントは、純粋にミステリー小説としても読めるんだろうけど、話に出てくる上海の租界の様子を想像しながら読み進めた。そうなんだよね。日中戦争の時、上海の市街も戦場になったんだよね。
    途中で出てくるキャセイホテルは今の和平飯店。ここも聖地巡礼しておかないと。
    最後、親子愛が隠れたテーマなんだなと気づき、ちょっとほろっとした。

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    2023年03月16日
  • 機械じかけの猫(下)

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    面白かったです。結末が全く予想できなかったし、どのジャンルとかカテゴリ分けもしにくいくらい独創的でトリイにしか書けないお話だと思いました。トリイのノンフィクション物も好きですが、こちらも退屈せず読めて本当に良かったです。もっと沢山書いてほしい。

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    2023年03月14日
  • ヴィーナスという子 存在を忘れられた少女の物語

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    今回も読みごたえのある内容でした。トリイ作品は毎回考えさせられるし、凄い人だなあと尊敬するし、色々な刺激を貰える。私もヴィーナスに共感できるところがあり、切なくなりながらも彼女たちの幸せを願わずにいられませんでした。

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    2023年01月14日
  • うそをつく子 助けを求められなかった少女の物語

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    トリイがイギリスに移ってからの物語。
    効率化を求める現代においても、トリイが対話スタイルを変えてなく、少女と絆を作り上げていくことに、時代が変わってもこういうところは変わっていないと安心した。
    このひとは密室の中で、時間をかけて一対一の信頼関係を築くことに本当に長けていると思う。
    少女に虐待したのは誰なのか?先が知りたくてページを捲ってしまい、一気に読み終えた。
    シーラという子の時代のように、若くて、ときどき感情的になるシーンはほとんどなくて、
    この本では全てが熟練していて、安定している。年月の流れを感じた。

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    2023年01月08日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    タイトルは魅力的なのに、裏表紙のあらすじ紹介がイマイチ気に食わなくて手に取らずに来たものの、食わず嫌いもよろしくないと思い手に取った一冊。
    あらすじ紹介より面白いです。
    「冒険譚」なんて紹介されているけれど、どちらかというと主人公が不条理さに巻き込まれていきながら、最後は何とか抜け出して戻ってくる、というほうがよいかと。
    とにもかくにも、予想より面白かった一冊です。

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    2022年05月16日
  • シーラという子 虐待されたある少女の物語〔新版〕

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    一気に読んでしまいました。トリイの若さ溢れる情熱とシーラの生命力。まるで映画のようでした。
    個人的には続編のタイガーと呼ばれた子もすごくよかったので、合わせておすすめしたい作品です。

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    2022年03月25日
  • うそをつく子 助けを求められなかった少女の物語

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    ネタバレ

    途中、読むのを挫折しそうになった。
    内容が読んでて辛いとかでなく、何も進展しなさすぎたため。
    それを何とか乗り越え読み切れた。

    簡単に言うと児童虐待の話
    いつも嘘をついて自分に注目してもらいたい、暴力を振るったり放火したり、実の親に育児を放棄された9歳の愛着障害と診断された女の子。
    愛着障害って初めて聞いた言葉。
    その子に忍耐強く関わり問題を解決しようと必死だったトリィ。
    ちょっと困らせてやろうと嘘をついたことで、とんでもない目に合わされた職員(性的なことをされたと嘘をつく)
    日常的に嘘をつくから、ほとんど信用されず
    でも、今度は嘘をついてないかもしれないと助けを求めてるかもとか考えたり。

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    2021年11月26日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    ネタバレ

    今回はロンドンと上海。
    大戦中の上海の様子が、生々しい。日本の侵略が書かれていると同時に、イギリスが犯したアヘン貿易についても書かれている。
    『わたしたちが孤児だったころWhen we were orphans 』のタイトルにある孤児とは、両親が行方不明になるまでの子供の頃までではなく、父の死と母に会うまでの時間も含まれているのではないだろうか。
    危険な地域に両親を探しに行くときは、中尉やアキラに止められても、語り手の頭を占めていたのは、戦争ではなく両親だった。
    カズオ•イシグロの作品には、何度も同じセリフがでてきたり、自分がされたことを結局は自分が他の人にすることになるという設定が多いように

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    2021年10月30日