澤田ふじ子のレビュー一覧

  • 公事宿事件書留帳二 木戸の椿

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    公事宿(訴訟人専用旅篭)シリーズ第2段。菊太郎さんを取り巻く人たちがまた良い。お信さんとの恋も良い感じ。事件解決の面白さは前作と変わらず健在。

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    2009年10月04日
  • 公事宿事件書留帳一 闇の掟

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    菊太郎さんがかっこいい!時代物ミステリーという感じ。京弁(は関西弁の一つなので)で読みやすかった。ニュアンスが良くわかる。

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    2009年10月04日
  • 公事宿事件書留帳九 悪い棺

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    澤田ふじ子さんの作品の中でも、このシリーズは大好きだ。
    主役、準主役から、脇を固める面々まで、愛すべき人物がとても多い。
    NHK以外でドラマ化させたら、どんなに役者さんが合うだろう・・・と想像する事もしばしば。
    (NHKでもドラマ化されていて悪くはなかったが、予算が少ないから、イマイチ・・・。出来たら民放でやって欲しいと思うのは欲張りだろうか。)

    公事宿(現代の弁護士事務所にあたる場所)が舞台な事から、読みながら、物事の善悪を考えさせられるのだが、短編の一つ一つがとてもあたたかい。その一言に尽きると思う。

    とても遅い流れだが、登場人物の時が止まっているわけではない。
    少しずつ成長し、時を経

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    2009年10月04日
  • 公事宿事件書留帳二十一 虹の見えた日

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    公事宿事件書留帳シリーズ第21作。
    『虹の見えた日』
    お信の娘お清が、菊太郎から常々聞いていて、以前から希望を持っていた女公事師になりないと、鯉屋に相談に訪れる。まだ14歳ではあるが、しっかりとした利発な女性へと成長しており、先行きが楽しみである。お清は、源太郎らに連れられて、見習いとして、まさに天晴れというべき提案をするのであった。

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    2024年08月15日
  • 公事宿事件書留帳二十 鴉浄土

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    公事宿事件書留帳シリーズ第20作。
    『木端の神様』
    京都の吉田神社近くにある吉田村にある樹齢400〜500年の樅の木を村の難儀を解決するために売り払ったというお話。彦七は、村人が御神木と崇めていたその御神木の木端で神仏を作り、御神木で隠居屋敷を建てた小間物問屋の十四屋の大旦那四郎左衛門に木端の大黒天を届ける事にする。
    御神木で隠居屋敷を作るという不埒な事をしたとして四郎左衛門は悔いており、村人に善行を行うようになるという。
    京都の情景が手に取るように浮かんでくる文章。素朴な人々の心情。人は変われるという事など、読んでいて心地よい。

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    2024年08月15日
  • 公事宿事件書留帳十九 血は欲の色

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    公事宿事件書留帳シリーズ第19作。
    『あざなえる縄』
    共に同じ村から出てきた仲の良い二人。一緒に同じ奉公先で働いていたが、ひとりは店の一人娘の婿となって店を継ぎ、もうひとりは暖簾分けをしてもらい、店を開いた。暖簾分けをしていた店が商いが出来ないようになったので、店を継いだ方が見かねて、四百両もの大金を、返済の期日も利子も書かずに証文を作り貸したという。
    真剣に取り立てようとしない父を見て、息子が公事宿に相談にきたのである。
    人間はあざなえる縄のように、好き合うた仲間が、絡み合うて助け合い、生きていかなければならない。そうすれば、どんな禍福にも耐えられる。

    絶品の人情噺である。

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    2024年08月06日
  • 公事宿事件書留帳十七 遠い椿

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    公事宿事件書留帳シリーズ第17作。
    『黒猫』8歳くらいの貧乏な少年孝吉と黒猫の物語。下駄の歯入れ屋をしている松吉の息子で、貧乏で、とても猫の食い扶持まで回らないなか、なんとかして飼っている。
    孝吉は奉公にいく事になるが、黒猫の玉は、近くで孝吉を見守っていた。
    ある日、孝吉は、黒猫玉をおいて失踪する。
    黒猫の玉は、周辺で騒ぎ立て、化け猫騒ぎとなる。奉公先の主人を襲い、ついには、孝吉の死体が、玉の導きで発見される。
    名作ですね。

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    2024年07月03日
  • 公事宿事件書留帳十六 千本雨傘

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    公事宿事件書留帳シリーズ第16作。
    作中に松葉酒、松葉粥がでてくる。いまでは、逆にデトックスとして注目されているが、江戸時代に市井の中で登場してくるのは、さすが澤田ふじ子先生であり、趣き深い。

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    2024年07月02日
  • 公事宿事件書留帳十五 女衒の供養

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    公事宿事件書留帳シリーズ第15作。
    義母政江が菊太郎に伝えた陶淵明の山海経の中の一説『精衛(せいえい) 微木(びぼく)を銜(ふく)み
    将に以て蒼海(そうかい)をうずめんとす。』

    精衛の鳥は木片をくわえて大海原を埋め尽くそうとしている。
    精衞はもと人間であったが、鳥の姿に変えられても、屈する事なく、ひとつの事を続けていたという。

    人間は、時として、勝ち負けを度外視して、無駄とは知りつつも、やり続けなくてはならない。

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    2024年06月21日
  • 公事宿事件書留帳十三 雨女

