澤田ふじ子のレビュー一覧

  • 鴉婆~土御門家・陰陽事件簿(二)~

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    大黒党という陰陽師の札を持っていない独自の集団と平九郎との水面下でのやり取り。
    兄の仇を取ろうと平九郎を敵視している大黒党の里村兄弟だが、時には手を取り合い、そして里村兄弟の母を助けたりと人を助け悪を憎む平九郎。
    陰陽師といえば物の怪と思うがこの話はそんなことは一切なく日常の人間の悪を暴いて懲らしめる痛快ともいえる話。

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    2021年12月25日
  • 大盗の夜~土御門家・陰陽事件簿~

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    江戸時代の人々の暮らしが分かり、読みやすい。
    暗さがないし、後に引かないさらっとした文章で人間の闇の部分が嫌いな人や現実逃避したい時などに読むと簡単に小説の中に引き込まれていく。

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    2021年05月15日
  • 公事宿事件書留帳一 闇の掟

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    もう何回目でしょう
    木枯らしの便りが届く頃になると
    澤田ふじ子さんを
    読みたくなります

    何年か前に
    読んだはずなのですが
    ほとんど忘れてしまっているので
    なぜか ものすごく新鮮に
    感じてしまうのです

    理不尽に虐げられた
    市井の人が救われていく

    その一つ一つの物語を読むたびに
    気持ちの中に心地よい風が
    吹き抜けていくようです

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    2018年11月22日
  • 公事宿事件書留帳十八 奇妙な賽銭

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    ネタバレ

    公事宿事件書留帳シリーズ18巻。かたりの絵図・暗がりの糸・奇妙な賽銭・まんまんちゃんあん・虹の末期・転生の餅・6話。表題作『奇妙な賽銭』最近、夜毎どこかの貧乏長屋に銭が投げ込まれるという事件が京の町で起きていた。東町奉行所同心が夜見廻りをしていると、犬に吼えられている笠を被った小男を助けた。懐に大金を抱えていたが、外出していた理由を聞くだけで家に送ったが見張りをしていると…。『まんまんちゃんあん』島流しになった過去がある男に付きまとう、西町奉行所の同心を懲らしめる菊太郎。読んでスッキリする話だった。

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    2014年02月17日
  • 公事宿事件書留帳一 闇の掟

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    京都のお侍、というちょっと変わった設定のお話。

    京都の町奉行同心の長男でありながら本妻の子である弟に気を使い、放蕩のふりをして家を飛び出した菊太郎は、公事宿(訴訟人専用旅篭)鯉屋に居候して、鯉屋に持ち込まれる事件を解決していく。

    時に法を超えた手段も取る、なかなか決断力のある菊太郎だが、弱いものに優しく、魅力的なヒーローである。

    お侍がやんわりと関西弁なのもなかなか良い。

    シリーズになっているので、続けて読んでみたくなった逸品。

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    2013年04月17日
  • 惜別の海(下)

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    秀吉は当時の朝鮮の人達や日本人にどれだけ酷い事を行ってしまったのかが良く分かる。名護屋城に動員された人数は28万人近くにふくれ上がり出兵先の朝鮮国の捕虜を日本に連行、奴隷として売買した事は蛮行というしかないし心が痛む。また謀叛を企んだとの言われなき罪で秀次の愛妾その他39名が処刑される場面はなどは可哀想でならない。小説の中の六左衛門が最後には日本に戻り大森衆の皆がホッとする場面を期待し望みを持ちながら読んでいたが甘くは無かった。英雄秀吉の蛮行の真実を現実感を伴う形で締めくくられた感じだ。

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    2011年12月24日
  • 惜別の海(中)

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    千利休の「利休百回記」の存在や豊臣政権の中で置かれた位置などから自分の死期を予測できる病を持っていた。秀吉に卑屈に命乞いをすれば生涯をかけて大成した茶湯がおとしめられるからだ、というのは頷ける感じがした。朝鮮出陣の為に、玄海灘を臨む佐賀県唐津市の東松浦半島に突貫工事で作られた名護屋城。日本全土から百を越す諸大名や諸将が集まり陣所をもうけた凄まじい状況が目に浮かぶ。権勢欲と征明計画という誇大妄想を実行しようとしてる秀吉を止められる人はもう誰もいなかったというのが不幸だ。この混乱に乗じて人買で儲けようと企む以蔵のような人達も実際に沢山いたのだろうと思う。

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    2011年12月11日
  • 惜別の海(上)

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    豊臣秀吉が天下を治めた時代の話し。六角義弼に仕えていた大森六左衛門は六角家が滅びた後も近隣の各村から人望が厚い。地侍として大森家を率い武佐村の家臣達をまとめ城普請なども行っている。武佐村を始め馬淵、岩倉、長福寺の村々は石工だけではなく、秀吉のために多くの大工や人夫を働きに出さねばならず、田畑は荒れてしまっている。秀吉の権勢が肥大化するにつけその多くの行為が回りに影響を与えて行く状況が良く分かる内容となっている。
    また、千利休の賛同を得た織部十作の名誉を許された陶工の名など知らない事ばかりで知識欲が湧いてくる。

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    2011年11月20日
  • 公事宿事件書留帳一 闇の掟

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    京都を舞台にした公事宿に持ち込まれる事件帖シリーズ。勧善懲悪というよりは、しみじみ、ほろ苦い後味が読んでいてクセになる。捕り物より人情を味わいたい方にお勧め。

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    2011年09月17日
  • 公事宿事件書留帳二十二 冤罪凶状

