入江真佐子のレビュー一覧
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勧められて!久しぶりにカズオ・イシグロ(といって他にたくさん読んでいるわけではないのだけれど)
以前『わたしを離さないで』を読んだ時にも受けた、どこか紗がかかっているような世界、全てが語られない物語感、少し邂逅してすれ違っていく個々人の人生(サラ~~)というものに、カズオ・イシグロ…ってなっていた笑。それからどうしてもクリストファー/アキラが著者本人が投影されるように感じてしまう~
どうして・何をクリストファーは解決しに上海に戻ったのかや、アキラが本当にアキラだったのか、そういったことは語られない。漠然としているだけ。
アガサ・クリスティーの小説をどこか読んでいるような、探偵ものなのは趣向が -
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ネタバレタイトルの通り、様々なうそをつく少女ジェシー九歳の物語。
ジェシーはグループホームで暮らしている。両親はジェシーが放火事件を起こしたことで、「一緒に暮らしたくない」と訴えジェシーは家庭から離される事になった。
そのグループホームへトリイはボランティアとしてセッションをしながらジェシーに関わる。
大筋はこんな感じ。
トリイは今までの作品と違って、ボランティアとして関わるので細部が若干、『わからないまま』物語が進んでいく。特にジェシーの両親は後半を過ぎてからチラリと出てくるだけで、前半はジェシーやスタッフであるメレリの言葉や記録を見てという情報しかない。
そして、繰り返されるジェシー -
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主人公は探偵。飛ぶ鳥を落とす勢いで難事件を解決していく若い探偵。
なのだが、この小説は探偵小説ではない。
ハードボイルドではある。でも、探偵小説ではない。
主人公が、探偵になったきっかけになった事件を解決しに上海へ向かう。
でもそこで繰り広げられる彼の探偵然とした行動はすべて、読者からすると「え・・・この人本当に探偵?」という行動でしかなく、すごく不安な気持ちにさせてくる。この読者の感情の導き方は、すごい。
ただ一応、すべての謎は明らかになる。
明らかになった内容も、まあ、わりとすごい。
このあたりは、読んで「ああ」って思って欲しい。
物語自体には賛否あると思う。
私もこの本のストーリー -
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カズオ・イシグロの本を読むのは、これで7冊目になる。流石に少し、信頼できない語手にも飽きてきた。文庫本末尾の解説を読むに、おそらく初読の方であれば、この本に没入することもできたのだろうが、読み慣れてしまった人間にはそれができない。カズオ・イシグロという、書き手そのものの存在がノイズとなってしまっているのだ。
だが、それだけが彼の作品の魅力ではない。たとえ、初読者の感動を得ることができなくとも、彼の作品の中には等身大の人間がいる。それは、主人を亡くした執事や、敗戦国の画家という形で現れるが、彼らに共通している無常感こそが、私が真に求めるものなのだ。
信頼できない語手というのは、客観的現実を受 -
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信頼できる大人にいうのが正しいのよ。
ものごとは決してよくならないという気になるときがあることは分かってるわ。でもね、たった一つでも本当のことから始めれば、そこから取り組んでいけるのよ。
本当のことをいうことが、あなたにとって安全な選択とは感じられないのは気の毒だわ。
本当のことをいう努力をしていきましょう。
誰もが幸せになりたい。誰もが愛とつながりにあふれた充実した人生を送りたいと思っている。不幸になることを選ぶ人などどこにもいない。もし自分がやっていることのせいで誰かが不幸せだとしても、それは最初から意図した結果ではない。どんな理由があるにせよ、自分がやっていることが気分をよくすることに役 -
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「テーマ:ひまわり#7」です
初の海外作品で、そしてなんとトリイ・ヘイデンです!
トリイ・ヘイデン知ってます?
知らない?ふーん
さて本編です(トリイ・ヘイデンの説明しないんかーい!)
主人公は十七歳の娘レスリー、父母と九歳の妹ミーガンとカンザスで暮しています
このレスリーの視点で物語は進むのですが、母のマーラは大戦中アーリア人種の外国人であったために、ナチスに子どもを産ませるために監禁されレイプされ続けられるという少女時代の体験によって「壊れて」しまっています
そんな母の存在によりレスリーは常に家族のために犠牲を強いられた生活を余儀なくされています
そんな中さらに母は悲劇的な事件を起こ -
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ネタバレ途中、読むのを挫折しそうになった。
内容が読んでて辛いとかでなく、何も進展しなさすぎたため。
それを何とか乗り越え読み切れた。
簡単に言うと児童虐待の話
いつも嘘をついて自分に注目してもらいたい、暴力を振るったり放火したり、実の親に育児を放棄された9歳の愛着障害と診断された女の子。
愛着障害って初めて聞いた言葉。
その子に忍耐強く関わり問題を解決しようと必死だったトリィ。
ちょっと困らせてやろうと嘘をついたことで、とんでもない目に合わされた職員(性的なことをされたと嘘をつく)
日常的に嘘をつくから、ほとんど信用されず
でも、今度は嘘をついてないかもしれないと助けを求めてるかもとか考えたり。
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Posted by ブクログ
ネタバレ今回はロンドンと上海。
大戦中の上海の様子が、生々しい。日本の侵略が書かれていると同時に、イギリスが犯したアヘン貿易についても書かれている。
『わたしたちが孤児だったころWhen we were orphans 』のタイトルにある孤児とは、両親が行方不明になるまでの子供の頃までではなく、父の死と母に会うまでの時間も含まれているのではないだろうか。
危険な地域に両親を探しに行くときは、中尉やアキラに止められても、語り手の頭を占めていたのは、戦争ではなく両親だった。
カズオ•イシグロの作品には、何度も同じセリフがでてきたり、自分がされたことを結局は自分が他の人にすることになるという設定が多いように