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    公事宿事件書留帳シリーズ第十三作。
    『雨女』生真面目で、貧乏な一人暮らしの岩三郎は、泥鰌売りをして生活している。岩三郎の父、岩蔵は腕のいい宮大工だったが、腕を見込まれて、大垣城下へ旅立ったきり帰ってきていない。
    雨の日、ずぶ濡れの若い女菊を助ける。何も聞かずにここに置いて欲しいという菊。菊は、大事に風呂敷包みを抱えていた。
    気立ての良い菊と生活をすすめていたある日、菊の風呂敷包みから、亡き父の遺品が。
    澤田版の鶴の恩返し。素晴らしい。

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    2024年06月06日
  • 公事宿事件書留帳十二 比丘尼茶碗

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    公事宿事件書留帳シリーズ第十二作。
    『鬼婆』
    油屋の伊勢屋の娘お奇世と竹籠屋の栄次の娘おまさは、貧乏で生活がままならない産婆のおたつが、悪意をもち、金持ちの赤ちゃんと貧乏人の赤ちゃんを交換したのだ。
    年頃になったお奇世を恐喝する鬼婆おたつであったが、潔くお嬢様暮らしから身をひこうとするお希世。
    思いもかけない展開が見られるのが、澤田ふじ子先生の小説の面白さ。素晴らしい。

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    2024年06月05日
  • 公事宿事件書留帳八 恵比寿町火事

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    公事宿事件書留帳シリーズ第8段。
    仁吉の仕置。生きの良い大鯉と勇ましい金太郎の彫り物をした仁吉。彫り物をしているが、恩義を忘れない心優しい男。放蕩息子の吉三郎が母のお松が争い、お松が吉三郎を思い余って切りつけてしまう。
    ただ罰したり、真実を追求するのではない、それぞれがその後の人生を上手く生き抜けるよう解決してしまうのが、また良い。

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    2024年05月09日
  • 公事宿事件書留帳四 奈落の水

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    公事宿事件書留帳第4段。
    黄金の朝顔は、世にも珍しい朝顔の苗を育てれば、種子や苗を買い戻してもらえるという、現代にもある怪しい詐欺の手口を題材。 
    飛落人一件は、腹黒い嫁にいびり出されて飛び降り自殺した老人の事件。
    どれも時代小説ではあるが、現在に通じる人情劇であり、家やお金に縛られない田村菊太郎が、自由に動き回るのが、実に痛快である。

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    2024年04月16日
  • 公事宿事件書留帳二 木戸の椿

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    公事宿事件書留帳シリーズ第二弾。
    本書は、田村菊太郎が、師走に、庭にて赤い実をつけている千両を眺めているところから始まる。
    なんと風流な事か。
    春夏秋冬、どの季節も人間には大切どす。人生にもけじめというもんがおますやろ。四季は1年のけじめどす。
    身に染みる一説だなぁ。

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    2024年04月05日
  • 公事宿事件書留帳一 闇の掟

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    公事宿事件書留帳シリーズ第1弾。
    公事宿鯉屋に居候する田村菊太郎の事件簿。澤田先生馴染みの京都の町を舞台にして、四季折々の風情が織り込まれた人情味あふれる時代劇シリーズの傑作。

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    2024年04月04日
  • 高瀬川女船歌八 偸盗(ちゅうとう)の夜

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    高瀬川女船歌シリーズ第八弾。
    角倉会所の目付け役の大槻伝蔵が故郷から佐七とい若者を連れてくる。この二人が四条通で、角倉会所で台所働きをしているお琴に出会う。
    佐七とお琴、この二人を中心に大きく話しは進展する。

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    2024年03月23日
  • 高瀬川女船歌七 奈落の顔

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    高瀬川女船歌シリーズ第七弾。
    標題の奈落の顔は、人情深い鋳掛け屋の太兵衛が亡くなり、その死に顔が深く悩んで奈落に突き落とされたような顔だったことから、かつて東町奉行所に出仕していた太兵衛の過去が明らかになっていく。

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    2024年03月19日
  • 天空の橋

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    舞台は京都。焼物問屋の長左衛門は、京都では一番と評判の粟田焼にかわり、清水焼を京焼で一番にするという野望のため、粟田焼の一番の腕をもつ陶工の喜助を引き抜き、彼に見どころのある十五歳の八十松を見習いにつける。
    長左衛門は、清水焼を一番にするという自らの夢を若き八十松に託し、自らの過ち、罪を背負い、天空の橋へと旅立っていく。

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    2024年03月17日
  • 篠山早春譜 高瀬川女船歌四

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    高瀬川女船歌シリーズ第四弾。
    高瀬船の船頭弥助の長屋の隣にすむ藤蔵、お千代の夫婦。訳あって武士の身分を捨て、市井で暮らす道を選ぶ。宗因の口利きで高瀬船の曳き人足となるが、角倉会所の隠し目付と噂され、宗因らとともに高瀬川沿いの市井の人々のため、働き始める。

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    2024年03月04日
  • 陸奥甲冑記

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    桓武天皇の時代、長岡京への遷移、律令国家の統一に向けて東北地方を治めるべく動く軍と蝦夷の人々の攻防。蝦夷の首領であるアテルイ、罪を着せられて高僧の道が閉ざされた果安、魅力たっぷりに描かれる。京側の坂上田村麻呂もかっこよかった。

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    2022年02月02日