澤田ふじ子のレビュー一覧
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澤田ふじ子さんの作品の中でも、このシリーズは大好きだ。
主役、準主役から、脇を固める面々まで、愛すべき人物がとても多い。
NHK以外でドラマ化させたら、どんなに役者さんが合うだろう・・・と想像する事もしばしば。
(NHKでもドラマ化されていて悪くはなかったが、予算が少ないから、イマイチ・・・。出来たら民放でやって欲しいと思うのは欲張りだろうか。)
公事宿(現代の弁護士事務所にあたる場所)が舞台な事から、読みながら、物事の善悪を考えさせられるのだが、短編の一つ一つがとてもあたたかい。その一言に尽きると思う。
とても遅い流れだが、登場人物の時が止まっているわけではない。
少しずつ成長し、時を経 -
Posted by ブクログ
公事宿事件書留帳シリーズ第19作。
『あざなえる縄』
共に同じ村から出てきた仲の良い二人。一緒に同じ奉公先で働いていたが、ひとりは店の一人娘の婿となって店を継ぎ、もうひとりは暖簾分けをしてもらい、店を開いた。暖簾分けをしていた店が商いが出来ないようになったので、店を継いだ方が見かねて、四百両もの大金を、返済の期日も利子も書かずに証文を作り貸したという。
真剣に取り立てようとしない父を見て、息子が公事宿に相談にきたのである。
人間はあざなえる縄のように、好き合うた仲間が、絡み合うて助け合い、生きていかなければならない。そうすれば、どんな禍福にも耐えられる。
絶品の人情噺である。