坂木司のレビュー一覧
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ネタバレ書店で見かけたとき、タイトルよりも帯にある「うまい棒」の4文字が目立っていた。『和菓子のアン』シリーズを手掛ける坂木司さんの新刊は、全5編に誰でも食べたことがある有名菓子が登場する作品集である。
某高校に存在する緩-い部活動、その名も喫茶部。1年生のあるグループは、普段は部室で持ち寄ったおやつを食べるだけ。そんな彼らに、「うまい棒」にまつわる噂話が持ち込まれる。「うまい棒」一本で世界の秘密がわかる?
「うまいダッツ」。大真面目に噂を検証するべく、週末のショッピングモールに集う面々。噂の真相は、至って真面目なのだった。「チロル・ア・リトル」。本作中では嫌な話。高校生に難題を処理させるなよおい。その4文字に対する理解はまだまだ低い。チロルチョコが和らげてくれる? とだけ書いておく。
「バカみたいにウケない」。先輩のたっての願いで、インスタライブのクイズ大会に参加した面々だが…。インスタはやっていないが、こういうタイプは実際にいそう。「それは王朝の」。難しいファン同士の関係。やっぱり不自然だよねえこの作戦。その菓子の名前の由来は知らなかった。
最後に「百年の愛」。「おやつ部」の1年生たちも進級し、新入部員を迎えたが…どうやら緩さを許容できないらしい? そんな後輩に戸惑いつつ、面倒臭い奴と片づけないのが「おやつ部」のよいところ。骨がある後輩じゃないか。
基本的に緩―く読める作品集だが、中年読者なりに思うところもある。思春期特有の潔癖さに起因する「痛み」を、我々世代は受け流せたが、生まれながらにネットやSNSに触れてきた現代の10代は、簡単に受け流せない。
あとがきによると、本作はコロナ禍で気軽に食べ物のシェアもできない時期に書かれたそうである。我々の子ども時代から、現在に至るまで販売が続いている菓子たち。時代が変わっても、その味だけは不変であってほしいものだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレもともとエッセイは苦手だったのだけど、久しぶりに薦められて読んでみたら面白い!
どのページもきらきらしたおやつでいっぱいで、筆者のおやつへの想いがあふれていて、ページをめくるたびに幸せな気分になれる。「おやつ」の表現もすごくよかった。おやつを楽しみにしている様子もすごく伝わってきた。
だけど、どの「おやつ」も描写を読むだけでは想像できなくて、とにもかくにも実物を見て食べたくなった。
そして何よりも、「エッセイは現実の話だから、SFやミステリのフィクションを超えることはないだろう」なんて思いこんでいたのだけど、こんなにワクワクしながらページがめくれるとは!また、読んでみなくちゃ。 -
Posted by ブクログ
お仕事小説アンソロジー
「エール!」第2段
●職業:スイミングインストラクター
作品名「ジャグジー・トーク」
作者:坂木司
キッズスイミングのインストラクターがスクール後に入るジャグジーでのトーク。子供に教えるには何が大切なのか?やはり子供が好きなことが必要みたい。
●職業:社会保険労務士
作品名「五度目の春のヒヨコ」
作者:水生大海
事務のおばちゃんからヒヨコと呼ばれる、なりたての社労士雛子。いろんな壁にぶち当たりながら成長してゆく。頑張れ!
●職業:宅配ピザ店店長
作品名「晴れのちバイトくん」
作者:拓未 司
扱い辛いバイトのクルーのピンチに体を張って助ける女性店長、人を使うことの難しさに共感できる。
●職業:遺品整理会社社員
作品名「心の隙間を灯で埋めて」
作者:垣谷美雨
珍しいお仕事だけど大変な仕事、そんな遺品整理会社の女性社員のお話。夫を亡くし一人息子と暮らすシングルマザー、夫の死後、義兄が営む遺品整理会社で働くがなかなか上手くいかない。一人で行った見積もりでもお客から会社にクレームが来る。この状況をなんとか打開できるのか?!
●職業:コミュニティFM パーソナリティー
作品名「黄昏飛行」
作者:光原百合
ドジなパーソナリティがなんとか人の役に立とうと頑張るお話し。
キャラ設定が面白かった。
●職業:OL
作品名「ヘブンリーシンフォニー」
作者:初野晴
天国の交響曲ってことなのか?すみません、よくわかりませんでした。 -
Posted by ブクログ
「アミの会」のアンソロジー。
『初めて編』ということで、七編のストーリーは、初めて訪れる旅先での初めての食べ物が登場する。
料理が美味しそうだったのは、乗り鉄・食べ鉄にも嬉しい「下田にいるか」坂木司さん。なんと言っても下田なら行けそう!と思えるのが嬉しい。観光も楽しそう。
もうひとつは、サハリンでのロシア料理がたっぷりの「地の果ては、隣」永嶋恵美さん。初めて読む作家さん。作中では、既にロシアとウクライナの戦争の気配が描かれていて、今は…まだ、いつになったらロシアに旅行に行こうと思えるのかわからないけれど。
コロナ禍のあと、旅に出る物語が描きにくくなっただろうと思うけれど、むしろ、だからこそ物語の中で旅ができることが楽しい。
活字で世界の料理が食べられる、その気になればリアルに味わえる、食いしん坊なわたしたちは幸せだ。 -
Posted by ブクログ
なるほど女子的!
最初の数ページすっかり思い込みで読み進めてしまいました。やられたー!
ほんわかかつ純情な感じの和菓子のアンから坂木デビューした私は、坂木先生ってこんなライトな貞操観念?のお話も書くんだ!?と驚きました。でも全然嫌じゃないし良い。
性的嗜好は色々あっていいんじゃないかなって元々思ってる。
声高に自分の利だけを主張して反対意見には「差別だ!」と聞く耳を持たず、多数派の権利を迫害したり生きづらくさせる一部の人達には正直言って賛成できないけれど。
お風呂やトイレの問題や、装った人に性被害を受けたり…色々あるよね。
どちらの味方とかじゃなく、みんなを守りたいけれど単純じゃないね。
でも考え続けることは大事。
いろんなタイプの女の子が出てくる。女性に嫌われる女性のそういう部分もわかったうえで受け入れたり愛したりしてしまう感覚が自分にもあるから全員憎めない。
さらけ出される本性や本質が刺さって、痛くて、爽快。