坂木司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「和菓子のアン」のアンちゃんのお母さんがパートで働くクリーニング店とその商店街のお話。
動物でも人間でも、困っているのを放っておけない、でもお節介なわけではない荒井くんが、すごいいいなー。
突然の父の死や、クリーニングの仕事、商店街での人付き合いや、沢田くんとの関係などなど、等身大の悩みを抱えながらいろんなことをぶつかって乗り越えてちょっとずつ前に進んでいく姿がかわいい。
私も思わず松竹梅トリオのように見守って応援したくなります。
切れない糸のタイトルが意味するものも、なかなかせつない。
クールでそつない沢田くんの振る舞いも、まるで捨て猫のようで。
人と人とのつながりって、実際の距離や会う回数とかより、「離れていても、遠い気がしない」糸のつながりで続いていくものなんだろうなぁ。
あくまでミステリー仕立てといった程度で、謎解きはたいしたことないけど、商店街やクリーニングの豆知識も楽しめました。
アイロンの湯気のように、心も温かくシャキッと潤いますな。 -
Posted by ブクログ
商店街は小さな規模のプロフェショナル集団
なるほどね。私が子供だった頃の近所の小さな商店街を思いだすと、確かにって思う。
八百屋さんもお魚屋さんも、見慣れない商品が置いてあるときは食べ方を教えてくれたり、よく行くお店は好みを覚えてくれていたり。
そういう関係がうっとおしいと思う風潮が、商店街を寂れさせたのかなあ。
主人公の荒井くんは、父親の急死によってその気のなかったクリーニング店を継ぐことになってしまった。
と言っても、やっぱり店屋でそだった子は、商売向きに育つのかな。着実にクリーニング店の仕事を身に着けていく様子が、ホッコリと温かい気分にさせてくれる。
日常ミステリーなので、探偵役に沢田くんと言う人物が出てくるんだけど、彼の良さは謎を解いたその後を考えているところ。
横溝さんの金田一 耕助。彼は名探偵って事になっているけれど、例えば連続殺人で、自分が登場してから後に起こる方の事件を防ぐこともできず、全部終わってからコレコレこういう事ですって言うだけ。名探偵と思えない。
そんな私にとっては、探偵沢田くんはとても素敵。 -
Posted by 読むコレ
坂木作品としては異例の「短劇」の内容が薄ら分かっていたので
敢えて、坂木さんらいしい作品を一つ未読にしておいたのが今作。
短劇の余韻のまま新作を待つのは結構ツラいと思ったからw。
やはりこの方の作品には自分が手に出来なかったものや、成れなかった
自分、そして恥ずかしいし青臭いけど、間違っていないものが
そっと詰め込まれています。
煩わしいし、面倒な近所の個人商店街が無くなっていったこの時代は
経済効果以外のものを失った。確かに、昔は良かったのだ。確実に
今なんかよりは良かったのだ。
こういった事を坂木作品を読んだ後にいっつも思ってしまう。
もちろん作品としても当然面白いです。始終ニヤけっぱなしだし
美味しそうなコーヒーの香りや食べ物の暖かさに
包まれているような感覚のする作品です。 -
Posted by ブクログ
大好きな三浦しをん先生、瀬尾まいこ先生、凪良ゆう先生、そして一穂ミチ先生の作品が入ったアンソロジー。坂木司先生の作品ははじめまして。
特に好きだったのは以下の2作品。
・一穂ミチ先生『歌うように生きて』
・凪良ゆう先生『小鳥たち』
一穂先生は『イエスかノーか半分か』で知り、凪良先生は『美しい彼』で知った作家。どちらもBL作品だが、その頃から読みやすくて美しい文章が好きだったので、BL以外の作品でも同じように感動できることがとても嬉しい。
それにしても一穂先生は、どれだけ大きな引き出しをお持ちなのか。作品を読むたびに驚く。
瀬尾まいこ先生と三浦しをん先生は大好きなのだが、今作ではあまりハマらなかった。残念。 -
Posted by ブクログ
人気作家5名による本屋に関係ある短編集。いずれもホッコリする佳品です。本屋で生き生きバイトする青年男子と占い師の小母さん「続きは書店で」〈瀬尾まいこ〉、中国から来た男性との大学生生協書店での出会いに始まる不思議な縁とその真相?「歌うように生きて」〈一穂ミチ〉、瀬戸内海の島で地元に愛される鳩豆書店・駄菓子屋を開店する「手に取って見てみろよ」〈坂木司〉、離婚して実家の本屋に戻った女性(44歳)の中学時代の級友男性との出会い「小鳥たち」〈凪良ゆう〉、曾祖父からの書店を4代目で受け継いだ女性の仕事ぶり「見晴らし書店の一日」〈三浦しをん〉。書店の経営が厳しい環境にあることをいずれの話からも感じさせられ、業界の動向についてもいずれの作品からも学びとなった。