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    公事宿事件書留帳シリーズ第22作、シリーズ完結。
    『隠居そば』紙問屋を営む丁字屋の隠居宗兵衛が、積荷人足をしている3人組に誘拐される。もはや死ぬことは怖くないし、跡取りの息子にも誘拐されても身代金など一切出さずに商売をきちんと守っていくように話をしてあるといい、誘拐してきた3人組は途方に暮れる。
    悪人ではないと見た宗兵衛は、3人組と蕎麦屋を始める算段をし、3人組を更生するように導いていく。
    人間は変わるものだ、という話が完結篇にくるのは、非常に澤田先生らしく、素晴らしい。

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    2024年08月16日
  • 公事宿事件書留帳十八 奇妙な賽銭

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    公事宿事件書留帳シリーズ第19作。
    『まんまんちゃんあん』若気の過ちで島送りとなったが、心を入れ替え、残された娘のためにも、必死で働く弥助。そんなとき、島帰りの男たちから金品をせびり取っている悪徳同心の市川平十郎に、弥助は目をつけられ、働く先々で嫌がらせを受けて、何度も職探しをする羽目となる。しかし、弥助は、自分のためにお祈りをしてくれる幼い娘に支えられて、嫌がらせにもめげずに、働き続ける。

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    2024年07月27日
  • 公事宿事件書留帳二 木戸の椿

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    異母兄弟の弟に同心組頭を譲り、公事宿の居候というお気楽な日々を楽しむ菊太郎。
    本来の賢さ、情の深さ、剣技を使い悪事におとしめられた人々を助けていく

    真面目に働いている人から見れば、憎たらしいヒーロー?

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    2024年06月08日
  • 陸奥甲冑記

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    第三回吉川英治文学新人賞受賞作。
    桓武王朝期、朝廷と蝦夷との戦いを描いた力作。後の高橋克彦氏の作品に先駆けての意欲作。

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    2024年05月30日
  • 公事宿事件書留帳十 釈迦の女

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    公事宿事件書留帳シリーズ第10作。
    知恩院の本堂で毎日寝転んでいる女は、お釈迦様に違いないとおもう女の子。釈迦の涅槃像からの話しが発展していくくだりが、この小説の素晴らしいところ。
    貧乏している長屋の子供に対して、子供は宝物だといい、解決していくところは、澤田先生からの、我々現代の日本人が忘れかけている精神への強烈なメッセージだと思われてならない。

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    2024年05月16日
  • 公事宿事件書留帳一 闇の掟

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    再読。何度読んでも面白い時代小説のシリーズの一つ
    主人公の菊太郎、いいですよね
    それに時代小説って、30年前の作品だろうが、今年の新作だろうが区別なく面白いものは面白いですよね。時代小説ならではかな

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    2024年05月11日
  • 公事宿事件書留帳九 悪い棺

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    公事宿事件書留帳第9作。
    黒猫の婆。養女夫婦に代替わりしたとたん、店から追い出されるように、わずかな身の回りの品だけ持って出てきた老女。くよくよせずに、長屋の女たちを使い、たくましく生活をしていく。公事宿を使い、最後には、お店を取り戻すあたりが、素晴らしい。
    現代と違い、取り締まりには、人情があり、おめこぼしがあった。現在にも、いわゆる大岡裁きは、ないものだろうか。

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    2024年05月10日
  • 公事宿事件書留帳七 にたり地蔵

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    公事宿事件書留帳第七段。
    笑う地蔵が歩いてどこかに行った。続けて地蔵の身代金要求がきた事件。面白い事件に、解決方法もまた味があるのが、この小説の良いところ
    丁場にすわる下代の吉左衛門が手代見習いの佐之助に弘法大師の一説を説き聞かせる場面がある。当時は、こないにして、今よりも、いろいろな事を聞いて信心していたのかと、関心させられ、同時に現代はどうなのかと、考えさせられる。

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    2024年05月02日
  • 公事宿事件書留帳六 ひとでなし

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    公事宿事件書留帳第6段。
    わしらなんで生きてるねんやろうなあ。自らのこれまでの生き様を思う老人。死ぬ度胸がないさかい、さほど悪いこともようせんかったけどなあ。
    因果応報、もしかして前世でよほど善行をつんできたんだろう。
    澤田さんの人情噺は非常に奥深く、味わい深い。

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    2024年05月01日
  • 公事宿事件書留帳五 背中の髑髏

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    公事宿事件書留帳第5段。
    京都の町の江戸時代の暮らしが垣間見えるのが、また魅力のひとつ。京都人の吝嗇を示す言葉で、茶漬けどすけど一杯食べていっとくれやすとすすめられる事があげられる。これは、この時代食べ物は貴重で、言葉だけでも厚意としていただき、辞去するのが礼だとされていたという。特に、京都の野菜は特段に美味く、特にお茶漬けとして食べるのが一番とされていたこともあり、そのありがたい野菜をもてなす事への気持ちがあったのだそうです。
    当時の生活、息遣いが聞こえてくる。

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    2024年04月24日
  • 公事宿事件書留帳三 拷問蔵

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    公事宿事件書留帳シリーズ第三弾。

    生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終りに冥し。
    弘法大師の言葉が、作品のなかで、紹介されている。
    人はどこから生まれ、どこへ死んでいくのか。人は何度も生まれ変わっても、人間についても、生や死についても何もわからない。
    菊太郎は、人間はある一面だけでない。良くも悪くも、明暗半々、と結んでいる。
    この人間観がこの作品の良いところであり、肝でもあろう。

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    2024年04月07日